所さん興奮
重機
VS 大男
第866回 2007年1月21日
ブルドーザーやパワーショベルなど、建設現場や道路工事で活躍する「
働く車
」。今回は私達の生活を支える力持ち、働く車の知られざる力の秘密を徹底解明します。
まずは働く車の力を検証するために、力自慢の
大学柔道部員5人が一般的な大きさのショベルカーと対決
することに。決められた
白線内の土を掘り、およそ1トンの土が入る容器をいかに早く土で満杯にできるかを競いました
。
スタートと同時に柔道部チームはスコップと一輪車を使いフル稼働。しかし、ショベルカーはゆっくりとした動きにもかかわらず、わずか2杯だけで容器が満杯になり圧勝。ならばと柔道部チームは
20人を総動員
してリベンジしましたが、結果はまたしても
ショベルカーが余裕の勝利
。
このままでは引き下がれない柔道部チーム、今度は狭い場所での工事や造園などに使われる世界最小のショベルカーと対決。大人5人が本気で勝負を挑んだところ、ようやく柔道部が意地を見せて勝利しましたが、
世界最小のショベルカーも5分間でおよそ500キロもの土を掘る大健闘
を見せました。そしてスタジオにはこの小さなショベルカーが登場。試乗させてもらった乗り物好きの所さんは大興奮の様子でした。
さて、続いては矢野さんが日本に数台しかない、働く車が活躍しているという新潟県・青海鉱山の石灰石の採掘現場を訪れました。そこで出会ったのは、
高さ6.4m、タイヤの直径3.6mという巨大ダンプカー
。
荷台だけでも長さ8.9m、幅6.5mもあり、畳を敷き詰めてみるとなんと31畳分の広さがありました。続いて登場したのは、この巨大ダンプカーに荷物を積み込む相棒、
巨大ショベルカー
。日本一の大きさを誇るこのショベルカーは
高さ7.7m、全長22.5m
と圧巻のサイズで、1時間で25mプール2杯分の土を掘ることができるのだそうです。さらには土を掘るバケットという部分も桁違いの大きさで、大人が37人も乗ることができました。
もちろんこのような大きさの車では公道を走ることはできないため、トラックで運べる大きさに分解できるように設計されていて、現場で部品を組み立てて作られているのだそうです。海外へ輸出される時も同じ手順で行われています。
ところで、
操縦するオペレーターがレバーを軽く動かすだけで、大量の土を持ち上げるショベルカーのパワーはどこから生み出されているのでしょう?
ショベルカーのアームは、各所についたシリンダーと呼ばれる部分が伸び縮みをして動きます。そしてその
シリンダーを、伸び縮みさせているのは油
なのです。操縦席のレバーを動かすと、エンジンの力で
ポンプからチューブをつたってシリンダー内に油が送り込まれ
、その
油圧によってピストンが押し出されアームが動きます
。そして反対のチューブから油を入れるとアームが戻ります。
しかし、
なぜ油を流すだけで大きな力を生み出すことができるのでしょう?
そこで、液体の圧力が生み出す力の秘密を検証してみました。
断面積が10対1の太い筒と細い筒
を用意し、この二つをチューブでつなぎ、その両方に色の付いた水を入れ、
太い筒を大きな体のキックボクサーが、細い筒を小学6年生の子供がそれぞれ下に向かって押し合いました
。すると、
小学生が一気に押し込み楽々勝利
。一体なぜなんでしょうか?
実は、繋がった容器に水を満たし一方から圧力をかけると反対側の水面にも力が伝わり、その力は面積に比例して増幅するというのは、有名な
パスカルの原理
なのです。今回の場合、太い筒の断面積は細い筒のおよそ10倍。つまり
小学生が押す力は10倍
となり、大男に軽々と勝つことができたのです。
ショベルカーにもついているシリンダーにもこうした原理で細いパイプから油が送られ、その力を増幅させてピストンを動かしているのです。現在
働く車のほとんどに、この油圧によるシステムが利用
されています。
働く車のほとんどは、パスカルの原理を利用した油圧のシステムで、力を増幅させてパワーを発揮しているのだ!
実は、この油圧のシステムによって生み出されているのはパワーだけでなく、
油の量をコンピューターで制御することで、より細かい作業も可能
にしているんだそうです。
そこで、矢野さんがショベルカーを自在に操るという達人に会いに行きました。すると達人はなんと
ショベルカーでバーベキュー
をするというのです。達人はショベルカーの先端についた、物を挟むための破砕機に細工をし、小さな物も掴めるようにして、調理に挑戦しました。達人は塩とコショーの瓶を器用に掴み、肉にふりかけた後、鉄板の上に肉を移動させて焼き始めました。今度はへらを使って肉を返し焼き終えると、矢野さんの目の前のお皿まで見事に運んでくれました。
実は普段達人は、常に正確な作業が求められる、ビルなどの解体作業をしているので、このようなテクニックが身に付いたのだそうです。さらに達人はアイスピックを使って
エビの背わた取りも見事に成功
させました。
油圧のシステムは、強いパワーだけではなくコンピューター制御でミリ単位の細かい作業も可能にするのだ!