知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


カロリーオフ(秘) あんこ
第872回 2007年3月4日


 ひなまつりの桜餅や、卒業式の紅白まんじゅうなど、春になるとお目にかかる機会の多いのが「あんこ」。そして、あんこの材料といえば「アズキ」です。
 アズキといえば、今年1月に開拓した沖縄の『目がテン農園』でも、放送900回を祝うお赤飯の材料として栽培中。1月に種をまいたアズキは順調に育ち、一ヶ月で地面から8センチの高さにまで成長していました。
 そこで、目がテン農園のアズキは4月に収穫予定ですが、今回の目がテンは、ひと足先にアズキを科学しました。

 実は、アズキといえば食べるだけでなく、効果音の定番なのだそうです。大きなカゴを揺すって作り出す『波の音』にも、アズキが使われます。でも、なぜ他の豆ではなく、アズキを使うのでしょうか?  映画やテレビの音響効果を作り出し続けてきた達人に聞いてみたところ、「アズキは湿気にくいのか、いつも変わらないいい音が出る」とのことでした。
 そこで、本当にアズキは水分を吸いにくいのか?検証です。加湿器を3台設置して、梅雨を再現した湿度80度を越える部屋に、アズキと、比較用の大豆を置いて24時間放置しました
 すると24時間後、大豆は皮がたるんでふやけたような状態に一方のアズキは見た目の変化はわかりませんでした。そして、達人に乾いた状態のアズキと湿気の多い部屋に置いたアズキを使って波の音を出し、比較してもらいました。すると、達人は2つのアズキに全く音に変化はないとのこと。
 今度は、乾いた大豆と、放置後の大豆を使って同じように比較しました。すると、達人だけは変化を感じましたが、矢野さんの耳はハッキリとした違いを感じ取ることができませんでした
 ならば、もっと水分を吸収させれば音の違いもわかるはず!ということで、同じ量のアズキと大豆を水に浸して、4時間放置。すっかり膨らんだ大豆と見た目は変わらなかったアズキが出す音の違いをスタジオで検証してみました。
「4時間経過」アズキと大豆対比  すると湿った大豆が出す音は、乾いた大豆と比べてハッキリ違いが現れました。そして一方のアズキは、4時間水に浸かった後でも、乾いた状態と音は変わらなかったのですしかし、なぜアズキは水を吸いにくいのでしょう?
 実は、豆の表面全体から水分を吸収する大豆とは違い、アズキは種瘤(しゅりゅう)と呼ばれる部分からしか水を吸わないので、なかなか水分を吸収しなかったのです。

所さんのポイント
ポイント1
アズキは、種瘤という部分からしか水を吸わないので、湿気にくく、波の効果音を作るのに最適の豆だった!

 さて、アズキといえば、何といってもあんこ。どんな風にアズキからあんこが作られるのか、佐藤アナがあんこ工場に潜入しました。
 あんこを作る工程は、大きな釜で2時間ゆでたあと、さらに別の釜で2時間煮詰めれば完成。ちなみにつぶあんとこしあんとの違いは、ゆでた豆の皮を、網の目の機械で取り除いたものがこしあんだそうです。
 そして、あんこ作りの作業を見ていた佐藤アナが一番驚いたのが、あんこに使われる砂糖の多さ。120キロのアズキを煮詰める間に釜に投入された砂糖はなんと120キロ。つまり、アズキと砂糖の比率は1:1というのが、あんこ作りの基本なのだそうです。
シュガーレスあんこ  カロリーが気になってしまった佐藤アナは、ならばと砂糖を全く使わず、合成甘味料を使った「シュガーレスあんこ」作りに挑戦。しかし完成品はパサパサと乾燥したものになってしまいました
 なぜこんな有様になってしまったのでしょう?その秘密は砂糖と合成甘味料の性質の違いにありました。砂糖は合成甘味料に比べ、水の分子と結びついて保持する保水力が優れていたのです。

所さんのポイント
ポイント2
保水力の強い砂糖は、あんこのしっとりとした食感を作り出すために必要な、アズキに欠かせないパートナーだった!

 さて、アズキは生産量の7割があんこに加工されてしまうそうです。しかし、アズキでは、あんこ以外のマメ料理はできないのでしょうか?
 そこで、アズキを使ってピーナッツバターならぬ「アズキバター」「アズキ納豆」を元来の料理と同じ製法で作ってみました。しかし、結果はどちらもおいしくありませんでした。
 その失敗の理由は、成分の違い。アズキバターはピーナッツに比べて脂肪が少ないアズキがペーストになりづらく失敗してしまい、アズキ納豆の場合は、アズキは大豆に比べて納豆菌の餌となるタンパク質が少ないために、発酵がうまく進まず粘りも少ないものができてしまったのです。やはり、アズキはあんこにするのが一番のようです。



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