|
W杯守りの要 キーパー
#631 (2002/05/12)
|
|
いよいよ今月31日、ワールドカップサッカーが開幕します!そこで「目がテン!」もサッカーを科学しちゃいます。しかし30分では全ては語り切れない…そこで今回は、守りの要・ゴールキーパーを科学してみることにしました。すると意外とサッカーの全体像も見えて来る!?のです。
矢野さんはJリーグの東京ヴェルディー1969に1日入門しました。まずはプロのPK(ペナルティーキック)を受けてみますが、全く受けることが出来ません。距離を2倍にしてもらっても、やはり受けられません。これに対し、プロのキーパーは、矢野さんが半分の距離からPKをけっても、見事に止めてしまいました。
この差は、反応速度の差なのでしょうか?しかし計測してみても、プロのキーパーと矢野さん、思ったほど違いは無いのです。そこで両者の動きをもう一度スローで見てみると、なんとプロのキーパーは、ボールがけり出される前から動き始めていたのです!
キーパーは、キッカー(ける人)の目の動き、そして軸足の方向からボールがどこにけられるか予測し、ボールがけられる前に動いていたのです。試しに、キッカーにサングラスをかけてもらい、しかも足元をのれんで隠してみると、あら不思議、キーパーはとたんにボールが止められなくなってしまったのです。
|
キーパーはキッカーの目線、軸足の向きを見て、ボールがどこに来るか予想していた!
|
|
|
矢野さんはフットボールクラブ所属の小学生のPKすら1球も受けることが出来ませんでした。そこで東京ヴェルディーの外国人コーチに付いて1日特訓です。なぜか低いコースのボールばかり取らされる矢野さん。「高いボールの方が難しいし、取れたらかっこいい」と思ったのですが、なんと真相はその逆。低いボールの方が取るのが難しいというのです。
試しにキーパーに、同じ距離での高いボール、中くらいのボール、低いボールに手が届くまでの時間を計ると、なんと中→高→低の順で、確かに低いボールが手が届くのに一番時間がかかったのです。低いボールは、そこに直に飛びつこうとすると、地面と足の角度が小さいため、スリップしてしまいます。低い所に飛ぶには、まず少し高い所に飛びあがって、その後体をひねって低い所へ向かわなくてはならないのです。このため時間がかかるのでした。
特訓の成果有って矢野さんは小学生のボールを、3球中1球、なんとか受けることが出来ました。
さて、ワールドカップ、日本チームは決勝ト−ナメントに残れるのでしょうか?その鍵を握るのが、やはりキーパーに関わるものなのです。それはバナナシュート。キーパーの目の前で大きく曲がり、キーパーを惑わすキック。これが日本のサッカーのお家芸だというのです。
このボールを蹴るには、ボールの中心をやや外して蹴らなくてはなりません。するとボールが回転し、ボールの左右で流れる空気の速さに差が埋まれます。この差が左右の空気の圧力差を生じ、ボールが曲がるのです。
ドリブルからのシュートよりも、セットプレーからの得点の方が得意な日本。このバナナシュートが決まれば、決勝トーナメントも夢ではありません!
|
|
|