「羊に感謝 手編みのセーター」

テンとシロを目の前にして、つくづく不思議に思った。
このヒツジ姉妹の毛が糸になり、セーターになったのだ。完成したセーターを見てから、今年もすっかり伸びたテンとシロの毛を見ると改めて感心する。テンとシロのぬくもりが、人間を暖めるのだ。

そして今回、羊の飼育から始めた僕は、ものづくりというものをゼロから学べた気がする。セーターという一つのモノと言えど、色々な工程を経て完成している。商品が出来るその一連の流れを色々な本などで見た事はあるけれど、その実際の作業がどういうモノかと考えてみる事もなく、何となく簡単に理解したつもりでいた。しかしそれを実際につくってみると、いくつもの工程を経て、色々な人の労力がつぎ込まれているんだと気づかされた。




しかも自分たちで育てた羊の毛を糸にして一針一針手で編んだのだ。合計したら長さ1.4km(双糸にして700m)程の毛糸を、一針ずつ気持ちを込めて、丁寧に。編み棒を持った事も無い僕からしてみたら、この手編みもすごい難しい。よく編み物をしている人がいるが、本当に「すごい!」と感心してしまう。

僕が今まで何気なしに着ていたセーター。羊を育て、刈った毛を洗浄し、糸に紡ぐ。紡いだ糸は色々な色に染められ、編まれセーターになる。もちろん、今の時代ほとんどが機械かもしれないが、一つの物を手作業で作るという事は本当に大変。しかし、それだけに世界に二つとない、心のこもったものになったと思う。

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