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きっかけはたったひとつのウソ…客を殺害した有名銀行の社員 なぜ人生を転がり落ちてしまったのか

2023.06.13 公開

誰もが知る有名都市銀行のエリート行員が客を殺害した凶悪事件。
真面目だったという銀行員は、なぜ人生を転がり落ちてしまったのか?そこには、自分のミスと不正の発覚を恐れた転落の図式があった。今回はこの事件を再現ドラマで紹介した。

1998年に起こった事件、その2年3か月前。当時富士銀行行員の岡藤輝光は家族と共に埼玉県に引っ越してきた。

今まで内勤だったがここで初めて営業職を命ぜられ、前任者からの引き継ぎである老夫婦の家を訪ねた。その夫婦は4000万ほど預金をしており、短期で定期預金を運用しているという。

さらに新規の訪問リストを渡され、融資を希望する客を見つけるため必死だったが、異動から2か月たっても新しい取引先は見つけられなかった。

事件の2年1か月前。ある建設関連会社を訪れると社長から「融資頼もうって考えてたんだよ」といい反応が。しばらくした頃「運転資金を2000万円融資してほしいんだ」と社長から声をかけられる。

岡藤はまずその会社の資産状況を調べる。するとこの会社は他の銀行から限度額いっぱいまで借りていた。それでもなんとか営業成績を上げたい、そしてこの社長の力になりたいと思うようになっていった。

そして、銀行の支店長に掛け合うも「保証人とか、土地とかの担保がないと融資はできません」と断られてしまう。その後もその会社の社長からは融資のお願いをされるが、銀行からの融資見込みはなかった。

岡藤の実家は地元で小さな酒店を経営していた。父親は長距離トラックの運転手もしながら息子を育てたという。岡藤は高校でラグビーを始めると地元九州の私立大学にラグビー推薦で進学。就職活動を始めたのはバブル景気の真っ只中。エリート企業に就職したのだった。

建設関連会社の社長に融資をせがまれるうち、岡藤にはよからぬ考えが浮かんでしまう。岡藤は前任者から引き継いだ老夫婦の家を尋ね、投資信託を紹介。さらに「営業の目標額があって、それがあと1000万円なんです。助けてもらえないでしょうか?」と懇願し、岡藤はこの老夫婦の定期預金から約1000万円を引き出した。そして、建設関連会社の社長に「銀行から融資がおりました」と伝えた。老夫婦のお金を一時的に建設関連会社に貸すことにしたのだった。もちろんこれは犯罪行為だ。

約3ヶ月後、建設関連会社の社長は1000万円を返済。老夫婦のもとに1000万円を返した。

その後、支店長が定期異動で変わったが大きな問題はなく営業の仕事にも慣れ、岡藤は順調な生活を送っていた。

しかし、事件の1年1か月前、前回の1000万円を銀行の正規な融資だと思っている建設関連会社の社長は、しっかり期日までに返した実績があるから今回も借りられるだろうと、3000万円の融資を希望してきた。岡藤は新支店長に相談するが、経営状態がよくないため融資はできないという。そのことを伝えると建設関連会社の社長から「もう一度だけなんとかなりませんか?」 と迫られる。

そして再び老夫婦の元へ行き「前回と同じで利息は前払い。今回は2000万円、運用してみませんか?」と持ちかけ、奥さんは「お任せします」と返答。そして岡藤は「3000万は無理でしたが、先ほど2000万の融資、実行しました」と建設関連会社の社長に連絡。そして今回の2000万円は分割で、ふた月に分けて半年後に1000万円ずつ返済されることになった。

そんな頃ある運送会社から1700万円の融資依頼をされた。その旨を会議で報告すると銀行の支店長からは「じゃあこの案件、信用保証協会に確認して」という返答。

しかし岡藤は土地の購入がまだ先だったため、申請を後回しにしてしまった。

そんなとき、建設関連会社の社長から追加で1000万円を融資してほしいとお願いされる。これを断ったら銀行に駆け込むかもしれないと思った岡藤。
またも老夫婦の元へ行き、追加で1000万円運用してもらうよう依頼。この時点で、不正融資額は3000万円になっていた。

事件の7ヶ月前、運送会社から「そろそろ土地の購入手続きなんだけど、融資の件、大丈夫ですか?」と電話が。岡藤は大切な申請を忘れていたのだ。しかし、それを正直に言えず「大丈夫です」と返事してしまう。

今から申請の準備をしていたら間に合わないと焦った岡藤は、建設関連会社から返金のあった1000万円を持って老夫婦の家へ。返済期日のため1000万円を返金しにきたのだが「この1000万をもう一度運用させていただいて、追加で700万円の運用をしていただけませんか」とこの老夫婦のお金を運送会社の融資にあてようと考えたのだ。そして老夫婦は許諾。

1998年2月。運送会社に老夫婦のお金から1700万円が貸し出された。岡藤は、この1700万円は信用保証付きの正規の融資で返済しようと思っていたようだが、この時すでに期日までに1700万円を夫婦に返す術を失っていた。運送会社の書類の申請を忘れたことに気づいたとき、上司から申請手続きの進捗について尋ねられ岡藤はその場しのぎで上司に融資の必要がなくなったと伝えたので、もはや手続きの進めようがなかったのだ。

その後、建設関連会社から予定通り1000万円の返金があった。それを老夫婦に返済し残りは2700万円となり、残りの金は約束では3月末に老夫婦に戻すはずだった。

しかし正規の融資だと思っている建設関連会社の社長は、長期での分割返済のつもりだった。岡藤は老夫婦に頼み込んだ結果、1か月後の4月末まで待ってくれることになったが、支払日は遅らせたものの、その日に払える可能性はほぼなかった。そして岡藤は建設関連会社の社長に必死に頼み込みなんとか200万円を用意。

そして返済日に老夫婦に200万円を返済し、「残りについては引き続き運用してもらえないでしょうか?」と必死に頼み込み奥さんは「これが最後ですよ?6月末まで、運用します」と返答。

しかし、岡藤に残りの2500万円もの大金をすぐに返せるあてなどなく「今度こそ夫婦が銀行に問い合わせるかもしれない。そうすれば、今までの不正融資が全て発覚する」と焦るもなんの解決策も浮かばなかった。

返済期日となった6月30日、さらに2日間だけ返済を待ってもらったが、返せるあてはない。さらに7月1日に岡藤の異動が確定し、引継ぎが必要になった。担当が変わるとすぐに全てが発覚すると恐れた岡藤は7月2日、老夫婦のもとを尋ね転勤になった旨を伝えると、用意したひもで首を絞め老夫婦を殺害。

2日後、マッサージを受けに来た常連客である岡藤の前任者が遺体を発見。その後、警察が老夫婦の交流関係をあたると岡藤が浮上、岡藤は犯行を認めた。

裁判の結果、無期懲役の判決が下された。

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