日本人は卵好きな民族だった!? 日本人1人当たりの卵の年間消費量は、実に305個。ほとんど1日に1個卵を食べている計算です。そしてこの量は世界でダントツの1位だったのです。
そんな卵ですが、実は非常に科学的かつ合理的に出来たスグレモノだったのです。おいしいだけではない、卵の優れた一面を、今回の「目がテン!」で明らかにしていきます。卵に対する見方の変わること請け合いです。
卵の黄身と白身、白身の方が、黄身よりも重さが2倍もあるなんて知っていましたか?けれどカロリーは、黄身が白身の3倍もあります。白身の90%は水分で、残りの10%がタンパク質です。それに対し、黄身の水分は51%しかなく、脂質31%、タンパク質16%と、栄養豊富です。
「目がテン!」では、おいしい目玉焼きの作り方を、科学的に解き明かしました。そのコツとは、そっとそっと卵を落とすこと。これで全く食感が変わってくるのです。卵の黄身のタンパク質は、卵黄球という膜に覆われていて、この卵黄球が熱で固まる事により、ゆで卵の黄身のようなポロポロとした食感が生まれます。しかしこの卵黄球は非常に弱く、ちょっとした衝撃で敗れてしまいます。そのため、高い位置から卵を割り落とすと、フライパンに落ちた時の衝撃で卵黄球の膜が破れ、中のタンパク質同士がくっついてべタッとした食感の目玉焼きになるのです。
生卵を割った時に黄身の横にくっ付いている、白いネジ状の物体。カラザ、という立派な名前がついているのですが、いったいこの物体の役割とは?ただの飾りではなく、カラザは黄身の両端と殻の内側をつなぎ、黄身を卵の中心に保っているのです。更にバネのようにねじれている事により、どんなに卵が転がっても、胚が上を向くように、姿勢を制御していたのです。カラザは、卵の生命活動に重要な役割が有ったのです。
| カラザは黄身の姿勢を守るサスペンションだった。
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スタジオでは所さんが生卵を手のひらで割ることに挑戦。ところが、割れません!今度はアームレスリングの現役日本チャンピオンが挑戦。しかしやっぱり割れませんでした。なんでこんなに卵は強いのでしょう?卵は、橋やトンネル等に使われているアーチ構造を束ねた形をしています。この構造は、圧力を左右に分散できる強い構造を持っている事で知られています。この強いアーチ構造を束ねて全方向からの圧力から守られているために、卵はこんなに強いんです。この卵のような構造をシェル構造といい、東京ドームの設計にも取り入れられています。
更に今度は無謀にも、水深10000メートルの海底の水圧下に卵を置いてみました。卵はやはりびくともしませんでした。しかし、専門家によるとシェル構造だけではこれほどまでの水圧には耐えられないというのです。なぜなら卵はその中に水圧の影響を受ける空気を含んでいるからです。卵の殻の表面にはヒナが成長するのに必要な空気を取り入れるために、約1万個もの気孔と呼ばれる小さな穴が空いています。卵に水圧を加えたとき、この気孔から水が浸入して、中と外の水圧の差を無くしていたんです。そのため卵は、1000気圧にも絶える事が出来たんです。
| 卵の形は、力学的に大変優れた構造だった。
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魚住アナウンサーはこれまで実現不可能と言われていた、伝説の黄身返し卵作りに乗り出しました。黄身と白身の位置が入れ替わった卵で、江戸時代には作ることに成功していたという卵です。ところが、江戸時代の製造方法に従ってもうまく出来ないのです。今回魚住アナウンサーも慎重に挑戦しましたが、やはり失敗しました。
長年の失敗には実はある落とし穴が有ったのです。江戸時代と同じ卵を使うことだったんです。黄身と白身が逆転するという事は、黄身と白身の量が逆転している卵が必要です。という事は、胚が成長するにしたがって白身の水分や栄養を吸って黄身が大きくなり、黄身と白身の分量の逆転する卵、有精卵を使う事が成功の秘訣だったのです。早速有精卵を探す魚住アナ、そして古文書にある通り、針で穴をあけて鉄瓶でゆでます。すると…みごと幻の黄身返し卵が誕生したのです。
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