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ベトナム 米 大河メコン
#642 (2002/07/28)
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夏休み海外特集、ベトナム。2週めの今週は、ベトナム南部が舞台。世界最大の米どころ、メコンデルタと、その米どころを作った東南アジア最大の大河メコン川に、矢野明仁リポーターが迫ります。メコン川がもたらしたものは、なにも米ばかりではありません。その雄大な自然も紹介します。
ベトナム料理の1つの特徴が、米をふんだんに使っていること。生春巻きを巻くライスペーパーも米から出来ていますし、ベトナム版うどんのフォーも米の麺なのです。しかしベトナム米は細長い米。かつて米不足のとき日本をにぎわせたタイ米と同じ種類、インディカ米なのです。日本の丸い米、ジャポニカ米との違いは何なのでしょう。
そこで矢野さんは日本の米でライスペーパー、フォーを作りベトナムの方に食べていただきました。しかしベタベタすると評判は良くありませんでした。米にはアミロペクチンとアミロースという2種類のデンプンが含まれていますが、弾力の有るアミロペクチンの組織を分断するのがアミロース。このアミロースの量はインディカ米の方がジャポニカ米より多いのです。なのでジャポニカ米でライスペーパー、フォーを作ると、ベタベタしたものになってしまうのです。逆にインディカ米を炊いても、パサパサとしたものになってしまうのです。
矢野さんが向かった、メコン川が作った三角州・メコンデルタは、世界有数の米の産地。矢野さんがここでのベトナムの米作りを体験しました。何と矢野さんは1日で種まきと収穫の両方を体験してしまいました。ベトナムは1年中米作りの出来る気候で、なんと三期作も可能なのです。
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三期作も可能なベトナムの米作りでは、イネの発育もよいため、種もみも直まきなのだ!
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東南アジア最大の大河、メコン川。この川の流域はモンスーン気候で、雨季と乾季が有り、雨季(5月〜12月)には時に洪水を発生させます。しかし人々はその洪水に対応すべく様々に工夫された住居を作ってきました。その1つが浮き家。竹やプラスチックの棒を家の下に何本も置いて浮いているこの浮き家。なんとその家の下に網を張り、ナマズの一種の魚まで養殖しているというしたたかさです。
さらに植物もこの洪水に対応していました。それが浮き稲。水面に稲穂を出すため、なんと全長3メートルにもなるという恐ろしいイネなのです。そしてさらには浮き野菜なんてものも有りました。その名前はミズオジギソウ。茎の周りに空気の入った浮きを持っていて水面に浮かんでいるこの野菜は、茎の部分が立派なベトナム料理になっています。
メコンデルタの生んだもうひとつのもの、それは野鳥の楽園でした。メコン川の支流の流域に、なんとサギやウなどが15万羽も集まっていたのです。メコン川は中国を始めとして6カ国を渡ってくる大河。このため各地の栄養分を豊富に含んでいます。この川が洪水を起こすことで、その栄養豊かな水が行き渡り、農作物も豊かに実り、そして野鳥たちも豊富なエサを求めてやってくるわけです。
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メコン川は洪水によって、その栄養豊かな水を流域に行き渡らせている!
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