「稲刈り 初体験」

夏野菜の収穫を終えてから、村では栗やアケビなど様々な秋の味覚が熟し、それらを収穫した。そして次なる収穫は、いよいよあの黄金色に輝いていた田んぼのお米。生長して穂を付けて、色が変わったそのお米が収穫の時を迎えた。村では10回目の稲刈りになるが、僕は人生で初めての稲刈り。

勢い良く刈り始めた。
まずは一株だけ掴み、鎌を掛けると意外にすんなり刈り取れたので、初心者だとなかなか切れないんじゃないかと思っていた僕は拍子抜けしてしまった。「意外と簡単なのかもしれないな」とか思っていたら、僕の周りにいる先輩方が、圧倒的に早い動きでサクサク刈って行き、序盤から差をつけられていた。しかも刈り取る範囲が違う。僕が横3列しか刈り取っていない所を、隣の専次郎さんは横10列くらい刈っていた。単純に遅い僕の分まで刈り取ってくれていたのだ。




どんどん遅れる僕を見て周りの先輩方は叱咤激励、刈り取った株の束ね方など丁寧に教えて下さった。そのおかげでだんだんと慣れていき、スピードも上がった。しかし少し進むだけで息が切れ、手を休めているとどんどん先に刈り取って行く大先輩方。自分の経験と体力の無さ加減に情けなくなると同時に、先輩方のどこにそんなスタミナがあるのかすごく不思議だった。やっぱり、すごい!

遅いながらも、一株一株今年の実りを収穫する。
最後の方は腰が痛くてしょうがなかったけれど、当たり前のように食卓に並んでいたお米のありがたさを全身で感じ取れた。これも経験しなければ感じられなかったこと。また一つの大切な経験として、僕の中に蓄えられた。

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