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集団食中毒のきっかけは扇風機!?学校給食で起きた問題とは

2025.02.11 公開

ある小学校の給食調理室では、栄養士の管理のもと4人の給食調理員が働いていた。全校児童と職員の分をあわせて500食以上を作る調理場。まさかの原因で大規模な食中毒が起きてしまった。

この日のメニューはパンと牛乳、ポテトサラダに鶏肉とワンタンスープ。

一人の児童に腹痛と発熱の症状が現れた。その日に学校を休んだのはその児童だけではなく、全校で54人の児童が発熱、嘔吐、下痢などの症状で欠席。さらに、同じような症状で16人が早退した。

事態は深刻化し、翌日には66人が学校を休む事態に。1年生は学年休業となった。だが、教師たちにはほぼ症状が出ていなかった。

翌日、保健所の調査が始まった。校長は「特に違和感のあった給食はなかった」と話す。

給食は毎日、子供たちが食べる30分前までに学校の責任者が食べ、異常がないか確認する。これは「学校給食法」という法律で定められているのだ。

原因菌を特定するため症状の出た児童たちに検便、食中毒の原因を特定するため、保存食の検査も行われた。

調査の結果、調理前の鶏肉から、児童たちと同じ型のカンピロバクターが検出された。

検便検査を受けた50人のうち、28人から検出されたカンピロバクター。この細菌は感染すると、2~5日の潜伏期間を経て下痢、嘔吐、発熱などを引き起こす。牛、豚、鶏などの家畜の腸管内に生息し、特に鶏肉からの感染が多く報告されている。

しかし、ここで大きな謎が生まれる。カンピロバクターは熱に弱く、65度で数分加熱すればほぼ死滅すると言われているのだ。

特定された日の給食メニュー・ワンタンスープは中心温度が92度まで加熱されていることが確認されていた。

いったいどこで、何がカンピロバクターに汚染されたのか?保健所の立ち入り調査で、この日の作業動線が詳しく調べられて、浮かび上がってきたのが扇風機の存在だった。

この日ワンタンスープに使った鶏肉は、まずポリ袋からバットに移し替えられた。このとき、鶏肉のドリップが出ていたと思われる。

このドリップにはカンピロバクターが存在することが多い。味付けを行ったあと調理釜まで運ばれたのだが、その際に稼働していたのが、ポテトサラダに使うじゃがいもを冷ますために使われていた大型の扇風機だった。

扇風機の前を、鶏肉の入ったバット・鶏肉が入っていたポリ袋が通った際、ドリップと共にカンピロバクターが風に乗り、じゃがいもに付着したと考えられた。

しかし、原因解明時には冷凍保存されていたポテトサラダ。その際にはなぜカンピロバクターが検出されなかったのか?

研究機関の検証実験で、冷凍保存下ではカンピロバクターが減少することが判明。冷凍保存7日目で鶏肉に付着したカンピロバクターは10分の1に、ポテトサラダではなんと100分の1に減少したのだ。

保存食はマイナス20度という低温で保存される。また、カンピロバクターは酸素が少ない環境で増殖するという特徴があるため、ポテトサラダ上では増殖せずあまり多くの菌はいなかったと考えられた。しかし、カンピロバクターは少ない菌量でも発症するため、集団食中毒が起きた。

大人には症状が出なかった理由も明らかになった。子供の方が体が小さく、免疫が未熟な子もいて、少ない菌量でも発症しやすい。そのため子供だけが発症したと考えられる。

この食中毒の事件を受け、役所は食中毒事例として発表。

本来学校給食では、このような汚染が起こらないよう、作業動線図を作成し、汚染度の高い食品がその他の食品と交わらないように徹底している。施設によっては衛生面を考え、扇風機の使用を禁止しているところもある。

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