牛を襲う!?
キタキツネ
第973回 2009年2月22日
北海道の
目がテン牧場
も、辺り一面銀世界となり、いよいよ冬本番を迎えました。しかし、そこに思わぬ侵入者の影が!!
85cmという積雪で、身動きが取れなくなってしまった2頭の牛、白元と黒元のために雪かきをしていた矢野さんは、雪の上に奇妙な足跡を発見!なんと
普通の足跡とは違い、左右のずれがなく、ほぼ一直線になっていた
のです。
矢野さんは未知なる生物の襲来かと心配になり、北海道の生き物に詳しい専門の方と、その足跡の主を捜索することに…。雪上に発見した同じ形の足跡を辿っていくと、ついに巣穴を発見。しかし、その姿は発見できず。実はこれ、北海道ではお馴染みのかわいい
キタキツネの足跡
だそうです。
一直線である理由は、前足を下ろした同じ所に後足を置いて、厳しい雪の中を歩くエネルギーを節約するため
なのだそうです。では、キタキツネはなぜ牧場の周りをウロウロしていたのでしょうか?そこで、キタキツネはどんな物を食べるのか、宮城県のキツネ専門動物園の協力で調べてみることに。
牛肉、鮭、キャベツ、リンゴ、油揚げ
を7頭のキタキツネに与えてみると
…真っ先に無くなったのはなんと牛肉!
さらに観察を続けると、他の食材も全てあっという間にたいらげてしまったのです。実は、キタキツネは基本的にはなんでも食べてしまう雑食動物で、中でも大好物なのが肉だそうです。そのため、牛の出産の際、出てくる胎盤を狙い牧場にやってくることも多く、時には生まれたての子牛に噛み付いたりもするため牧場にとってはやっかいな生き物なのです。
かわいいキタキツネは、雑食動物で牛の出産時の胎盤を狙ったり子牛を噛んだりする、牧場にとってはやっかい者だった!
そんな危険なキタキツネの侵入を防ぐために、その運動能力を測定してみることに。まずは、木の上にも身軽に登る
キタキツネのジャンプ力!
パン食い競争の要領で牛肉を吊るし、どの高さまでエサを食べられるか実験しました。すると、自分の体長の倍もある高さまでは難なくクリアし、
150cmの高さでも、トライを重ねしたようやくクリア。
想像以上にキタキツネは身軽だったのです。
続いては、雪や土を掘ってエサの小動物などを獲る
キタキツネの穴掘り力!
深さ1mのアクリルボックスに雪を詰め、キタキツネの大好物の牛肉を埋めておきます。すると、雪の上から匂いを嗅ぎ当て、30cm、50cmの深さに埋めたお肉をいとも簡単にゲット。ついにボックスの一番底、1m弱の所に肉を埋めてみると、一旦は諦めかけたものの、下の肉に向け一心不乱に掘り続けついに肉に到達。
どうやら1m程度なら簡単に穴が掘れるようです。
キタキツネは150cmほどの高さまでジャンプでき、1mぐらいの穴も掘ることができる、驚くべき運動能力の持ち主だった!
それらの能力を踏まえ、対策として目がテン牧場の周りを地上160cm、地下1m以上に達する塀で囲もうとしましたが、高額の費用がかかるため、あえなく断念。ならば…、キタキツネに対抗するのではなく、キタキツネを手なずけちゃおうということで、
某有名ドラマで皆さんご存知のあの言葉、「ル〜ルルル」でキタキツネを呼んでみることに。
すると、キタキツネは矢野さんに
近付くどころか逃げていってしまったのです。
なかなか手なずけるのは難しいようです。そこで、なんとかしてキタキツネの鳴き声を利用して牧場を守れないか、さらに観察していると、なんと
「ワンワン」とキタキツネがイヌのような鳴き声を出したのです。さらにネコのような「ニャ〜ニャ〜」、そして「コンコン」とキツネらしい声を出すかと思えば「キャッキャッ」とサルのように鳴く場合も。
そこで、それぞれの鳴き声の意味を調べるため、ラジカセに録音し、キタキツネがどんな反応をみせるのか観察しました。まずは「ワンワン」を流してみると、一度ラジカセに近づき、すぐに離れてしまいました。次は「ニャ〜ニャ〜」を流すと、今度はラジカセに近づきなんとオシッコをかけたのです。今度は「コンコン」を流してみると、大きく反応して長い間ラジカセの側を離れませんでした。この鳴き声でおびき寄せ一網打尽にするのも手ですが、最後に「キャッキャッ」とサルのような声を聞かせてみると、なんと逃げ出してしまい、音を流し続けている間、一向にラジカセに近づいてこようとしませんでした。実は「ワンワン」と「ニャ〜ニャ〜」については不明ですが、
「コンコン」は繁殖期に出す自分の存在をアピールするための鳴き声なので、ラジカセに寄ってきたようです。さらに「キャッキャッ」という鳴き声は警戒音のため、近くには寄ってこなかったようなのです。
ということで目がテン牧場では、柵の代わりにこの声を流し追い払うことに。これでキタキツネ対策はバッチリのはず。目がテン牧場は無事に春を迎えることができるでしょうか?