大失敗からまさかの誕生!?白く濁ったとんこつラーメンがバイオ燃料に!
白く濁ったスープが特徴の福岡のとんこつラーメンだが、もともととんこつスープは白濁していなかったという。一体どうやって今の福岡とんこつラーメンが生まれたのか?
今の福岡県久留米市で、当時「南京千両」という店があり、ほとんど捨てられていた豚の骨を使って日本で初めての豚骨100%の独自のスープを作り出していたという。
「南京千両」のスープは、日本には出汁の文化があり、煮込みすぎるとエグ味が出るため火加減に気を遣い濁らないようにと、もともとは白く濁っていなかった。
しかし戦後すぐ、とんこつラーメンの歴史をガラッと変える出来事が!
歴史を変えた女性を再現ドラマでは菊地亜美が演じた。
同じく豚骨100%でスープも透き通った久留米市の「三九」というラーメン店。
ある日、店主は買い出しに行くときに母に「ちょっと出かけるからスープ見といてくんねぇか?」 と頼んだという。
引き受けた母だったが、店主が帰ってくると火を止め忘れグツグツ煮立ったスープが。
「やばいよ!もうすぐ開店だよ!」と慌てる店主だったが、スープを飲むとびっくり!
「え、美味しい!」。
実は、豚の骨を強火で煮込むと骨髄に含まれるコラーゲンが熱で分解、ゼラチンとなり水と脂を乳化させるため、白濁しコクが出るのだという。
白濁スープは大好評となり、「三九」はあえて白濁させるように。やがて、この白濁とんこつラーメンが九州中に広まっていったと言われている。
しかし、流行れば流行るほど一つの問題が。豚骨の処理だ。
多くの飲食店には環境などに配慮し、食べ残しや油分などを下水に直接流さないグリストラップと呼ばれる装置があるが、濃厚であるがためにとんこつラーメンはそのグリストラップに大量の油脂がたまり、掃除に手間がかかるのだという。
「コレをなんとかできないのか」と、福岡県にある西田商運株式会社の会長・西田眞壽美さんが立ち上がった!西田さんは 20歳の時トラック一台で運送会社を始め、一代で年商27億円の総合物流会社を築き上げた敏腕の経営者。
そんな西田さんは、トウモロコシやサトウキビからバイオ燃料を作るという話を聞き「うちのトラックでも使えないか?」と、自らバイオディーゼル燃料の開発に力を注いだ。
バイオ燃料は、二酸化炭素を吸収して作られる植物油や動物の脂肪などから作られ、大気中の濃度を増やさないとされている環境に優しい燃料。研究から5年、ついに天ぷら油などの廃油からバイオディーゼル燃料の抽出に成功!
そんな時、ラーメン店の油の処理の話を聞き、たった1週間でラードからバイオ燃料を抽出する独自の方法を見つけ福岡のラーメン店に置いてもらい残ったラードを回収。それを原料にバイオ燃焼に変える仕組みを作り上げたのだ!
とんこつラーメンの油をバイオ燃料に変える仕組みを作り上げた西田さん。今では福岡県を中心とするラーメン店から月に約30tのラードを集め燃料を生成。約120台の自社の配送トラックのうち、約5割が廃油やラードから作られたバイオ燃料で動いているという。
西田さんは「少しでもCO2削減をやって、次世代に環境を持っていってあげないと。その為に今一生懸命頑張れば。九州のラーメン屋さん全部(ラードを)いただきたいです!」と話す。
さらに、福岡の企業ではスープをとった後の豚骨のガラを肥料にしネギを育てているところもあるといい、そのネギはとんこつラーメンで使われているという。
食品廃棄物を燃料に、肥料にして、とんこつラーメンはご当地グルメとしてだけではなく地球に優しい大きな存在になっているのだ。