知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


ナゼ!?白菜から 菜の花
第873回 2007年3月11日


 春の風物詩といえば、「菜の花」。春を告げる一面の黄色い菜の花畑は私達にとって、馴染み深い風景ですよね。でも実は、菜の花はキレイなだけではなくスゴイ力を秘めた花だったのです!

三種類の菜の花  「菜の花」という名称で、私たち日本人に親しまれている黄色い花。しかし、実は「菜の花」という名前の花は無いというのです。一体、どういうことでしょう? 早速、研究者に会いに菜の花畑を訪れた矢野さん。そこで、その方から、菜の花というのは通称で、私たちが見かける菜の花は、アブラナ、セイヨウアブラナ、カラシナの三種類があることを聞きました。これらは、花の形が特徴的で、4枚の花びらが十字の形についています。花はどれもそっくりで見分けがつかないのですが、葉の特徴で見分けることができるそうなのです。
 そしてスタジオでは所さんに花の写真を見て植物を答えるクイズが出題されました。菜の花そっくりですが、正解はなんとハクサイとブロッコリーでした。
 実は、両方ともアブラナ科の植物なのです。このほかにもワサビ、キャベツ、ダイコンなどもアブラナ科の仲間。このように、私たちがよく口にするお馴染みの野菜にはアブラナ科植物がたくさんあるのです。それは、アブラナ科の植物は紀元前から野菜として食べられてきたため、品種改良が繰り返された結果、たくさんの仲間が増えたからなのだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
菜の花というのは通称で、アブラナ、カラシナ、セイヨウアブラナのことだった!さらに、ハクサイやダイコンなど、たくさんの野菜がアブラナの仲間だった!

 菜の花畑といえば、よくモンシロチョウが飛んでいるイメージが浮かびますが、モンシロチョウはアブラナの蜜しか吸わないのでしょうか?
 そこで実験。モンシロチョウの入った容器の中にアブラナと、アブラナと同様に蜜を持つマーガレットの花を入れてみました。すると、アブラナとマーガレットに止まった回数はほぼ同じだったのです。実は、蝶学者によると、成虫は別の種類の花でも食事をとるということでした。ところが、幼虫のアオムシはアブラナと結びつきが強いというのです。
 そこで今度はアオムシを使って実験。アオムシが入った容器の中に5種類の葉を入れてみました。すると、ミカン、アシタバ、マーガレットの葉には集まらず、アブラナに2匹、キャベツに3匹のアオムシが集まるという結果になったのです。実はアブラナとキャベツだけがアブラナ科の植物。これはアブラナ科の植物に含まれる、カラシ油配糖体という物質の効果によるものだそうです。
 そこで続いて実験。嫌っていたミカンの葉に、アオムシが好むというカラシ油配糖体を含むアブラナ科のワサビを塗ってみると、今度は5匹全部ミカンの葉に集まったのです。しかし、よく見てみると食べているのはワサビの部分だけでした。ならば今度は、ワサビを溶かした水をティッシュペーパーに塗って容器に入れてみると、アオムシはなんとティッシュペーパーにも集まり水を吸ったのです。つまり、モンシロチョウが菜の花畑に集まっていたのは、アオムシがカラシ油配糖体を好むからだったのです。
 実はカラシ油配糖体は、他のチョウの幼虫にとっては毒となる物質で、チョウの中ではモンシロチョウの仲間、シロチョウ科しか食べません。ちなみに私たちが普段口にする、からし、ワサビ、大根おろしの辛みもカラシ油配糖体によるものなのです。

所さんのポイント
ポイント2
モンシロチョウを菜の花畑で見かけるのは、幼虫のアオムシがアブラナ科に含まれる「カラシ油配糖体」を好むからだった!

 アブラナの種から採れる「菜種油」。天ぷらを揚げるときなどに使われるのですが、今、その菜種油を燃料にして走る車が注目されているというのです。それは料理で使った菜種油から不純物をろ過するだけで燃料として使え、発火点が高い菜種油を温めるための装置がついているSVO(ストレートベジタブルオイル)という形式の車でした。
 そこで矢野さんが、この車に乗って、料理に使った菜種油を燃料としてもらいながら、三重にある菜の花畑から東京の日本テレビ麹町スタジオを目指して、約500キロの道のりを帰ってくるという大実験をスタート。
菜の花号ゴール  最初は順調な滑り出しでしたが、最初に入れた燃料が少なかったため、すぐにガス欠の危機。しかし、レストランで廃油をもらい何とかセーフ。その後もおそば屋さんや、宿泊先の旅館でも補給し、なんと高速道路までも快調に進みます。最後は主婦の方に協力してもらい、夕飯に使った天ぷら油をゲット。そしてついに、菜の花号はゴール!走行距離は500キロ、給油回数6回、頂いた菜種油はなんと菜の花5万本分に相当する62.5リットルでした。
 ちなみに菜種油は燃やしたときには軽油と同じく二酸化炭素を排出しますが、燃やした分のアブラナを植えれば、また成長する過程で光合成をして二酸化炭素を吸収するので、地球に優しい燃料なのだそうです。


「菜の花カー」や「バイオ燃料」に関する問い合わせ
『アースコンシャス』(代表:加藤 大吾さん)
アドレス:http://www.earth-c.info/earthconscious/
メール:homepage@earth-c.info




植物編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧