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所さん絶賛 幻のリンゴ
#607 (2001/11/18)
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これからの季節の果物といえばリンゴ。“apple”という言葉がもともと果物の総称だったことからもわかるように、なんと4000年も前から栽培されているリンゴは、人類との付き合いは大変古いのです。しかし日本に入ったのは明治時代と、意外と最近でした。戦後「リンゴの唄」が歌われるなど、日本では急速に人気が高まったのです。
戦後日本の食卓をにぎわしたリンゴは、果肉が固く淡白な国光(こっこう)と、酸っぱさが特徴の紅玉(こうぎょく)でした。しかしいずれも、バナナやミカンの急激な台頭も有って、表舞台から姿を消してしまいました。特に国光は、もはや市場では全く姿を見かけません。しかし今日、国光とデリシャスが交配して出来たふじというリンゴが、国内生産量の半分を占めています。
幻の国光を探し、矢野さんは青森に飛びました。ようやくリンゴ畑で、幻の国光の木と出会ったのです。しかしなっている実はふじでした!実はふじは、国光とデリシャスが交配して出来た568種の内の1種。再び交配によってふじが生まれる可能性は極めて低く、しかも交配種のため、種子をまいてもふじの実がならない可能性の方が高いのです。そこで、ふじは、つぎ木によって次々と同じ味の実をつけたのです。国内生産量の過半数をしめるふじの実は、みんなつぎ木で出来たクローンだったのです!
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ふじの原木は世界に1本、岩手県に有るだけ。その実をワタシが試食!何だか味が濃い気がした!
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リンゴはなぜ赤いのでしょう?矢野さんは袋のかかっている実の袋を取ってみました。するとその中には白っぽい実が!実はリンゴの実は、成長する時も光合成をするので、袋をかけていないと葉緑素を蓄えてしまい、緑っぽい実になってしまうのです。そこで実が大きくなるまで袋をかけると、袋を取った時、紫外線から実を守るための赤い色がでてリンゴの実は真っ赤になるのでした。
リンゴの赤い色は紫外線から身を守るため。リンゴを赤くするため、農家では実の向きを変えまんべんなく日光を当てる“玉回し”や、木の根元に日光を反射するシートを敷き、実の下の方にも日光を当てる“尻あぶり”など、様々な技でリンゴの実に日光を当てていました。
かつて科学者ニュートンは、リンゴが落ちる事から万有引力の法則を発見したといわれています。台風の時も落ちたと話題になるのは決まってリンゴの実。リンゴの実のつるといわれる部分を見てみると、やや切れ目が有り、そこから実がもげるようになっていました。これは離層といわれる部分で、実が成長するとこの離層が成長し、実が落ちやすくなるようになっていました。この離層はイチョウなどの落ち葉にも有りますが。果実にはあまり有りません。他の果実に比べてリンゴの実が落ちやすいのはこのためだったのです。
リンゴの本当の芯は一体どこなのでしょう?よく中央部の、丸い線で囲まれた部分を丸々芯として切り落としていますが、果たしてそれでいいのでしょうか?
芯を仕切ると思われているその線は、果心線というもので、果肉に向かって放射線状に糖分を運ぶ役割が有ります。やはりこの内側が芯なのでしょうか?そこで果肉の各部分の糖分を測ってみると、皮のすぐ内側は14.1、果心線のすぐ近くは13.1。しかし果心線の内側も11.5!十分糖分が有ったのです。
果心線の内側も立派な果肉だったのです。では真の芯はどれだ?慎重に果肉をブラシを使って削ぎ落としました。すると現れたのは、星型の芯だったのです!
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これが真の芯の姿!我々はリンゴの食べられる部分を捨てていた…。
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