知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


アマゾン のふしぎ生物
第793回 2005年8月7日


 夏休み海外特集エクアドル、第3弾のテーマはアマゾンの科学。実は、エクアドルの中央を走っているアンデス山脈の東側は、アマゾンの源流にあたります。そこには、世界でそこにしかいない動・植物なども含め、不思議な生き物がたくさん生息しているのです。

 今回、所さんが出した指令は「カブトムシの王様・ヘラクレスオオカブトを捕まえてきなさい!」というもの。そこで、矢野さんはアマゾンに潜入するため、首都のキトから南へ向かいました。すると山を登っている途中、突然、辺り一帯が真っ白な霧に包まれたのです。
 実はこの霧は、海からの湿った空気がアンデスの斜面を上昇し、アンデスの冷たい空気に冷やされ、細かい水滴が霧になったもの。この霧のおかげで、エクアドルには雲霧林と呼ばれる動植物の豊かな森林があるのです。
 特にエクアドルは世界有数のランの宝庫。なんと、木の上に咲いている珍しいランも発見しました。しかし、どうやって木の上で水分を得ているのでしょう?実は、木の上に咲いているランは根被と呼ばれるスポンジ状の根から、霧の中の水分を吸収していました。これは競争相手が多い地上を避けるための、ランの生き残り戦略だと言われています。

 次に矢野さんが出会ったのは、世界最小の鳥であるハチドリ。観察してみると、ハチドリは空中で羽ばたきながら一ヶ所に留まって蜜を吸っています。こんな風に飛べるのは、鳥の中でもハチドリだけなのだそう。一体、どうして留まることができるのでしょう?
 実は、ハチドリは羽を前後に動かす際、揚力を得るために羽を返しながら、8の字を描くように飛んでいたのです。これはシンクロナイズドスイミングで、一ヶ所に留まる時に使うスカーリングという技術と同じ原理。ハチドリは、高速で8の字に羽を動かすことで空中に留まることができ、どんな向きの花の蜜も吸うことができるのです。
ヤリハシハチドリ  またハチドリの中には、とても長いくちばしを持ったヤリハシハチドリや、曲がったクチバシを持ったハチドリもいました。実はハチドリのクチバシの形は、それぞれが蜜を吸う花の形に合わせて進化したもの。つまり、長いクチバシを持ったヤリハシハチドリの蜜を、曲がったクチバシを持ったハチドリは、同じように曲がった花の蜜を吸うのです。こうしてハチドリと花は、長い間、共に一対一の協力関係を結んで進化してきており、これを共進化と言います。

所さんのポイント
ポイント1
ハチドリは自分が蜜を吸う花の形に合わせて、くちばしの形を変え、花と一緒に進化していたのだ!

 アマゾンに着いた矢野さんを出迎えてくれたのは、森の番人ことアマンガ村の族長。早速、ヘラクレスオオカブトを探しに森の中を案内してもらうと、なんとヘラクレスオオカブトの卵を発見しました。実は、赤道直下で気温が一定のアマゾンでは、同時期に卵・幼虫・成虫が見られるのだそうです。
 しかし、いくら歩き回って探してもヘラクレスオオカブトの成虫は見つかりません。そこで、夜、光に集まってくる習性を利用して、白い布にライトを当てる仕掛けで待つことに。そして、待つこと3時間…。ついに、体長15センチはある立派なヘラクレスオオカブトのオスを捕まえたのです。

 ところが翌朝、ホテルに持ち帰ったヘラクレスオオカブトを見てみると、なんと捕まえた夜は黒色だったのに、黄色に体の色が変わっていたのです。これは一体、どういうことでしょう。
 実はヘラクレスの背中は、黄色いスポンジ状の層の下に黒色の層があるという構造をしています。夜、湿度が高くなると、黄色いスポンジ状の層に水分が吸収され、下の黒い層に光が当たって黒く見えるようになるのです。一方、昼間は背中の水分が蒸発し、下の黒い層まで光が届かなくなり、黄色い層の色が見えるようになるのです。
ヘラクレスオオカブト  実はこれは、ヘラクレスオオカブトが天敵から身を守るための戦略。日本のカブトムシは、昼間は土の中にもぐり天敵から身を守りますが、ヘラクレスは体も角も大きいため、土にもぐることができません。そこで、昼間は木と同じ黄色の保護色に身を包むことで、サルや鳥などの天敵から身を守っていたというわけなのです。昆虫界では無敵のヘラクレスも、アマゾンで生き抜くのは大変だったのです。

所さんのポイント
ポイント2
昆虫界で無敵のヘラクレスオオカブトも、湿度によって背中の色を変化させることで、天敵から身を守っているのだ!




夏休み特集編へ場所・建物編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧