『カズレーザーと学ぶ。』今回のテーマは『最新科学で解明!宇宙人は本当にいるのか?』
宇宙人はいる?人生観が180度変わる…最強天文学者の衝撃事実
『宇宙人の電波を感知せよ!SETI』
天体が発する微弱な電波を電波望遠鏡でキャッチする“電波天文学”研究の結果、「(宇宙人が)宇宙のどこかにいると考える方が自然」と断言するのは、国立天文台 水沢VLBI観測所本間希樹教授。教授は2019年、電波望遠鏡を用いて世界で初めてブラックホールの撮影に成功している。
そもそもブラックホールは、光さえ吸収してしまう天体であり、その姿を捉えることは難しい。教授の研究チームは、地球上6カ所に計8台の望遠鏡を組み合わせ、地球と同じ大きさの仮想的望遠鏡(視力はおよそ300万)を作ることでブラックホールの観測を果たした。
この電波望遠鏡が次にキャッチしようとしているのが、宇宙人が発する電波だ。私たち人間が、日常的に使用している電波を、文明を持った宇宙人も利用していると考え、通信や交信に使われている電磁波を探す取り組みが行われている。その名もSETI(地球外知的生命体探査)。太陽系近くの星を電波観測しており、これまでに宇宙人の信号の可能性がある電波を発見したこともあるという。
今のところその電波が宇宙人のものであるという確証はないが、電波望遠鏡研究の発展は続いており、地球近くにある約100万個の星を観測する計画だ。さらに今年の1月には、観測データをAIで再解析したところ宇宙人によるものと思われる8つの不自然な信号を検出した、との報告も上がっている。そのうち3つの星から2度受信した信号もあり、宇宙人存在の可能性が示唆されているという。
今後はさらに大きな望遠鏡の建設も計画され、宇宙空間で発せられる微弱な電波も捉えることができるようになる。他の惑星でテレビ放送がされていた場合、その電波を受信できるほど高感度なものになるそうだ。1つの銀河には2000億個の星があり、宇宙にはその銀河が1000億個以上もあるとしたうえで、太陽系に似た星や惑星系があって地球に似た星があってもおかしくないと締めくくった。
国立天文台 水沢VLBI観測所
所長 本間希樹
『太陽系の星「エウロパ」に地球外生命体がいる!?』
日本天文学会会長で東京工業大学 地球生命研究所教授の井田茂は、太陽系惑星の衛星に生命が存在する可能性が高いと語る。
そもそも太陽系には、生命が存在するのではないかと思われている星がいくつかあり、土星の衛星・エンケラドスもそのうちの1つだ。直径500kmほどの小さな星で、その表面は氷に覆われている。そしてこの氷の割れ目から水蒸気が噴き出している様子が観測されたことで、エンケラドスに生命が存在している可能性が出てきたという。水蒸気があるということは、その星に水が存在していることを意味し、約35億年前に海から生命が誕生した地球に似た環境がエンケラドスにあるのではないかとされている。
井田教授によると、生命が誕生するためには3つの条件が必要だという。その条件とは、①豊富な有機物の原料、②光や熱などのエネルギー、③それらが持続して与えられることだ。例えば地球の海底にはこの条件をそろえた『熱水噴出孔』と呼ばれるスポットがあり、地熱によって温められた水が地中から噴き出している。そこにはメタン菌という微生物がおり、そのメタン菌が作り出すメタンを栄養にする微生物や、その微生物を吸収する生物によって生態系が作られている。そしてこの特殊な食物連鎖を生み出す、熱水噴出孔が、エンケラドスの海底にも存在しているのではと推測されている。エンケラドスから噴出されている水蒸気の中に水素とナノシリカという粒子が含まれていることがわかっているが、ナノシリカは地下の海の底で岩石と海水が90℃を超えるような高温の状態で反応することで作られる。
表面温度が−200℃であるエンケラドスに熱水が湧くのは、エンケラドスが土星の周りを回る中で、土星の重力の影響を受けその形が変化するからだという。この運動によって、衛星の内部で摩擦熱が発生し、熱水を生み出すエネルギーになるそうだ。そして、このエンケラドスと同様の運動が、木星の衛星・エウロパでも起こっている可能性は高い。
すでにエウロパに向けて探査機・JUICEが打ち上げられており、2031年に到着予定だそうで、生命の発見が期待されている。井田教授はその環境が地球のものとは異なるとしたうえで、地球の常識にとらわれない柔軟な考えで生命を発見することができれば、地球の生命体への理解も深まるのではないかとまとめた。
日本天文学会会長
東京工業大学 地球生命研究所
教授 井田茂
『世界初!!宇宙人がいる根拠を○○から発見!?』
生命誕生に必要な3条件のうち、豊富な有機物の原料に着目し、研究を続けているのが北海道大学 低温科学研究所 大場康弘准教授だ。大場准教授は、“地球上の生命の種は宇宙からもたらされた”と指摘する。この仮説をパンスペルミア説と呼び、最初に仮説が提唱されてから120年が経つものの、今のところ強力な否定意見はないという。
昨年、このパンスペルミア説を解決しうる発見があり、生命は宇宙から来た材料によって出来上がった可能性が高いことがわかった。そのきっかけとなったのが、宇宙から飛来した『マーチソン隕石』という太陽系最古の隕石で、その隕石に地球の生命誕生に欠かせない遺伝子の材料の1つである『核酸塩基』が含まれていたという。遺伝子は地球上の全ての生物が持っている物質で、その構成に欠かせないのが核酸塩基だ。核酸塩基は5つの成分から構成されており、マーチソン隕石に、その5大成分全てが含まれることが明らかとなった。その成分濃度は、地球外の小惑星から採取したサンプルのものともほぼ同じであり、このことから遺伝子の材料が宇宙で作られた可能性が高いとされる。
これらの物質は、『星間分子雲』という星の誕生する場所で作られているのではないかと言われており、この星間分子雲は宇宙空間に多数存在することから、太陽系以外でも生命の種のもととなる核酸塩基が生成されるかもしれないという仮説が立つ。生命が誕生するためには、核酸塩基以外の要素も必要で、研究者たちはその条件を隕石の成分を調べることで、調査しているそうだ。
北海道大学 低温科学研究所
准教授 大場康弘