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アグネスも驚く ポピー
第830回 2006年5月7日


 この時期、花壇をにぎわせている花がポピー。様々な色で私達の目を楽しませてくれています。そこで今回は、スペシャルゲストにアグネス・チャンさんを迎え、実に面白い生態を持つ、ポピーに迫りました。
ポピー  ポピーといえば特徴的な姿、背の低い葉にひょろ長い茎。さらに、茎には細かい毛がびっしりと生えています。一体、なぜこんな姿をしているのでしょう?
 実は、ポピーの原産地はシベリア周辺。秋に発芽し、葉を広げます。しかし、その後、シベリアの寒い冬がやってきます。そこで、葉の背丈を低くして、寒い風から身を守っているのです。また、茎に生えている毛は、寒さから守る防寒用の毛皮みたいなもの。つまり、ポピーの変わった姿は、原産地のシベリアで寒さから身を守るための生き残り術だったのです。

 しかし、ポピーの科学なのに、なぜゲストにアグネスさんなのでしょう?
実はアグネスさんのヒット曲「ひなげしの花」でお馴染みのヒナゲシがポピーの仲間だったのです。実はポピーとは日本語のケシのこと。ヒナゲシもポピーも、ケシ科ケシ属の植物。だから、アグネスさんがゲストだったというわけなのです。

所さんのポイント
ポイント1
ヒナゲシも、ポピー(ケシ)の一種だった。
そして、ポピーのひょろ長い姿の理由の一つが、原産地の寒さから身を守るためだった!


 なんと、アンパンの上にのっているゴマみたいな粒は、実はポピーシードといって、ケシの種子なのです。では、その数は一体いくつあるのでしょう?
 そこで、目がテン!恒例、数えてみよう。なんと、スタジオでアグネスさんに、アンパンの上のポピーシードを数えてもらうことに。数えるアンパンは、アンパンを最初に開発した木村屋のアンパンです。しかし、初めて挑戦する、数えてみように、アグネスさんはちょっと苦戦していました。
 そこで、事前にスタッフが数えたところ、なんと平均で1803個のポピーシードが、アンパンの上に乗っていたのです。しかし、なぜポピーシードが使われるのでしょう?
 実はポピーシードは、そもそも江戸時代にポルトガルやオランダから輸入され、そのプチプチとした食感や、香ばしさを楽しむ食材として使われてきました。
 そこで、ケシの種子を電子顕微鏡で見てみると、なんと種子の中に大きなすき間があいていたのです。実は、このすき間は発芽するのに必要な空気の保管場所だと考えられています。他にも、同じ様な用途で使われるゴマやカラシナの種子にもすき間が空いていたのです。

 ポピーは、めしべが受粉すると子房だけになり、やがて枯れて中に種子ができます。さらに、ポピーの子房は中が仕切られていて、上の部分にいくつか小さな穴があいています。枯れた子房を逆さまにしてみると、その子房の上の部分にあいた小さな穴から大きさ0.5mm程度の黒い種子が出て来ました。その数を数えてみると、園芸用のポピー1本で3791本もの種子が入っていました。
 実はこの種子、風が吹くと、なんと子房のてっぺんの小さな穴から飛び出してくるのです。なぜ、風が吹いただけで種子が上から飛び出してくるのでしょう?
ポピーの種子を飛び出す実験  そこで、スタジオでこんな実験。ポピーの子房を正確に再現した模型を用意し、そこに種子に見立てた発泡スチロールの粒を入れて、横から送風機で風を送ってみました。すると、見事発泡スチロールは舞い上がり、飛び出してきました。これには、アグネスさんもビックリ。しかし、なぜ横から風を送っただけなのに、子房の上から種子が飛び出してくるのでしょう?
 実は、横に吹きつけた風は、子房の仕切りにあたり下向きの風になります。さらに、上にあいている穴が小さいので風の速さが増し、中の種子を舞い上げるのです。
 でも、最後まで飛ばずに中に残ってしまった種子はどうなるのでしょう?実は、ここで特徴的な長い茎が役に立ちます。なんとポピーの長い茎が、風に揺られることで、種子がポロリとこぼれてくるのです。実は、ポピーの長い茎は、原産地の強い風を利用して、種子を全て落とすために長かったのです。

所さんのポイント
ポイント2
ポピーの種子は、風の力を利用して子房の中から飛び出していく。
また、子房の中に種子が残っても、茎が長いので風に揺られて外にこぼれるのだった!





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