仰天映像!歩く
イワナ
第789回 2005年7月10日
夏は川魚の季節
。アユ釣りも解禁となり、スーパーには多くの川魚が並びます。最近では、幻の魚と言われている
イワナの養殖もさかんになり
、手軽にスーパーで買うことが出来るのです。そこで今回は、3回めの登場となる
矢野方弘樹
が、初の川釣りである天然の
イワナ釣り
に挑戦。今回はそのイワナと、よく似たヤマメを科学します。
イワナとヤマメは20cm程度の大きさで、
背中に白い斑点があるのがイワナ、黒い斑点があるのがヤマメ
です。またイワナは、
岩魚
と書くだけあって、文字通り
川の底の岩陰にじっとしている
のに対し、ヤマメはいつも
水の中を優雅に泳ぎまわっている
ことから
山女
と呼ばれるようになったそうです。
今回、矢野方が挑戦する
フライフィッシング
は、糸の先に針のついた
フライと呼ばれる昆虫の形に似せた擬餌
がついています。これは、イワナやヤマメがカゲロウなどの昆虫類をエサにしているため。また
釣り方も昆虫の動きを真似て
、水面にフライを落としては引き上げ、落としては引き上げという動作を繰り返し、魚を誘い出すようにして釣るのです。
しかし、矢野方の釣り竿には全く当たりがありません。イワナ釣りの名人によると
魚に気付かれている
というのです。
物音のせいで気付かれたのでしょうか?そこで試しに、
イワナがいる渓流の近くでの大きな音をならしてみました
。しかし、水中のイワナは全く反応なし。実は
渓流の水音で、水中には人間の音は聞こえない
のです。ならば人影でしょうか?そこで今度は、イワナのいる場所に近づいてみると、イワナは一瞬のうちに逃げてしまいました。つまり、
イワナは人影に反応していた
のです。
実は
イワナは目が上向きについており、水辺に立っている人などは全てお見通し
なのです。そもそも、イワナは仲間のヤマメよりも標高が高く水温が低い所に生息しています。そのため水の中にはエサが少なく、
主に水面にやってくる虫などを食べているため、目が上を向くようになった
と考えられているのです。また、
イワナの天敵であるヤマセミなどの鳥も、やはり上から襲ってくる
ので、水上を監視できるようにイワナは目が上についているのです。
イワナに見えにくくするには姿勢を低くするしかなく、確かに、イワナ釣りの名人も低い姿勢で釣り竿を振っていました。
実はイワナの目は上向きについているので、水上の様子もお見通しだった!釣るときは、なるべく姿勢を低くして近づこう!
養魚所でイワナやヤマメの卵を見てみると、とてもイクラにそっくりでした。それもそのはず、イクラと言えばサケの卵ですが、実は
イワナとヤマメはサケ科の魚
なのです。さらに驚く情報を聞きつけました。実は
イワナとヤマメは元々サケだった
と言うのです。でも大きさだけ比べてみても、サケは体長約70センチなのに対して、イワナやヤマメは20センチ程度。これは、どういうことなのでしょう?
地球が寒かった
氷河期には、水が冷たかったので本州などの川にもサケは卵を産みに上ってきました
。しかし氷河期が終わり、段々地球が温かくなってくると、生まれてから川を下り、現在のように北の方の寒い地域に移り棲むようになりました。しかし中には、
幼魚のまま水温の低い山奥に留まり繁殖するサケが出てきた
のです。それがイワナやヤマメだと考えられています。その根拠のひとつに、
イワナとヤマメの体の側面には黒い小判型の模様があります
。これは
パーマーク
といってサケ科の稚魚が持つ特徴で、サケは成魚になると消えるのですが、イワナとヤマメは成魚になっても残っているのです。
ある釣り人の話によると、
イワナとヤマメのどちらかは陸でも歩ける
というのです。果たして本当なのでしょうか?
そこで、
イワナとヤマメどちらが歩けるか実験
を決行。イワナとヤマメが入っている水槽の水が抜かれた後、1m先のゴールまでたどり着いた方が勝ちです。すると結果は、
イワナが胸ビレと尾ビレをうまく利用して起き上がり、見事前進してゴールした
のです。一方、ヤマメは起き上がろうとしても、すぐに倒れてしまい、全く進めませんでした。
実は、
イワナを正面から見てみると、体型がぼてっとした丸型をしており、胸ヒレも大きく、しっかりと体を支えられるようになっています
。一方、ヤマメは体型が縦長型で、しかも胸ヒレが小さいので起き上がれないのです。
この違いは、
生息する場所の違い
によるものだと言われています。イワナはヤマメよりも水の少ない上流域で暮らしているため、水が無くなることがよくあります。そのため
水のある場所まで移動できるように、このような体のつくりになった
と考えられているのです。
ちなみに結局、矢野方さんは、今回も1尾も釣ることが出来ませんでした。
イワナは水が少ない上流域に生息しているので、水が無くなっても起き上がって移動できる体型になっていたのだ!