地球の周りを飛び回る人工衛星。実は意外と日常生活でお世話になっているものなのです。おなじみ放送衛星、気象衛星を始めとして、なんとカーナビゲーションも衛星によって場所が分かっているのです。
今回なんと矢野さんの、矢野左衛門の衣装、カツラが盗まれてしまいました。盗んだのは謎の新キャラクター、目がテン!怪人。怪人は「人工衛星で見つけろ」と訳の分からない指令を出してきました。はたして矢野左衛門の衣装は見つかるのでしょうか?
取りあえずは人工衛星について知ろうと、リポートに出た矢野さん。なんと日本で制作中の人工衛星を見ることが出来ると聞いて、つくば市に有る宇宙開発事業団に向かいました。そこに有った地球環境をグローバルに観測する、アディオスIIという人工衛星。高さは6メートル、重さは3.7トン、2階建ての家ほどの大きさです。さらに太陽エネルギーを受けるための太陽電池パネルを全部広げると、全長24メートルにもなるんです。
その人工衛星ですが、見ると一面金色の紙状のものが、それも結構ラフにくっついています。これはサーマルブランケットというもの。材料に使われているポリイミドという素材は高温や紫外線、宇宙線などに非常に強い物質なのです。真空の宇宙は、太陽の光が当たっている場所は120度を超え、陰の場所ではマイナス180度になるという大変過酷な場所です。目がテン!ではこの条件を人工的に作り出して実験してみました。すると、表面温度が120度以上になっても、サーマルブランケットで包まれた内部は26度に保たれていました。
| サーマルブランケットはポリイミドに、網状の繊維を幾重にも重ねて真空を作っているので、さらに断熱効果を増している!
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矢野さんのもとに、目がテン!怪人から謎の機械が送られてきました。それはGPS(グローバル・ポジショニング・システム)の機械。このシステムはカーナビにも使用されていて、自分のいる場所、及び目的地への距離、方向がわかるというスグレモノ。3つ以上の人工衛星の発する電波を受信してそれぞれの衛星からの距離を出し、その同心球の交わる位置から、現在位置を割り出すのです。
いろいろ役に立っている人工衛星。しかしそんな人工衛星にも思わぬ問題が有りました。それはスペースデブリ(宇宙のごみ)という、古くなった人工衛星や人工衛星打ち上げのロケットが粉々になったりして宇宙をさまよっているもの。確認できる大きさものだけでも9000個。ちり程度の大きさになるとなんと数100万個にもなると云うのです。秒速7キロのスピードで走るデブリ。実験ではたった1グラムの弾を同じスピードで厚さ26ミリもあるアルミ板にぶつけてみました。すると大きな穴があいてしまったのです。このスペースデブリ、21世紀の宇宙開発に支障をきたすのではと危ぶまれています。
| 小さなデブリでも、高速でぶつかった場合、恐ろしい破壊力を持っている。
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矢野さんが最後に受けた指令は、上空からの衛星写真で場所を特定することでした。矢野さんは、かつては軍事目的で打ち上げられ、上空からの写真を撮ることが目的だった衛星が、今民間用に使用されているということを知り、早速その力を借りることにしました。このイコノスという衛星は地球画像衛星といい、1メートル四方のものを判別できるという驚異の解像力を誇っています。現在赤外線を利用しての、農作物の生育状況の調査や、建物などを把握する詳細な地図の製作など、様々な分野で利用されています。
この衛星の威力により、目がテン怪人の指定した場所は、東京都内の日比谷公園と判明、矢野さんは無事矢野左衛門の衣装を見つけることが出来ました。めでたし、めでたし。
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