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なぜうまい?土鍋の謎
#664 (2003/01/12)
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冬はやはり鍋の季節。体の芯まで温まりますよね。日本を代表する鍋といえばやはり土鍋。実は歴史は結構浅く、本格的に定着したのは戦後になってからなのです。そんな土鍋ですが、実は科学の目で見ていくと、その恐るべき実力が明らかになってきたのです。これであなたも鍋奉行!?
なぜ、一般的に言ってしゃぶしゃぶは銅鍋、すき焼きは鉄鍋、寄せ鍋は土鍋とその役割が分かれているのでしょう?そこで鍋の異種格闘技戦を開催です。
まずは3種の鍋でしゃぶしゃぶ。6枚同時に肉を入れてみます。するとそれまで100度だった鍋の中の水温が、銅鍋はほぼそのままだったのに対し、鉄鍋は94度、土鍋は93度まで下がったのです。そして肉に火が通るのも、銅鍋→鉄鍋→土鍋の順番でした。
今度はすき焼き。すると銅鍋では肉が鍋にくっついてしまい、土鍋ではなかなか肉に火が通らず、火が通った時には肉が固くなってしまいました。
以上2つの理由は、熱伝導率の差でした。熱の通りやすさを、土鍋を1とすると、鉄鍋は40倍、銅鍋は400倍も有るのです。
しかし寄せ鍋を3種の鍋で作ってみると、鉄鍋と銅鍋で春菊がクタッとしてしまうのに対し、土鍋ではシャキッ。もちろん美味しさも一番でした。これはなぜなのでしょう。そこで鶏肉を食べられるまで3種の鍋で煮る実験です。すると土鍋が一番時間がかかったのですが、鍋の中のうまみ成分・アミノ酸量を測定すると銅鍋311、鉄鍋516に対し、土鍋は750(単位は全てmg/l)!と土鍋がダントツだったのです。
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土鍋はゆっくり火を通すことで、鍋の中にうまみを一番引き出すことが出来る!
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そして土鍋にはもう一つ大きな利点があるというのです。それは、「豆腐に優しい」。本当なのでしょうか?銅鍋で煮た豆腐と比べると、たしかに土鍋で煮た豆腐は形も崩れぬままきれいなのです。この違いはいったい何なのでしょう? そこで防熱のしっかりした小型カメラを、アルミ鍋と土鍋の中に沈め“鍋中撮影”に挑戦しました。するとアルミ鍋に比べ土鍋の泡は小さかったのです。
土鍋は無数の穴を底面に持っています。試しに土鍋を1日、丸々水に浸けておくと、なんと80グラムも重さが増えました。つまりこれだけ水を吸う穴を持っているのです。この穴から水蒸気が順次出て行くので、土鍋の泡は小さいのです。
土鍋がやはりなべ物のチャンピオン!?そこでアルミ鍋と銅鍋で再度寄せ鍋食べ比べ実験。今度は大学生の皆さん6人に、しっかりとアク取りもしてもらいました。するとなんと5人がアルミ鍋をうまいといい、1人が銅鍋。何と土鍋がうまいといった人がゼロだったのです。
これはアク取りが原因。アクとは、肉の中の古い血など生臭さの元になるタンパク質。ゆでるのに時間がかかる土鍋では当然アクがたくさん出ます。しかし強火の時には、うまみのタンパク質もアクに結びついているのです。なので火を一度弱めて下さい。するとうまみのタンパク質が溶け、少量のアクだけが残るとのこと。これだけをすくえばよいのです。
スタジオでは所さんが、ひたすらアクをすくったものと、火を弱めちょっとだけすくったものを食べ比べ。明らかに後者の方がうまみが多かったのです。
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土鍋のアク取りは、火を弱めた後の残ったものだけをすくえばよいのだ!
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