わけあって2年間、実家にこもってニート生活を続けてきた28歳・
嫌々ながらも、京子が校長を務める私立名新学園2年10組の担任をやることになった静。同じ2年生の担任には、正義感強めの数学教師・
名新学園はもともと伝統ある名門進学校だったが、時代の流れと共に入学希望者が激減。経営を立て直すために、教頭の
そんな中、負けず嫌いの静は、ついカッとなって一軍女子のリーダー・
やる気ゼロなのに、教師として、したくもない“説教”をする羽目になる静!「いじめ」を「イジリ」だと主張する生徒らに静が繰り広げるのは、とんでもない“説教”で――!?
「先生、私を助けてください」。クラスでイジメを受けている生徒・内藤彩華から助けを求められてしまった静は「私に言わないでよ~」と大困惑……いや大迷惑!担任教師として何とかしなければいけないプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、一晩中パソコンと向き合うが……。
翌朝、ゲッソリした顔で出勤する静。心配してくる浦見に「誰にも言わないでほしいんですけど…」と、うっかり相談してしまったことから、事態は大ごとに発展。浦見が職員会議で彩華のイジメ被害を報告してしまったのだ。しかし、学年主任の大口は「内藤さんはイジられキャラなんですよ。本人も笑ってるし」と、イジメではなくイジリだと言って取り合ってくれず、教頭の新庄からも「イジメというのは大変デリケートな問題です。勝手な判断で行動しないように」と静はクギを刺されてしまう……。
モヤモヤした気持ちのまま教室に入った静に、彩華が躊躇いがちに「あの…先生…陽奈ちゃんに謝ってもらえないでしょうか?」とスマホの動画を見せてくる。動画には、昨日、静が一軍女子のリーダー・綿貫陽奈に向かって「黙れガキ」と言い放つ姿が映っていた。「謝らないなら…この動画ネットにアップします」と脅してくる彩華。陽奈に言わされているのだと察した静は頭に血が上り、「綿貫さん…あなたが言わせてるんでしょう?」と、新庄の命令を無視して陽奈を追及。シラを切って口答えしてくる陽奈を、昨夜ネットで見た『口論で負けない方法』を思い出しながら徹底的に論破。イジメではなくイジリだと主張する陽奈に向かって、「バカの一つ覚えね。私はあなたのイジリを見ても一つも面白いって思えなかったその時点でもうイジメよ!」と捲し立て、陽奈を黙らせるが……。
騒ぎに気付いた大口によって静は連れ戻され、新庄にこっぴどく叱られる。「教師が生徒に向かって…こんなセリフを…どういうつもりなんですか?」と怒り心頭の新庄。すると校長の京子が静をかばい、「大人にナメた態度をとる子どもには少しくらい厳しく叱ってもいいと思います。相手を思い、相手の納得する正しい言葉を慎重に選べば必ず伝わる…あとは叱る側の覚悟だと思います」と主張。その一方で、静に向かって「叱ると怒るは違います。あなたのさっきのお説教は相手に論破されないためだけに言ったことです。自分のことしか考えてなかった…論破は何も生み出さない」と戒める。静は返す言葉もなく……。
2年10組の教室では、イラ立つ陽奈が彩華に「何で言わないの?イジメられてないって」と詰め寄り、クラスのみんなに静の動画を拡散するよう命令。しかし、みんな黙りこくってしまい、
静は「謝りたくありません!」と謝罪を断固拒否。京子が「だったら綿貫さんをちゃんと叱りなさい!」と諭すものの、静は「何で私が説教しなきゃいけないんですか?得がなさすぎます!」と譲らず、「教師向いてません!学校辞めます!」と勢いに任せて退職宣言!すると京子の堪忍袋の緒が切れて、「問題起こしたクセに何の説明もないままやめてくって嫌いだわ〜」。自分のしたことは自分で責任を取るのが社会だと一喝する京子は、「2年前のあの日から、あなたは自分の中に閉じこもってしまった。そこから抜け出したいのなら前に進みなさい」――。京子の言葉を受け止めて教室に向かう静は、ふと化学準備室の前で立ち止まり……。
再び2年10組の教壇に立つ静。教室の外から京子、新庄ら教員たちが見守る中、陽奈が「早く謝ってくださ~い」と静を挑発。しかし静は全く意に介さず、スマホをいじりながら「面倒くさい…」とつぶやくと、「謝るわけないでしょう。だって悪いのは内藤さんをイジメたあなただから」と覚悟を決めて説教を始める。「私は彩華をイジメてない」と言い返してくる陽奈に、静は「イジメとイジリは同じよ!!何も違わない。やられてる側がそれを良しとしてるか、してないか、それだけの違い」と断言。……もともとは、彩華は陽奈と友達になりたかった。だからツラいのにずっとイジられてきた。嫌だと言ってしまうと、ノリが壊れてしまうから、嫌われてしまうから……「分かるでしょう?昨日まであなたが内藤さんにやっていたことはイジリとして受け止められていた。でも今日一日でそれがイジメというノリに変わってしまった…あなたそれでみっともなく狼狽してたじゃない」。みっともないのは、急に態度を変えた他の生徒も同じだと断罪する静は「集団がある限り、多かれ少なかれイジメは存在する。それがなくなることは絶対にない!じゃあどうするか?私のようなその集団に属さない人間が空気を読まず暴力的にモノ申して、ノリを壊すしかないの!…一応、あなたたちより人生長く生きたものとして忠告します。人の気持ちが察せない人間が軽々しくイジりと言うな!それが分からず大人になって同じようなことしてるヤツもいっぱいいるけど…そういう人間はいつか大事なものを失うから!」――。静の“神説教”は、生徒たちだけでなく、教室の外に居る教員たちにも届いて――。
職員室に戻った静を、浦見が「本当に素晴らしいお説教だった。生徒への愛を感じたよ」と称えるが、静は「生徒に愛なんて全然ありません」と、スマホの画面を見せる。画面には、さっきの説教の文言がびっしりと書かれていて……。静は教室に入る前、化学準備室でこの説教の原稿を書いていたのだ。「こんな長い文、神様じゃなきゃ覚えられないんで…これ見ながら説教しました」と、しれっと種を明かす静。
学校を出ようとする静に、彩華が「ありがとうございました」と礼を言う。「これで私たち、本当の友達になれますかね?」と聞く彩華に、静は「あなたが彼女たちの顔色をうかがっている以上、それは無理だと思う。…それでいいじゃない?友達なんて…自然となるもんだから」。そう言い残して学校を出る静を、海斗が待ち伏せていた。「ねえ、先生ってSEEなの?」。海斗の言葉に驚く静で――。SEEとは!?第2話へ続く!!