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人類を救うカブトガニ
#687 (2003/06/22)
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生きた化石の1つと呼ばれるカブトガニ。日本でも瀬戸内海や九州などごく限られた地域にしか棲息しない貴重な動物です。そんなカブトガニですが、実は我々、1回はお世話になっている生物だったのです。
矢野さんはカブトガニの繁殖地として有名な、岡山県笠岡市に向かいました。天然記念物に指定されているこの地の干潟で、カブトガニとご対面です。そのカブトガニを裏にして置いてみると、あたかも人間の腹筋運動の様に起き上がり、元に戻りました。カブトガニの体は、前体、後体そして尾の部分の尾剣の3つに分かれています。前体と後体は直角に曲がるので、これを曲げて起き上がることが出来るのです。
そしてカブトガニにはなんと眼が5つも有るのです。背の方に4つ。うち2つは複眼で物が見え、もう2つは単眼で光を感じるだけのです。そして腹の方には1つ、腹眼というこれまた明暗を感じる眼が有りました。
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カブトガニを水中に放してみました。するとなんと背泳ぎで泳ぎ始めたのです。おわん型のカブトガニはこの方が泳ぎやすいのです。
そしてそのお腹の下にはビラビラするものが有りました。これは鰓書(さいしょ)といって、なんと1200ものビラビラで構成されているエラ。まるで書物のようなのでこの名がついたのです。
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カブトガニは、オスとメスが、メスをアタマにくっつき合います。この行動を「抱合」と呼ぶのですが、これは産卵のためなのです。長期間に及ぶため、カブトガニは夫婦愛の象徴として語られることもあるのです。
そしてエサの食べ方にも工夫が有りました。なんとメスが、先に食べたエサの残りをオスにパスしたのです。どこまでも仲がいいのですね。
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カブトガニの産卵のための「抱合」はなんと3年に及ぶことがある。まさに“おしどり夫婦”!?
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カブトガニの血液は、実は医療の分野で大きな役割を果たしているのです。カブトガニの血液中の血球は、100億分の1グラムの微量な異物にも反応し、これを固めてしまいます。このため、海外のカブトガニの血液から出来た試薬が、注射針やメスなど、ヒトの血液に触れる全ての医療機器の検査に使われているのです。そしてこのカブトガニの血液の性質は、いずれはHIVウイルスやSARSにも効果を発揮するのでは?とまで言われているのです。
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カブトガニの血液は、医療器具が滅菌されているかを確かめる、試薬として使われていた!
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