「垂れる穂に 思いをたゆたう 秋の空」

「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」
「偉くなっても頭を下げる謙虚な気持ちを忘れてはいけない」という、この言葉が意味することとは違うが、まさしく言葉どおり頭を垂らす村の稲穂たち。実成りには差はあれど、実をしっかりと詰まらせているものは多い。

思えば、僕にとって何もかも初めての米づくり。まずはアイガモの卵を孵す事から始まった。温度と湿度を保ち、見守り続けた28日間。春なのにまだずっと寒かった日、ヒナ達が自力で殻から出て来たのを見て安心したのを覚えている。




その後、天候の影響で遅れたけれど、初めての田植えを経験した。ぬかるむ田んぼに足を取られ、なかなか思うように進めずもたついてしまったけれど、土に触れながら田植えをしていくうちに自然と楽しみながらも1本1本豊作の願いを込めて丁寧に植えた。
親代わりになり色々と訓練したカモヒナたちも無事、田んぼデビューし、毎日任務を遂行しつつ、スクスクと成長した。その後、稲は一部いもち病の症状も現れたがなんとか持ち直し、生長した。明雄さんによると、稲刈りは去年よりも早くなるとの事だった。

成長して立派な大人になったアイガモ隊は田んぼから卒業し、これからは彼らが次期アイガモ隊の親になるのだ。
そして、稲刈りを前にした田んぼの色づきは今、まさに黄金。太陽の光を浴びるとさらに光り輝く。
やはり、自分で植えたお米は一段と美味しく感じるんだろう。今から今年の新男米を頂く日が待ち遠しくて仕方がない。

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