フランス17世紀、ヤンセン主義(キリスト教思想。人間の意志の力を軽視し、腐敗した人間本性の罪深さを強調した)の画家フィリップ・ド・シャンペーニュの絵画を髣髴とさせるこの作品は、レンピッカの最高傑作の一つに数えられる。描かれた頃、レンピッカは鬱病に苦しんでおり、絵に救いのメッセージを託したものと思われる。すなわち、この女子修道院長の涙は、レンピッカ自身のものであったとも言える。クローズアップの構成で、白と黒が悲しみにやつれた顔を取り囲んでおり、小さなサイズにもかかわらず、力強い印象を与える。(E・B)
作品解説
1935年/油彩・板で厚紙に貼ったキャンヴァス/ナント美術館蔵
© 2010 Tamara Art Heritage Licensed by MMI
Photo Ville de Nantes- Musée des Beaux-Arts - Photographie : C. CLOS
ADAGP & SPDA