トゲが有ってフタの丈夫な貝、サザエ。これからの季節は、8月の産卵期を控えて栄養をため込むので旬なのです。今回はそんなおいしいサザエの意外な姿に迫ります!
サザエのトゲの役割はいったい何なのでしょう?身を守るため、というのは想像がつきますが、実はそれだけではないのです。矢野さんが水産試験場に行くと、何と出てきたのはトゲの無いサザエ!これは決して種類の差ではなく、サザエは環境に応じてトゲを作ったり作らなかったりするのです。台風などの大シケ時の水深10メートルにおける流速、秒速26センチで水の流れる水槽に、この2つを入れてみると、トゲの無いサザエはコロコロとどこまでも転がっていくのに対し、トゲのあるサザエは岩の間にトゲが引っかかってうまくとどまっています。波から身を守るこのトゲは、波の強い外海で発達し、逆に波の穏やかな内海で獲れるサザエには、トゲが無かったのです。
| サザエのトゲは、波に流されず、棲みやすい環境にとどまるために必要なものだった!
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サザエのフタにも、もちろん体を守る役割が有るのですが、それだけではなかったのです。サザエにはフタが有るため、殻の中に容積の10分の1の15ミリリットルの海水をたくわえておくことができ、陸上に上がっても3〜4日ほど生き延びることが出来るのです。でも、陸に上がったサザエは、フタをピッタリと閉じ、じっとしたままです。
そこで「目がテン!」はヒトが水に潜る時に使う、空気ボンベの逆を行き、海水を点滴のように補給し続ける装置を使って、地上を歩くサザエが作れないか大実験。結果は大成功!!まるでカタツムリのように元気に動き回る、海水タンク・サザエが地上を制覇しました。けれど動いたのは結局30分くらいで、その後は海水を補給してもお疲れのままでした。
サザエのフタがどれだけの力に耐えられるでしょうか?かつて「目がテン!」ではアワビの岩に引っ付いている力を測定しました。その結果は5キロ。今回サザエのフタにもまったく同じ装置を付け実験です。アワビと同じ5キロまではまだまだ余裕のサザエでしたが、少しずつ身が引っ張られていき、9キロを過ぎた所でなんと身が切れてしまいました。ちょっと可哀相な実験となってしまいましたが、ここまでフタはついたままで記録は9キロ。この強力な開かずの扉で、サザエは外敵から身を守っているのです。
よく見ると殻に細かくついているしま模様。じつはこれ、殻を成長させるために、外とう膜という器官から1日ごとに分泌されるカルシウムが固まって線となって現れた、年輪ならぬ日輪なんです。それではこの日輪を数えればサザエの年齢ならぬ日齢がわかるはず。もちろん「目がテン!」が数えました。日輪はサザエの成長と共に中央から外に向かって刻まれ、それがらせん状に連なっていきます。そして日輪がハッキリ確認できる5ヶ月目からスタートしてスタッフが日輪をひたすら数えること3時間!547日目のサザエであることがわかりました。一般的に出回っているサザエも、2年くらいのものが多いようです。
| サザエには年輪ならぬ日輪があった。
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この日輪、エサによってその色が変わるといいます。海藻のカジメやアラメを食べると白、オゴノリやテングサを食べると赤褐色になるというんです。それではエサを周期的に変えたら、模様ありのサザエが出来るのでしょうか?そこで2週間おきに白くなるエサと、赤くなるエサを交互に与えて待つこと8週間。なんと全身シマシマの、目がテン特製・紅白サザエが見事完成しました。
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