驚きの音域!(秘)
ピアノ
第874回 2007年3月18日
最近、クラシックブームや人気コミックの題材になったことで、「
ピアノ
」が大ブーム!そこで今回の目がテンは、身近にも関わらず、意外と詳しく知られていない、楽器の王様「ピアノ」の魅力に迫りました。
そもそも、ピアノはどうやって音を出しているのでしょう?そこで、スタジオには
「グランドピアノ」
と、
ピアノの元となった「チェンバロ」
という楽器が登場しました。実は、
どちらの楽器も内部に張られた弦を使って音を出している
のですが、
チェンバロは弦を引っかいて音を出し、ピアノはハンマーのようなもので弦を叩いて音を出す
という違いがありました。その違いは大きな進化で、
チェンバロの音を出す仕組みだと音に強弱がつけられない
のですが、
ピアノの仕組みだと音に強弱がつけられる
のです。
実はこのメカニズムの進化が、ピアノの名前の由来になっていました
。1709年に発明された当時の名前が「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」といい、
ピアノ(弱音)もフォルテ(強音)も出せる大型のチェンバロ
という訳になります。
それが短くなって現在のピアノという名前になった
のです。
さて、矢野さんがピアノといえばまず疑問に思ったのが、平均的なグランドピアノで400kgもあるという
「重さ」
。どうしてこんなに重いのでしょうか?そこで約8000個の部品からなるピアノを分解してみると、一際目立ったのが、
ピアノの重量の約3分の1を占めているという鉄製のフレーム
。
でも、なぜ
こんなに重い金属の部品が使われているのでしょう?
よく見ると、ピアノの弦が、フレームにかなりの力で固定されていました。
そこで実験!ピアノの弦の両端を固定したものを下からハンマーで叩く装置を用意し、弦の張りがどれほどの強さなのかを確かめてみました。まずは何も引っ張らない状態で音を出してみるとほとんど音が出ません。そこから「ラ」の音を目指して、弦を重りで引っ張ってみました。用意した重りの重量ではまだまだラには程遠く、ついには
体重95キロの矢野さんがぶら下がってみると、ついに「ラ」にかなり近い質の音が出ました
。
実は、
ピアノの弦は一本あたり平均90キロの力で引っ張られていて、およそ230本の弦を合計すると、なんと約20トン
にもなるのです。
ピアノのフレームが鉄製で重いのはこの引っ張りに耐えるため
だったのです。
ピアノがとても重いのは、約20トンの弦の引っ張る力に耐えられるような丈夫な鉄製フレームが入っているからだった!
そして続いての矢野さんの疑問は、安いグランドピアノでも100万円というピアノの
「値段の高さ」
。実は、
ピアノの中で最も高価なのが、弦の下に敷いてある響板と呼ばれる大きな板
なのだそうです。響板は、駒という支えを通して弦の振動を受け、板全体が揺れることで空気を振動させ音を伝えるという役割を持ちます。
試しにぴんと張った一本の弦を、下に響板がある状態とない状態で叩いて比べてみると、音の響きの差は歴然。さらに、
ゴマを響板の上にまいてピアノを弾くと、板の振動によって、実際にゴマが踊りだしました
。
この響板には、
木目が均一な針葉樹のスプルース
という木材が使われています。さらに音を良く響かせるために、乾燥に長くて10年以上も必要だそうです。つまり、
ピアノが高価なのは、響板に大変貴重な材料を使っているため
だったのです。
ところで、
ピアノのコンサートではなぜ、演奏者はピアノの左側に座っているのでしょう
?そこで、回転する
ピアノの周囲を12人で囲み、アイマスクをしてもらい、一番音が大きく聴こえるタイミングで旗をあげてもらいました
。
すると、
全員屋根が開いている部分で旗をあげた
のです。実際に音量を比べてみると、屋根が開いている方向は最も音が大きく、その反対側が最も音が小さかったのです。実はこの
屋根が響板から出た音を反射させていた
のです。だから
演奏者は屋根が開く方向を客席側に合わせるために左側
に座っていたのです。
なぜ、ピアノはよく「楽器の王様」と称されるのでしょう?
そこで、
ピアノとオーケストラの楽器で音域対決
。まずは高音では、トランペットとピッコロにあっさり勝ったピアノ。しかしヴァイオリンはピアノ以上に高音が出ました。
しかし、その高音は美しくないため実用的な音ではないということで引き分け。ならばと、今度は低音で勝負。しかしここはピアノに軍配。さらに
最も低音が出るコントラファゴットと対決
しますが、ここでも
ピアノの勝利
。そしてついにソプラノとバスの歌手も対決を挑みますが、どちらもピアノの圧勝。実は、
ピアノはオーケストラの楽器の音域を一台で全てカバーできることが「楽器の王様」と呼ばれるゆえん
なのです。
ピアノが「楽器の王様」と呼ばれる理由は、オーケストラの全ての楽器の音域を一台でカバーできるからだった!
ちなみに
ピアノの鍵盤は88個
。ならば、
もっと増やせば最強の王様になるのでは?
ということでスタジオに専門家が作成した、高音域の電子音が出る鍵盤がプラスされた、
番組特製ピアノ
が登場。しかし、弾いてみると、なかなか音が聴きとれませんでした。実は、
人間の耳で聴こえる範囲、可聴域は限られていて、音としてキレイに聴こえる範囲は88鍵で十分
だったのです。