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かなり身近!寒天の謎
#667 (2003/02/02)
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今週は、今が生産のピーク、寒天を科学します。なんだ寒天なんてとおっしゃらないで下さい。調べてみると寒天は、羊かんを始めとしてプリンやゼリーなどの和洋菓子や、口紅などの化粧品、そして歯科で歯型を取るのに使われる歯科印象剤などに使われ、我々の生活にかなり身近なものだったのです。
今回は魚住アナが謎に迫りました。まずは寒天の原料、テングサを探しに伊豆半島は下田へ。すると、波打ち際に打ち上げられているテングサがすぐに見つかりました。その赤褐色の海藻は、時々刺身のツマで見かけるものでした。
そして早速寒天作りが始まりました。テングサを1時間煮込んだものを、ふきんで漉し、常温で固めるだけという結構簡単な手順で、すぐに、プルンとしたものが出来上がりました。しかし地元の方曰く「これはトコロテン。寒天は長野じゃないと出来ない」。
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そこで魚住アナは長野県は茅野市へと足を運びました。するとトコロテンが天日干しにされていたのです。そして地元の方曰く「朝5時においで」。そこで魚住アナが行って見ると、なんとトコロテンがカチカチに凍っていました。トコロテンをこの様に天日干しにし、夜に凍らせ昼間に融けさせる事を2週間続ける事で、氷によって細胞組織が壊され、水分や不純物が流れ出し、寒天となるのです。混じりけの無い寒天は、トコロテンに比べ用途が広いのです。
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トコロテンを2週間天日干しすると、寒天になるのだ!
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日本の寒天にあたるものが、西洋のゼラチン。料理やおかしに使われる、よく似た2つですが、寒天が植物性なのに対し、ゼラチンはウシなどの骨や皮から出来る、動物性のものだったのです。
優劣つけがたい両者ですが、決定的な違いが一つありました。それは細菌などの培養に使われる培地は、寒天だけが使われているということ。いったいなぜゼラチンは使われないのでしょうか?それは寒天がカロリーゼロなのに対し、ゼラチンがハイカロリーで、更に栄養などを加えようとする時不都合だということと、もうひとつ、寒天が80度ほどで融けるのに対し、ゼラチンが35度ほどで融けてしまうため、ヒトの体温に使い温度で細菌を培養するとゼラチンが融けてしまうためなのです。
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ノンカロリーで融点も80度と高い、これが寒天が細菌培地に使用される理由だった!
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戦時中、驚くべき計画が有りました。物資不足の中、なんと戦闘機の風防ガラスを寒天で作ろうとしていたというのです。
ならば、「目がテン!」がやっちゃいましょう。長野の寒天工場の力を借りて、なんと1日生産ラインを止め(!)、寒天ガラス作りに挑戦です。試行錯誤の上、寒天にオムツなどに使われる高分子吸収剤をかけることで、寒天を曲げずに水分を飛ばす事に成功。ガラスというかプラスチックのようなものが出来上がりました。が、透明度がやはり今一つ。おまけに水には融けてしまうという事で、実用性には乏しいようです。
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