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30分で完成 牛シチュー
第869回 2007年2月11日


 寒い季節に恋しくなってしまう、心も体も温まるビーフシチュー。調理に時間や手間がかかるというイメージで家庭では敬遠されがちですが、なんとたったの30分で誰でも簡単においしいビーフシチューが作れちゃうのです!実際に矢野さんが、番組終了までにスタジオで美味しいビーフシチュー作りにチャレンジしました。

 ビーフシチューは古代ローマの料理本にも作り方が載っている、2000年の歴史を持つ料理。当時のレシピ通りに再現してみると、色の薄いシチューが完成。なぜかというと、このシチューには小麦が使われていないため。ビーフシチューの茶色は小麦を焦がした色なのです。
 ところで、なぜビーフシチューにはスネ肉が使われているのでしょう?高級な部位を使えばもっと美味しいビーフシチューが作れるのでは?ということで、矢野さんが精肉工場を訪れ、ヒレやサーロインなどいろいろな部位を調達し、さらには黒毛和牛の皮まで手に入れて、いざ特製ビーフシチューの調理実験を開始しました。
試食結果表  一般の方に試食してもらった感想をまとめると、スネをはじめとした安い部位は好評で、逆にヒレやサーロインなど、高級な部位は美味しくないという結果でした。ちなみにカワは賛否両論。

 しかし、なぜこんな結果になったのでしょう。そこで実験。スネ肉とヒレ肉をお湯で2時間煮込んでみると、脂が抜けて硬くなってしまったヒレ肉に対し、コラーゲンをたっぷり含んでいるスネ肉は、スジがお湯を吸ってゼラチン質に変化し、プリプリに柔らかくなりました。
 所さんにスタジオでヒレシチューとスネステーキを試食してもらうと、とっても不評。肉には部位によって向き不向きの調理法があったのです。

所さんのポイント
ポイント1
コラーゲンをたくさん含むスネ肉は、煮込んで美味しくなる「シチュー」に最も適したお肉だった!

 ところで、シチュー作りでは野菜を長時間煮込むと煮崩れしてしまうというのも悩みのタネ。ならば、同じように野菜を長時間煮込むおでんは、なぜ煮崩れしていないのでしょう?
平均72℃  その秘密を探るべく開店前のおでん屋さんに行き、鍋の温度を測ってみると70℃でした。そこで他のおでん屋さんでも開店前の鍋の温度を測ってみると、その平均は72℃

 実はこの70℃という温度に秘密が隠されていました。70℃のお湯で30分下茹でしたジャガイモと、何もしていないジャガイモを98℃のお湯で2時間煮込み、この2つのジャガイモをぶつけてみると、下茹でしていないジャガイモは粉々に砕けてしまいました。いくつも繰り返してみましたが結果は一緒。70℃で下茹でしたジャガイモのほうが固かったのです。
 これは細胞と細胞をくっつける働きをするペクチンという物質が、70℃で30分間煮込むことで、細胞内のカルシウムやマグネシウムと結びついて固くなるため。すると、そのあと温度を上げても煮崩れしにくくなる、これを「硬化現象」と言います。
 でもなかなか70℃を維持して煮込むのも面倒なもの。そこで秘密兵器を発見。それはなんと、どの家庭にもある炊飯器実は保温設定が70℃でほぼ一定。一旦鍋などで温めた野菜を炊飯器に移しかえて、保温ボタンを押して30分放っておけば、煮崩れ知らずの野菜が完成します。

所さんのポイント
ポイント2
野菜は70℃で30分煮込めば煮崩れ知らず!
電気炊飯器の保温を利用するのも一つの手!


 そして、ビーフシチューのもう一つの難点、長〜い煮込み時間。コラーゲンの専門家に相談してみると、肉を酢に漬けると煮込み時間が短縮されるというのです。
 ここで実験。酢に30分漬け込んだスネ肉を使った、30分しか煮込んでいない即席ビーフ酢シチューを洋食店でお客さんに内緒で出してみました。その反応を観察してみると、なんと肉が柔らかいと大評判。念のため酢に漬けないで2時間煮込んだ肉と固さを機械で比べてみても本当に柔らかかったのです。
 これは、お酢に含まれる酸が肉のコラーゲンに作用してゼラチンに変わりやすくするためだそうです。スタジオで同じように作ったビーフシチューも所さん太鼓判の美味。30分ビーフシチューは大成功でした。



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