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どこが違う ワイン
第806回 2005年11月13日


 11月17日はボジョレー・ヌーボーの解禁日。今年もワインが盛り上がる季節がやってきました。そこで前回の「白ワイン」に続き、今回のテーマは「赤ワイン」です。

 白ワインと赤ワインでは、作り方が決定的に違うそうです。一体、赤ワインはどのようにして造られるのでしょう?そこで佐藤アナが、再び山梨のワイナリーを訪ねました。すると、白ワインの時は、ブドウから皮と種子を取り除き、果汁を絞っていましたが、なんと赤ワインの場合は、原料の黒ブドウの皮と種子もそのまま丸ごと使用していたのです。
赤い色が溶け出している様子  そして皮も種子も丸ごと入った状態で、タンクの中にワイン酵母を加えアルコール発酵をさせます。ちょっとタンクの中を覗いてみると、ブドウの皮から赤い色が広がりだしていました。実はこれは、ブドウの皮に含まれるアントシアニンという赤い色素。実は、赤ワインの色は皮から出ていたものだったのです。
 更に、種子からはタンニンという赤ワイン独特の渋みが出てきます。つまり、赤ワインは皮や種子を使用することで、白ワインとは違う色や味になるのです。
 そして2週間後、赤ワインのアルコール発酵は終わるのですが、それを飲んでみると酸っぱさと渋さで飲めたものではないのです。白ワインの時は、アルコール発酵後すぐ飲めたのに、一体なぜでしょう?
 実は赤ワインには、果汁に含まれるリンゴ酸という酸味と種子に含まれるタンニンという渋みが多く入っています。一方、白ワインは種子を使用しないので、リンゴ酸だけ。すると、白ワインは程よい酸味で飲めるのですが、赤ワインの場合は酸味に渋みも加わり口当たりが厳しいのです。
 そこで赤ワイン造りには続きがあります。実はアルコール発酵後、赤ワインのタンクの中では、もともと皮についていた乳酸菌が、酸味の強いリンゴ酸を酸味の弱い乳酸に変化させる工程があるのです。この2回めの発酵を経て、赤ワインはまろやかな味になるのです。

所さんのポイント
ポイント1
赤ワイン造りでは、色や味を出すためにブドウの皮や種子も使用する。
しかし、その分口当たりも厳しいため、2回発酵させているのだ!


 赤ワインといえば、長い時間をかけて熟成させると良いと言いますよね。本当でしょうか?そこで佐藤アナが、全く同じ畑のブドウで造った1年ものの赤ワインと20年ものの赤ワインを飲み比べてみました。すると20年もののワインの方が、とても味がまろやかになっていると言うのです。なぜでしょう?
ワインの底の澱  そこで、両者の成分を調べてみると、アントシアニンという成分の分子が、20年ものの方が大きいという結果が出ました。実は、このアントシアニンという成分が、時間がたつにつれ、タンニンやタンパク質や酒石酸などの雑味を包んでいるそうなのです。その証拠に、熟成ワインのビンの底には澱(おり)と呼ばれる沈殿物が溜まっていました。つまり、赤ワインを熟成させると、アントシアニンが雑味を包み込んだり、沈殿させたりするので、まろやかな味になるのです。

 赤ワインは、通常、出荷までに2,3年寝かせるのですが、話題のボジョレー・ヌーボーは、ブドウの収穫から1ヶ月ほどで完成し、出荷してしまうというのです。一体、どうしてなのでしょうか?
 その秘密は、普通の赤ワインの造り方とボジョレー・ヌーボーの造り方の違いにありました。ボジョレー・ヌーボーは、まずブドウを入れたタンクを、二酸化炭素で満たします。実はブドウには、周りに酸素が無い状態になると、中で酵素がリンゴ酸や糖分を分解し、アルコールを作る性質があります
 さらに本格的にアルコール発酵させる前に、早めに皮や種子を取り除きますアルコール分が少ないと、渋みの原因となるタンニンが種子から溶け出しにくいのです。この後ワイン酵母を入れてアルコール発酵をさせ、ボジョレー・ヌーボーは完成です。
 このように、普通の赤ワインですと熟成させてリンゴ酸の酸味やタンニンの渋みを和らげないといけないのですが、ボジョレー・ヌーボーには、リンゴ酸やタンニンが最初から少ないので短期間で完成できるのです。そのためボジョレー・ヌーボーは、短期間で飲めるようになる赤ワインなので、その年のブドウの出来を見るのに利用されてきました。

所さんのポイント
ポイント2
ボジョレー・ヌーボーは、普通の赤ワインと造り方が違った!
約1ヶ月で完成するので、その年のブドウの出来を確認するために飲まれるのだ!





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