第9章 王妃の私的な離宮:トリアノン

ピエール=フィリップ・トミール
《通称「二羽の雛鷲のついた」置時計》

1787年、マリー・アントワネットはプチ・トリアノンの部屋の装飾を一新することを希望した。ブロンズに金鍍金(めっき)を施した燭台の腕や置時計などは格子細工に手本を求めたので、その寝室は「格子細工の寝室」と呼ばれることになった。
この置時計はブロンズ鋳造師トミールの手になる。格子細工を模した透かし彫りのある台座が、柳を編んだ籠のような脚部に載っている。文字盤を支えるのは、オーストリアの象徴的標章である二羽の雛鷲である。当初、ムーブメントの一方の側には王妃の頭文字の入ったメダイヨンを持つアモル像が、もう一方の側には花籠が置かれていた。しかし、アモル像は革命期に取り除かれ、花籠は19世紀に消失してしまった。この置時計は1837年にトミール自身によって修復された。

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