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秋葉原 耳かき店員殺人事件

2021.11.23 公開

2008年2月末。一人の男が秋葉原にやってきた。
目的は、「耳かき店」。

この日、担当したのは「まりな」という当時19歳の人気の女性だった。
「耳かき店」と呼ばれるその店では3畳ほどの小部屋で膝枕での耳かきや、手、肩のマッサージを行っていた。

それ以外のサービスは一切ない。
60分4800円。指名料はプラス1000円。

この1年半年後、悲劇が起こる!
耳かき店員殺人事件…21歳の女性と、その祖母が男に襲われ殺害された。
今回、その親族が被害にあった女性のことを「いい子で優しい」と話してくれた。

林貢二という当時41歳の男。被害女性が勤める耳かき店に入り浸っていた男だった。
一体、なぜ悲劇は起きてしまったのか?

初来店から2週間。
吉川と名乗っていた男、本名、林貢二は千葉県の団地に住んでいた。

結婚歴はなく28歳のとき実家を出て以来、一人暮らし。これといった趣味もない。
電気系専門学校を卒業後、配電設備会社に就職して20年同じ職場に勤めていた。

酒は飲めず、飲み会では一人静かにウーロン茶を飲んでいたという男には、20年かけてコツコツ貯めた金が1000万円程度あった。

初来店から4か月。
来店するとまりなを指名。男がまりなと過ごす3時間は会話がメイン。それが楽しかった。

男はまりなとの時間を楽しむため週末の土日、店に通い始めた。
だがこの頃から少しずつ2人の距離感が狂い始める。

まりなは高校を卒業したばかりの19歳。
彼女が育ったのは母方の祖父母の家。
彼女のブログには一番の宝物は家族と書かれていて、携帯電話の待ち受け画面は常に家族写真だった。

そんなまりなが高校生の頃…祖父が高齢で老化による体の不調から、同居していたまりなの家族に対して声を荒らげることがあった。

すると、まりなは母に「私、家買う。マンション。バイト代、貯金してるの」と話した。
それを目標に高校卒業後は和菓子店で働き始めたが…腰を痛め、退職せざるを得なくなった。
さらに同じ頃、トラック運転手だった父も肩をケガして仕事が減っていた。

そこで、高収入が期待できる「耳かき店」での仕事を始めた。
真面目で仕事熱心な彼女は店の一番人気だった。そして得たお金はほとんどを貯金していたという。

エスカレートする男の要求

2008年7月15日。まりな20歳の誕生日。
ちょっとした事件が起きた。

平日だったその日、男は有給休暇をとった。
そして、まりなの出勤時間である昼の12時に予約を入れ千葉県の自宅を出発した。

11時過ぎ。
誕生日プレゼントとして東京駅でゼリーを買い、予約より早い11時30分頃、秋葉原に着いた。すると…そこで出勤するまりなと会い声をかけた。

実は彼女、以前街で男に付きまとわれたとことがあった。
そのときの恐怖が甦った。

その後…男はその週の土日、予約を入れなかった。
それは、珍しいことだった。

彼女は、何より男がストーカー化することを恐れていた。
そんなことになるより、店で会っていた方が安全かもしれない。と、ブログにこんなことを書いた。

ブログ「突然だけど元気かなぁピヨ吉」

それは2人だけが分かる会話。
男は…次の週末予約を入れた。

徐々にまりなは敬語をやめ友達のように接し始めた。
一人暮らしではないことを強調し、トラブルを避けようとしていた。

一方、男は金曜日にも来店し始め、土日は7時間も滞在するようになった。
3日で合計10万程度。
給料のほとんどを耳かき店に使い、生活費は貯金で賄った。

やがて、男は傲慢になっていく。

そして、やむをえず彼女はメールアドレスを教えてしまった。

真面目で人気があったまりなは新宿店にもヘルプで入るようになった。
男は新宿店にも予約を入れた。
そして秋葉原店へやってきた男は一緒に新宿店まで移動しようと言い出した。

まりなはお店の外で会うのはルールで禁止されていて店長にも怒られるからと断ったが…。男は店長に「僕とまりなの仲を引き裂きたいんだろ!?」と言った。

この頃から、男の行動が常軌を逸してくる。

年末年始の12月27日から1月4日まで、なんと男は9日間連続で来店した。
その後も、まりなへの要求はエスカレートする。

「ハンドマッサージはいいから手を握ってほしい…」
「一緒にご飯行きたい…」
「もう1年以上通ってんだよ?いいじゃん…」

男はしつこく、何度も言い寄った。
ついに、まりなは耐えられなくなった。

出入り禁止を伝えた…つもりだった

まりなは男を出入り禁止にしてほしいと店長に訴えた。
店長は「僕から言いますか?」と言ったが、まりなは「自分で言う」と伝えた。

そして翌日、男が来店。
まりなはほとんど口を聞かなかった。
すると…男は携帯に「今日そんな体でご飯に行けるの?」文字を打ち込み彼女に見せた。

まりなは自分の携帯に「具合悪いからやめましょう」と打ち込んだ。

林「…付き合ってくれないなら、もう来ないよ?」

まりなは「そういうつもりなら、もう、こないでください」と返した。男は店を出た。

まりなはこれで男は来なくなる…出入り禁止を伝えたつもりでいた。

しかし2日後。
男はメールで予約の連絡を送ってきたのだ。
まりなは「もう無理です」と返信。

だが男は強行作戦に出る。
店の外でまりなの目の前に現れたのだ!

「また店に行きたい」という男に「もう無理です」と返しその場を逃げるように去ったまりな。まりなはすぐに店長に連絡。

彼女はその日以来、系列店の店長に家まで送ってもらうようになった。

一方、なぜ拒否するようになったのか?男には全くわからなかった。
夜も眠れず、仕事も手に着かなくなった。

この頃、男はまりなの自宅を突き止めたと思われる。

しばらくして…まりなは送ってくれていた系列店の店長に「もう、3か月たつので、多分男は来ないと思う。もう大丈夫。」と送りの必要がないことを伝えた。

だがその途端…男がまりなの前に現れた!

「また店に行きたいんだ」とまりなに伝える男。
彼女はその場から逃げた!そして初めて母親に男の存在を話し、警察に通報した。

だが警察に被害届は出さなかった。
実はこの時、祖父が亡くなった直後だった。気落ちする祖母に心配はかけられないと思ったのだ。

警察は自宅周辺を見回ったが、男の姿はなかった。

翌日、男はまりなにメールを送った。しかし…送信できませんでしたという通知が届いた。
道が完全に断たれたと感じた。

完全に拒否された男がとった凶行

2009年8月3日の早朝。
男はハンマー、ペティナイフと果物ナイフをバッグに入れた。

朝8時すぎ。
父親はすでに家を出ていて母親や兄、まりなは眠っており、祖母だけが起きていた。
そして玄関のカギは開いていた。

男は家へ侵入し、祖母を何度も殴り…さらに果物ナイフでめった刺しにした。
そして2階へ上がり、まりなをペティナイフで5~6回刺した。

その後、男は駆けつけた警察官に取り押さえられ逮捕された。
祖母は即死。まりなは病院へ搬送されたが…1か月後、死亡した。

この事件は裁判員裁判で検察から初めて死刑が求刑された事件。
その裁判で、父親の調書を検察側が証拠として提出した。

被害者の父は娘についてこう語っている。

娘は…高校のときファミリーレストランでバイトし接客が好きなようでした。
高校でバイトをしていたときに、『家を建てたい』と妻に話しているようでした。
思春期で父との会話は少なかったですが、父の日と私の誕生日に、お酒をプレゼントしてくれました。

部屋に入ってきて『おめでとう』と言ってくれました。
私にとって、娘はいるのが当たり前の存在でした。ところが、8月3日、幸せな生活が壊されました。

病院で見た顔はむくんではれあがり、チューブがつながれていました。
額に小さいころできた小さな傷があるのですが、それしか確認できませんでした。
目を閉じ、何の反応もない。刺されて痛かったのだろう、苦しかっただろう、かわいそう、どうしてこんなことができるのだろう。

事件翌日の火曜日、私は休みでした。刃物から自分の命をかけて守ってやれたのにと思うと、悔しくて仕方ありません。
妻はショックで精神的に不安定になりました。犯人が怖くて、暗いと恐怖が蘇り、一人でいられない状態です。

家庭はめちゃくちゃになり『私がしっかりしないと』と思いますが、夜、涙がこぼれます。
犯人は絶対に許せません。目の前で同じことをしてやりたい。殺すだけでなく、同じ方法で殺したい。
でも、私にはどうすることもできないのです。極刑を望みます。


判決は祖母の殺害は計画していたものではない、さらには遺族への深い反省などが考慮され無期懲役となった。

家族思いの若い女性の命を身勝手な思いから奪った許されない行為。
遺族の怒りと悲しみは今もずっと続いている。

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