「北海道 美味しいミルクから作る 極上チーズ」

僕は子供の頃から、牛乳が大好きで喉が渇くと一番に手に取るのが牛乳だった。言うならば牛乳で育ったようなものだったので、今回訪れた北海道では牛乳や乳製品を学べるとあって心が踊った。
しかし、最初に訪れたのはヤギ園である、ランランファーム。僕の中で、ミルクは牛であって、ヤギのミルクを飲むという事に少なからず抵抗があった。なぜなら僕の中でヤギと言えばDASH村のヤギ一家で、毎日のように一緒にいて、それこそリンダがふぶきにお乳をあげるのを日常的に見ていたので、牛乳のように人も飲むものというよりはヤギが飲むものという印象がついてしまっていた。そんな思いの中実際に飲んで見ると、これが思っていたものと全く違い、美味しい。牛のミルクとは違い、ヤギのミルクはコクもあるがとても飲みやすかった。そして美味しいのにはワケがあった。

ヤギたちが少しでもストレスを感じてしまうとミルクの味が落ちてしまうらしく、ストレスを感じる事がないよう広大な土地に放牧され、悠々と過ごせるようになっている。そして、清潔さを保つことも重要で、ヤギ舎の清掃をこまめに行ない、ヤギ自身も定期的に拭いてあげているので、みんな真っ白。美味しいヤギ乳を搾る為に追求していた。
そこで考えるのは、DASH村のヤギたちの事。果たしてDASH村のヤギたちはどうだったのか・・・?僕は村のヤギたちのミルクを飲んだ事はないが、クセがなくて美味しいヤギのミルクを追求するランランファームさんのヤギ乳には敵う気がしなかった・・・。
そして、子供の頃からお世話になっている乳牛さんたちとも顔を追わせる事が出来た。近くで見ると巨体だが、大きくてつぶらな瞳の牛たちの顔は何とも可愛らしかった。近づいて触ろうとしたが、ジッと僕を伺いつつ、1m以内に近づいた瞬間、巨体を振るわせながら僕から遠ざかっていったので、結局、交流出来ずに終わった。




この牛たちが冬場に食べるエサとして、牧草を巨大なロール状にして保管しておくサイレージというものがあるのだが、僕は大学時代に人間より牛の方が多いような所にいた為、至る所でこのサイレージというものを目にしていた。初めて見たときは、「一体これは何なんだろう?」とか「どのように作っているのだろうか?」とか色々と疑問に思ったが、いっこうに答えを導き出す事は出来なかった。どう考えても、広げられたタオルを丸めるように、牧草地の端からくるくると巻いていったとしか思えなかった。
しかし、その原理は大きな機械の中に刈り取られた牧草が吸い込まれ、ぐるぐると回されながら押し固められるという事だった。だから、あういうロール状になるとのこと。やっと原理を知る事が出来たので、心のずっと奥の方に引っかかっていた何かしらのつっかえがすっと消えた気がした。

そして、サイレージや牛乳だけでなく、モッツァレラチーズの作り方も学ぶ事が出来た。モッツァレラチーズは、よくパスタやピザに使われており、モッツァレラと言う文字をメニュー表に見つける度に食べたくなってしまう程好きな食材だがその作り方までは知らなかった。ワクワクしながら教えてもらい、出来上がったモッツァレラをびよ〜んと伸ばした時、どこまでも伸びるので、こんなにも弾力性があるのかと驚いた反面、一気に食欲が高まった。
今まで学んで来た農業と酪農では違う所も多くあると思うが、農業の場合、肥料や土壌に気を使うのが、酪農では餌に気を使う。作物が病害虫にやられる事はもちろんあるが、牛やヤギだって病気になったりする。
日本一酪農が盛んな北海道で、実際に学び、お手伝いさせて頂きながら、農業も酪農も根底にあるものは変わらず、僕たちがDASH村でやって来た事は、本格的な酪農の作業の中でも色々と生かせる事は沢山あるんだと思った。

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