「秋田県 雪国ならではの 知恵と活用」

初めて訪れた秋田県は、一面真っ白に覆われた雪国だった。その量は僕の想像をはるかに超えていた。聞く所によると、今年の雪は現地の人でさえも滅多に見ないくらいの積雪だそうだ。全てが雪に埋もれ、真っ白い世界に囲まれると、道路の曲がり角もよく分からないほど。だけど、その反面、何だか幻想的だった。そんな雪国の秋田県では、この大量の雪を利用した『雪国ならでは』の方法を様々学んだ。

まずは、いぶり漬け。物を燻すというのも、見ていて『雪国ならでは』な文化だなと思った。もともと囲炉裏の上で燻していたことからいぶり漬けが生まれたらしく、囲炉裏が不可欠な極寒の雪国では、全体に広まったらしい。僕の祖父母の家は鹿児島県なので囲炉裏もなく、それほど燻しの文化に親しみがない。
燻すという事自体は、去年、イノシシ肉でベーコンとハムを作った時に体験していた。あの時は登り窯を利用したものだったけれど、今回訪ねた東屋さんの燻し小屋は一度に何百もの大根を燻すので、人間が10人以上入れる程の小屋で作っていた。大根が燻される様子を少し拝見させてもらったが、人間が燻されるのは何十秒も持たない。すぐに目は痛くなるし、息苦しくもなったので、たまらず外に飛び出した。実際に作っている方も、燻し具合を確認する為に中には入るらしいが、短時間ですぐに出るらしい。




4、5日で燻し終わるそうだが、燻された大根はシワシワに収縮し茶色くなっていて、燻す前とは全く違う物になっていた。この大根を漬ける時、甘みをつける為にザラメを使うというのが印象的だった。完成したいぶり漬けは、燻した風味が感じられ大変美味しかった。
次に訪ねたキャベツ農家の方も雪をうまく利用していた。キャベツは、雪に埋めておけば長期保存が効くし、味も水々しく青臭さなどが抜けるので甘く感じられる。掘り起こしたてのキャベツを生で食べさせて頂いたが、本当にシャキシャキとした食感で水々しく、何もつけなくてもこれだけで食べられるほど。ふとザビエルたちが美味しそうに食べていた光景が頭に浮かんだ。葉っぱばかり食べていて、美味しいのかと疑問に思う事もあったけれど、少し気持ちがわかった気がした。

最後に訪ねたのは、セリ農家さん。秋田では、鍋にセリは欠かせないらしく、根付きで食べるのが主流。一般的には、根は切り離して捨ててしまうと思うのだが、そうではなく、この根の部分が一番美味しいという。実際に食べてみると、味は想像していたものとは違い、クセはなく食べやすかった。天ぷらもおいしいが、鍋料理に欠かせないとあって、鍋に入れるとさらに美味しくなった。
村でもよく雪は降っていたけれど、あまり活用出来ていなかったので、参考になるものが多かった。寒いし、いつまでも積もっているので、大人になってからは雪を煙たく思う事もあったが、そうではなくもっと生活の中に取り入れて、仲良く共存して、プラスにした方が得。そんな、うまく一緒に暮らして行く方法を雪国・秋田で学ぶ事が出来た。

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