TOYOTAプレゼンツ・FIFAクラブワールドカップジャパン2007

大陸予選情報

浦和レッズ/アジア代表



2007.12.16 エトワール・サヘル戦後オジェック監督会見

この大会で素晴らしい結果を残すことができ、本当にうれしく思う。世界3位になったことは、我々にとって大きな意味がある。選手だけでなく、クラブ関係者にとっても、サポーターにとってもだ。浦和レッズのサポーターは世界でたった一つの情熱的な応援をしてくれた。彼らのためにも勝ててよかった。

前半はオープンな試合になったが、後半に相手が7番(シウバ・アウベス)を投入してきた。相手のプレッシャーを受けたが、向こうより(試合まで)1日少なかったにもかかわらず、本当に真剣に規律を守って戦った。2点も失い、PK戦になったが、そこは避けられたと思っているが。

PK戦は、全員が絶対に勝つという強い決意で臨むことが出来た。全員がしっかりゴールを見据えて、迷いなくシュートした。そうした精神面での強さが重要だ。アジアの準決勝でもそういった決心があった。今日は57戦目の公式戦だったが、最後の力を振り絞り、素晴らしい結果を出した。チーム全員の気持ちが一つになったと思う。精神面、技術的にも素晴らしいサッカーができた。

Q.FWワシントンがこれを最後にチームを去るが、今日のプレーの評価は?
FWワシントンは非常に質の高いテクニックを見せてくれた。この試合でみんなの希望をかなえてくれたことをうれしく思う。満員の観客の中、最初から最後まで全力でプレーしていた。試合後のロッカールームで、ワシントンには称賛の言葉をかけた。本当に素晴らしい個人技と試合を見せてくれた。彼には次のクラブでも、素晴らしいプレーをしてほしいと思う。

Q.チュニジア・サッカーの印象は?また、ワシントンに頼りすぎなのでは?
私は一般化して語るのは、あまり好きではない。アフリカのサッカーという言葉も好きではない。アフリカと言っても、いろいろな違いがある。ナイジェリア、カメルーンではまた違ったサッカーがあるのだから、アフリカ全般として・・・ということは言えない。
それはアジアについても同じだ。アラブ圏、さらに西と東では全く違い、それぞれ独自のサッカースタイルがある。もっと細かく分類するならば、たとえばモロッコ、チュニジア、アルジェリアといった北部アフリカは、まだ成功していないかもしれないが、質の高いサッカーをしていると思う。チュニジアは、テクニックは安定していて、ボールを追って、どんなパスをすべきかをよく知っている。
また、FWシェルミティは非常に素晴らしい才能を持っていると思う。今日もその才能を感じさせた。あの年齢であの才能なのだから、これからもけがをせずにプレーできたら、輝かしいキャリアが待っているだろう。すでに彼を追いかけているスカウトが、たくさんいるのでは。今日のプレーは、感動的だった。ボカ戦も国立で見たが、シェルミティのような選手がいるということは、チームにとって価値があると思う。
ワシントンについては、トップスコアラーだから頼るのは当たり前。最後に決める選手として、とても頼りにしている。今日のワシントンには本当に満足しているし、彼のパフォーマンスについてたくさんのほめ言葉をかけた。

Q.後半の苦しい時間帯には、どんな事を考えていたのか?選手に期待していた事は?
さっきも言ったが、相手は左サイドの攻撃的な7番(シウバ・アウベス)を投入した。大きなスペースがあったので、山田と細貝のポジションを変えることで、スピードを駆使しようと考えた。それが功を奏したと思う。直後に、最初のゴールを決める事ができたのだから。左からDF相馬がクロスを入れFWワシントンが決めた。相手のペースになることを許さなかったので彼らはもっとラインを上げる必要があったのでは。
私自身は、交代の必要性は感じていなかった。今日の浦和レッズには、最高の11人の選手がいた。それを忘れないでほしい。現実的には、ケガをしてスタメンで出られない選手もいたが、今日スタメンで使った11人は、現在のベストイレブンだった。リストを見れば分かると思うが、若い選手もいた。相手には経験のある選手が多いので、今シーズン全く出場していない選手は使えなかった。その判断は正しかったと思う。最終的にプレッシャーからフリーになって、後半はチャンスを作ることができたと思う。

Q.アフリカサッカーを一言では言えないとのことだが、世界のサッカーの傾向は情報化によって同じ方向に向かっているように思うのだが?
この大会のおかげで、まだ違いはあるということに気がついた。皆さんも気づいていたのでは?
各大陸のチャンピオンが集まり、優勝するという同じ目標を持っているのもかかわらず、攻撃にもそれぞれ独自のスタイルや戦略がある。
サッカーではグローバル化はなく、個性があると思う。よく見れば、試合の中で、どのようなセットアップをするか違いがある。サッカーにとって、それはとてもよいことだ。スタイルが一つしかないということはないし、世界どこでも同じサッカーということはあり得ない。またメンタル的にも、人種的、民族的な違いも大きく影響する。誰にでも個々のやり方があるし、サッカー哲学や解釈の違いというものはある。それは素晴らしいことではないか。例えば、一つのリーグで、18人の監督が集まっただけでも、その監督の間でもアプローチに違いがあることが分かる。日本のプロフェッショナルライセンスのプログラムも違う。ルールや規則は同じでも、見方は違う。自分たちのやり方、考え方でサッカーをする。
だからこそ、こんなにわくわくするおもしろいスポーツなのだ。そうでなければ、飽きてしまうだろう。コンディション調整やトレーニング、戦術では似ているところもあるが、個々を見ていると違うところがある。それが大事なところなのだ。だから、サッカーを一般化することは出来ない。

Q.今日の2点目をどう思うか?
自ら疑問符をつけたくはないが、相手の2点目はこちらの守備のミスによるもの。このような試合では、ミスするべきではなく、代償を払うことになった。失点した時には、誰かを責めるつもりなどなかったが、それでもうれしいことではない。ディフェンス陣は、誰が、何をしなかったからこうなったのか分かっていると思うが、結果をもとに戻すことはできないし、誰を責めるつもりもない。

Q.去年はFIFA(国際サッカー連盟)の立場から観戦し、今年は監督として参加したが、あなたにとってどのような違いが?
もちろん違いはある。今年の大会は、去年よりも面白かったと思っている。分析や観察ではなく、自分が参加すれば、やはりいろいろな感情も湧き上がってくるし、監督として出場するということはプレッシャーもある。どちらを選べと言われれば、監督の方がいい。

Q.シーズンを通じて、選手を固定して戦ってきた理由は?
このチームを率いるにあたり、トライしようとしたことがいくつかあった。このチームには、特定のスタイルが出来上がっていた。監督が違えばアプローチも変わる。やりたかった事は、基本的な構造を作ること、それはコアとなる集団がいることが前提だ。素晴らしい選手は何人もいるが、グループとして全体でもう少し出来るところがあったと思う。それは私のチームで必要なところだった。それにJリーグもアジアでも、非常に多くの試合をこなさなければならなかった。しかし私は、ほとんど選手を変えなかった。その選手たちは、ただ単に質が高いだけではなく、精神的な面でも安定し、プレッシャーにも耐えられる選手だった。それが私の哲学であり、その判断はよかったと思っている。
ドイツには、「どこに行くのか分らない時には、自分の行きたくない場所にたどり着いてしまう」ということわざがある。私は「どこに行きたいのか」を知っていたのだ。

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