アメリカ・フロリダが舞台の夏休み海外特集。2週めの今週は、フロリダ半島南部に位置するエバーグレーズ湿原が舞台。永遠の湿地帯という意味のこの湿原、なんと東京都が2つ入ってしまうほどの大きさ。そして1982年には世界遺産にも指定されています。そんな大湿原をインディー・ジョーンズならぬインディ矢野・ジョーンズが探検します。日本にいるよりもスケールもパワーもアップした動植物に出会う探検旅行の始まり始まり…
探検隊の前に、いきなりジェット機の音を立てて飛び掛かってくる怪しい影。なんと蚊ではありませんか。その数は、半袖シャツだとヒトが死ぬ可能性も有るという半端でないもの。スタッフの長ズボンも真っ黒になってしまいました。そのあまりのすごさに、天気予報ならぬ「蚊予報」なんてものまである始末です。
エバーグレーズには、植物およそ1200種、ほ乳類25種、魚類125種、鳥類400種と、大変豊富な動植物が生息しています。そこには首を蛇のように動かし、水中の魚を鋭いクチバシで突き刺して飲み込むヘビウや、日本のスッポンの3.5倍にあたる、40kgの力で噛みつく巨大スッポン、さらに噛む力が234kg!全長80cmのワニガメなど、我々の想像を絶するアメリカンなパワーとスケールを持った生物達がいるのです。
フロリダを代表する動物といえばワニ!エバーグレーズにも多数のワニが生息しています。固体数の多い体長4mほどのアリゲータと、体長7mにも達する、フロリダ最大の爬虫類クロコダイルの2種が生息するここはワニの本場、その捕食光景はド迫力です。
矢野さんは果敢にもワニの巣探しに乗り出しました。発見されたアリゲータ巣は、枯れ草や枯れ枝で作られた塚のような形をしたもの。中にはニワトリの卵よりも少し細長いアリゲータの卵が38個もありました。しかしアリゲータは、なぜこんな所に卵を隠しているんでしょうか?試しに巣の中の温度を測ってみました。外の温度は28.6℃、温度計を巣の中に差し込んでみると数値は31.4℃に上昇しました。実は枯れ草の腐食熱を利用して卵を温めているんです。しかし巣の発見に喜ぶ矢野さんの背後には、恐ろしい影が潜んでいました。アリゲータのメスは母性愛が大変強く、巣の周りで卵を守っているというのです。ならばこの近くにもいるはず…矢野さんは大慌てで巣を戻して逃げました。けれどあんな狂暴そうな生き物でも本当に母性愛が強いのでしょうか?そこで、こんな実験をしてみました。アリゲータの生息する川のほとりで、録音したワニの子供の泣き声をスピーカーで流してみると、2分後には数え切れないほどのワニに囲まれ、スピーカーを子供と思ったのか、最初に現れた1頭が口にくわえて水に引きずり込んで持ち去ってしまいました。
| ワニは大変母性愛の強い動物である。
|
|
エバーグレーズは植物の宝庫でもあります。マングローブに、サイプレス、さらには人間が乗れるほどの大きさの浮き草が有ります。
そんななかに、インベーダーがいるとの噂。メラルーカという植物です。オーストラリアから来たこの植物が、いまエバーグレーズの自然を脅かす存在になっているというのです。許可をいただいてこの木を切ってみると、外側はフニャフニャと柔らかく、中は硬い二重構造となっています。メラルーカの水を吸い上げる力は、他の植物よりもはるかに強く、湿地の水をどんどん吸い上げることで湿地は乾き、元々あった植物が次々と枯れていってしまうのです。このメラルーカは湿地の干拓の為に人間が持ち込んだもので、そのためにエバーグレーズの生態系が崩れてきているのです。
| 人間が持ち込んだ植物が、湿地の生態系に打撃を与えている。
|
|
インディ矢野・ジョーンズに与えられた使命は、1994年に絶滅したといわれるフロリダピューマを探すこと。矢野さんは、目撃情報のあるエバーグレーズに住むネイティブアメリカンの村を訪ねました。そこでピューマに詳しい、村のリーダーに協力してもらえることになり、あらためて捜索開始です。捜索して二日め、リーダーが足跡を発見しました。そこで付近の薮へ分け入っていくと…遠くにすらっとした美しい肢体の動物がこちらを見ているのを発見!まさしくフロリダピューマです。詳細な調査の結果、現在エバーグレーズには50頭ほどが生息していることが分かっていますが、ここの広大さを考えれば、奇跡的な遭遇でした。フロリダピューマがここまで激減したのは、今世紀初めに人間はエバーグレーズ開発のために道や運河を造り、そのために生態系が狂い、ピューマの餌となる小動物が減ったためだと言われています。さらに地球温暖化のために500年後にはエバーグレーズの湿地が消滅するとも言われています。貴重な動植物の宝庫であるエバーグレーズ、何とか守っていかなければなりません。
|
|