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謎すぎる手足のチアノーゼ

2021.10.26 公開

長崎県佐世保市。
救急救命士として人の命を救っていた男性が恐ろしい病に襲われた。

救急救命士とは、救急現場など、医師の指示のもと傷病者に対して一部の医療行為を行うことができる隊員のこと。

そんな命を救うスペシャリストとも言える男性に一体何が起きたのか!?

13年前、男性は右手の指を怪我をしたため病院へ。
救急救命士である男性は、噛まれてすぐ傷口を水で洗い流す処置は行っていたという。

これは動物に噛まれた時の正しい応急処置。
医師は傷口の菌を十分に洗浄、消毒し隙間を開けて粗く縫合した。
これは、万が一菌が残っていたときに、繁殖してしまうのを防ぐため。

そして、念のため破傷風のワクチンを打つなど、万全と思える処置をした。  
骨が見えるほど傷が深かったため様々な危険を考え、入院し抗菌薬治療を開始した。

だが、異変は入院4日目に起きた。
この日の夕方、血液検査は異常なく傷口の経過も良好。
しかし数時間後…急に熱っぽくなり、体温を測ると38度まで上がっていた。

さらに…下痢が止まらず、頭痛もひどい。
骨折により熱が出ることはあるというが、念のため検査を行うことに。

こうして、培養検査と再び血液検査を行った。

しかしその後、熱がさらに40度まで上がり呼吸もうまく出来なくなっていた。
実はこの時、恐ろしい細菌が彼の体を蝕んでいたのだが、13年前は医師ですらその存在を知るものは少なかった。

血液中の酸素が不足している時に起こるチアノーゼで苦しむ男性。
顔面蒼白で手足はどす黒く変色し、敗血症を引き起こしていた。

敗血症とは、病原菌やウイルスに感染することによって発熱や下痢、呼吸困難などの症状が起き、悪化すると臓器の機能が損なわれ、組織壊死が起こる。

この男性も、末端の血管に血液が十分に回らず、壊死が始まっていた。

壊死が進行していく…時間との闘い

指の傷から入り込んだ原因の菌を特定するため…他の科の医師たちも協力し調べ始めた。

救急救命士をしている男性は、自分が命の危機に瀕していることは分かっていた。
敗血症により、肺に水がたまる肺水腫や、血管内に血栓ができる病気なども併発、深刻な状況。

検査にも時間がかかる…一刻を争う状況のため、壊死が進行している右手人差し指は切断することになった。
放置し続ければ壊疽で汚染された血液が循環するため切除しなければならない。

術後、本人の希望もあり、人工呼吸に切り替え、麻酔で意識を失った。
だがまだこの時もはっきりとした原因がわからかった。

しかし、行き詰まっていた状況が変わる。

医師たちは文献や論文で、症状が酷似している感染症を必死で探していた。
そこで男性を苦しめていた原因を突き止めた!それが「カプノサイトファーガ感染症」というもの。

「カプノサイトファーガ感染症」は多くの犬や猫の口の中に存在するカプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌が原因となって発症する。

犬や猫に噛まれたり引っかかれたりすることで潜伏期間1日から14日で発症し、重症化すると敗血症を引き起こし、多臓器不全に進行して死に至ることもある。

感染力はそれほど高くないとみられ、13年前の当時、日本国内では10数例の報告しかなかったため、ほぼ知られていない感染症だった。

すぐに、その菌が血液中にいるか調べなくてはならない。
だが、患者の状況は検査の結果を待っている時間もなかった。

患者は一刻を争う状態。
医師たちはカプノサイトファーガ感染症の治療をはじめた。
そして血液中にその菌が本当に存在するのか?

臨床検査技師が血液培養ボトル内の血液と、術後3日目と4日目の保存してあった検査用血液を抜き取り、夜遅くまでひたすら顕微鏡で菌を探した。
すると、カプノサイトファーガが見つかった!

これで自信が持て、カプノサイトファーガにターゲットをしぼった抗菌薬治療を続けることに。
その結果、入院して13日後…容体は快方に向かった。

しかし、壊死が進んでいた足は、両足とも親指を残して残りは切断。
ただ不幸中の幸いで、手の壊死に関しては切断した右手人差し指以外は回復。
男性は退院後、再び救急救命士として復帰した。

現在は、一般的に認知されているこの感染症。
発症は稀なようなので、過剰に恐れる必要はないが、もし動物に噛まれ傷があったら念のために病院へ。

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