「村に舞い降りた 謎の種」

正直、見つけた時は僕もかなり驚いた。
まさかとは思ったけれど、そのまさか。空から種が降って来たのだ。
たまたまこの村に舞い降りた風船付きの種。種が入った黄色い袋に書かれた内容から長野県上田市の中学生が空に飛ばしたエコ風船だと言う事が分かった。調べると300km近く空を旅してやって来たらしい。目的地をここに定め飛ばした訳ではないので、その日の風向きや天候なども関係しているだろうし、野鳥の襲撃などちょっとした変化があったならば絶対に辿り着いていない。

しかも、着地点も見渡しやすい場所に落ちたからこそ発見出来た。数メートル離れた里山の中だったら気づいていなかったと思う。いくつもの奇跡が積み重なって辿り着いた種。こんな偶然があるのかと嬉しい気持ちが心の底からこみ上げて来た。今まで、手紙付きの風船を飛ばしたと紹介する記事や手紙入りの瓶を海に流し何年か振りに拾われたなどのニュースは見た事あるけれど、実際に拾うなんて事はなかった。




どんな植物の種か明記されていなかったので分からなかったが、とりあえず春先に種を植えることにした。結局、9ポットのうち1つしか芽は出なかったけれど、綺麗にオレンジ色に咲いた花はマリーゴールドだった。コンパニオンプランツとしてナスの横に植えたマリーゴールドは緑色ばかりの畑に彩りを与えてくれた。そして、この空からの贈り物は目には見えない出会いのきっかけをくれた。
僕はこの奇跡を報告しに、お土産のナスと共に風船を飛ばした長野県上田市立第二中学校へと行く事にした。村に辿り着いた風船には3人の名前が書いてあり、その3人がいる3年2組の教室にお邪魔して報告したらクラスのみんなが驚き、そして喜んでくれた。

クラスに入るまでどきどきワクワクしていたけれど、クラスのみんなの喜んだ姿を見たら改めて、「すごい事だなあ」と実感する事が出来た。
突然の訪問だったけれど、その後も温かく迎えてくれたクラスのみんな。今後もこの縁を大切に何か繋がっていけたらいいなと、今、村の空を見ながら思いふけっています。
風船が風に任せてゆらゆらと飛び、風船が割れて落ちた先はこの小さな村だった。
うん、やっぱり、この奇跡の偶然はすごい!!

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