冬物洗い!
虫食いの謎
第871回 2007年2月25日
この季節、手放せないセーターなどの冬物衣類。しかし
「黄ばみ」
と
「虫食い」
という悩みがつきものですよね。そこで今回の目がテンは、「黄ばみ」と「虫食い」の正体を突き止め、さらにそのお悩みを解決する洗い方の秘密に迫ります。
なぜ、あまり汚れていない衣類をタンスの中にしまっているだけなのに、「黄ばみ」が発生するのでしょう。そこで、そもそも
冬の1日で衣服はどのくらい汚れているのか検証してみました
。
実験方法は、ある青年に、
汗をかかないように部屋の中で決して動かずに24時間生活
してもらうというシンプルなもの。24時間後、着ていた服は匂いもなく、全く汚れも見えませんでしたが、
汚れがあると紫色に反応する試薬
を吹きかけてみると…なんと
肌に触れていた部分が濃い紫色に変化
したのです。
実は、この汚れの正体こそが、動かなくてもついてしまう、
皮脂汚れ
。黄ばみとは、この
皮脂汚れが高温多湿の場所で酸化することによって黄色くなる現象
だったのです。
実は、油分が酸化して黄色くなるという現象は、冷蔵庫で放置したバターが濃い黄色になるのと一緒。そこで、矢野さんが対処法として思いついたのが、木は森に隠せの理論で、黄ばんだTシャツにバターを塗って酸化させる方法。
そして、完成したバター染めのTシャツは、確かに見た目は成功ですが、バターの匂いつきなので、当然実用性はありませんでした。
「黄ばみ」の正体は、汗の少ない冬でも洋服に付いてしまう、「皮脂汚れ」が酸化して黄色くなったものだった!
さらに私たちを悩ますのが
「虫食い」
。しかし、衣類を食べる虫って一体、どんな虫なのでしょうか?
調べてみると、日本の衣類害虫は大きく2種類。
カツオブシムシ
という種類と、
衣蛾(イガ)
というガの仲間。
害虫たちは共通して、幼虫の間だけ衣類を食べる
のです。
では、一体どんな衣類を好むのでしょうか?そこで実験。
ウール、綿、ポリエステル
の切れ端に、ヒメカツオブシムシの幼虫を20匹ずつ入れ、タンスの中と同じ暗く温かい装置に入れてみました、そして
5日後
、見てみると
ウールだけが食べられていた
のです。
実は、
衣類害虫の好物は動物性のタンパク質
。つまり動物の毛から作られる
ウールやカシミヤ
などがよく狙われるんです。一方、植物から作られる木綿や化学繊維は食べられません。だから、木綿や化学繊維なら安心?と思ったらこれが大間違い。なんと、
動物性タンパク質の牛乳を浸した木綿とポリエステルならば、害虫は食べてしまったのです
。
つまり、食べこぼしなどで
動物性タンパク質が服についていれば、どんな素材の服でも虫に食われてしまう
可能性があるのです。
害虫が食べるのは動物性タンパク質の繊維。しかし、食べ残しがついていたら、植物性繊維でも化学繊維でも食べられてしまうのだ!
というわけで、黄ばみや虫食いを防ぐために洗たくしなければいけないのですが、
セーターなどの冬物衣類
は、洗いたくても縮んでしまうのが悩み。では
クリーニング店では、どうやって洗っているのでしょう?
そこで、新キャラ「くノ一良子」がクリーニング工場に潜入!すると、ドライクリーニングと言いながら、水で洗われているセーターを発見したのです。一体、どういうわけでしょう?
実は、これは水ではなく、油のような性質を持つ
ドライクリーニング溶剤
と呼ばれる液体。そもそもウールの表面は、髪の毛のキューティクルのようなうろこ状になっていて、水に浸すと先端が開いてしまいます。その状態で洗うと、そのうろこが絡まって縮んでしまうのです。
しかし、ドライクリーニング溶剤は、
ウールに吸収されないので、洗っても縮まないと
いうわけだったのです。
続いて、
ドライクリーニングで落ちる汚れと水で落ちる汚れの違い
を調べてみました。その結果、
ドライクリーニングは油汚れ、水洗いでは醤油やケチャップ
など水に溶ける水溶性の汚れが落ちました。
生地と汚れに応じてどちらのクリーニングが適しているかの判断
が重要なのです。