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なぜ飛べる?トビウオ
#627 (2002/04/14)
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空飛ぶ魚、トビウオはこれから夏にかけてが旬。トビウオはれっきとした食べられる魚なのです。しかしなぜトビウオは飛ぶのでしょう?そしてトビウオが飛ぶために身に付けた、驚異の体の作りとは?
トビウオの食べ方で身近だけれど意外と知られてないのが、トビッコというトビウオの卵。イクラの代わりにお寿司の上に乗っている小さい赤色の卵、あれがトビッコなのです。結構身近だったのですね。その他、くさやの干物、そして山陰地方から中国地方では“あご”と呼ばれ、だしやちくわなどの練りものに使われています。
矢野さんはトビウオ漁が行われている伊豆七島の八丈島に行きました。なんとかトビウオを生け捕りにして、スタジオに連れてくるためです。そこで目撃したトビウオの飛ぶ姿!トビウオは表層魚といって、海面近くを泳ぐ魚。このため大型の魚に捕食されやすく、これから逃れるため飛ぶのです。トビウオの稚魚は生後2週間ほどでヒレを大きくし始め、稚魚のうちから飛ぶことが出来るのです。
トビウオは最長400メートル、42秒飛んだ記録があるそうです。いったいなぜトビウオはそんなに長く飛べるのでしょう?トビウオは、大きな胸ビレと、これもやや大きくなった腹ビレでグライダーのように滑空して飛びます。そして飛び立つ時に使うのは、これまた発達した尾ビレ。この尾ビレで水をかいて飛び立つのです。着水しそうになった時、この尾ビレで水をかいてまた飛び立つという離れ技も持っているんです。
さらにトビウオは波のてっぺんから飛び立ちます。こうすると高さが稼げるだけではなく、波を昇る上昇気流に乗れるという利点が有るのです。こうしてトビウオは長距離を飛べるのでした。
トビウオのくさやはおいしいと通の間では有名。八丈島で矢野さんがくさや工場にお邪魔しました。そこでトビウオの解体を見て、ビックリ。トビウオには胃が無く、消化管も直線だったのです!他の魚を見ると、例えばサバには胃も有り、消化管もねじれてそれなりの長さになっています。トビウオは、消化管をなるべく短くすることで、体内に食物を残さず、体を軽くしていたのです。
さらにトビウオの骨を、同じ体重のサバの骨と重さを比べてみると、トビウオの方が軽かったのです。電子顕微鏡で見たら、トビウオの骨はすき間だらけだったのです。書物にも「骨がそしょう(スカスカ)」と書かれているほど。こうしてまでトビウオは、身を軽くしていたのでした。
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トビウオには胃が無く、骨がスカスカ!こうして身を極力軽くしていた。
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矢野さんはいよいよ夜の海に出て、トビウオ生け捕り作戦に挑戦です。しかし厳しい海に矢野さんはあえなくダウン。トビウオは暗い夜に光でおびき出され、刺し網という網に引っ掛けられ獲られます。見事獲れたのですが、岸に着く頃にはほとんど全滅状態でした。表層魚は一般的に、ずっと泳ぎ続けてないと呼吸が出来ず死んでしまう、なかなか運搬・飼育の難しい魚なのです。
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