丈夫で肌触りのいい繊維、綿(めん)。その用途は、シャツ、ジーンズ、下着に始まって、布団、シーツ、タオル、包帯、ガーゼ、綿棒、脱脂綿…と、実に多岐にわたります。しかし綿って、いったいどんな繊維なのでしょう?
そもそも綿とは、アオイ科ワタ属の植物。植物名ワタ、なのです。そして綿の繊維が採れるのは綿花。なんと1つの綿花から1000本から15000本の綿の繊維が採れるのです。しかし綿花はワタの花ではありません。実は綿花は種子の表面の細胞が変化したもの。本当の綿花、つまりワタの花は、ちゃんと普通の花なんです。
| 綿花はワタの花ではなかった!
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そんな綿花ですが、水に浮かべると、ずーっと水の上に浮いたままなのです。押しても沈まない綿花、それならば多摩川に流してみたらどうなるのでしょう?綿花をつないで作った特製いかだに所さん人形を乗せ、17キロの川くだりに挑戦。途中までは順調だったのですが…、なんと矢野左衛門の手下、中森之助が見失ってしまいます。そもそも、綿花が水に浮くのは、表面にワックスなどの脂分が含まれているからなのですが、これを取り去った物が脱脂綿。だから、脱脂綿は水を吸い込むことが出来るのです。実は、この綿花が水に浮くという性質に、植物ワタの生き残り作戦がありました。というのも、綿花は風にまかせて海や川を流れ、分布域を広げるというわけです。
ふわふわの綿花から糸を作るのは、実はとても簡単。種子を取り去り、綿花をほぐして、よりをかけながら引っ張るだけ。でも、見た目は似ているパンヤなどの線維ではこうはいきません。綿は線維自体によじれがあるため、ちょっと引っ張るだけでつられて次々と引きずり出されていくのです。
なぜ綿が人気ナンバーワンなのでしょう?その理由は安いから、だけなのでしょうか?そこで、矢野左衛門を含んだ男女4人が、綿、絹、羊毛、ポリエステルの4種類のシャツを着て、気温30℃、湿度85%の人工気象室に入って実験です。すると、ウールは水をはじき、ポリエステルでは服が張り付いてしまいました。綿はしっかり水を吸って、その上、服が肌にあまり張り付いていません。肌触りが良く、バランスの取れた綿は、日本の夏にぴったりなのです。
羽毛布団に最近押され気味の綿布団。ところが、軽くて寝返りも打ちやすく温かい羽毛布団ですが、矢野左衛門には暑くて暑くてたまりません。なぜこんな結果に?そこには羽毛布団の思わぬ弱点があったのです。確かに暖かい羽毛布団に対し、綿布団は湿度が低く、蒸れにくい構造になっているのです。それは、羽毛が布団から飛び出さないようにする、ダウンプルーフ加工のため。目地の詰まった羽毛布団の生地には、水分を通さない性質があるのです。
| 汗をかきやすい人には綿布団、冷え性の人には羽毛布団がおすすめ!
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