居酒屋
(秘)飲み過ぎ対策
第1009回 2009年11月14日
一年で一番お酒を飲む、忘年会シーズンがやってきました。そこで今回は、誰もがお世話になる、
「居酒屋」
にまつわる様々な疑問を徹底的に科学します。
①「立ち飲みは酒が進む!?」
最近ブームになっている「立ち飲み居酒屋」。利用している方にその魅力を聞いてみると、立ち飲みは座って飲むよりお酒が進むという意見が多かったのです。そこで、こんな実験!まずはお酒好きの3人に、おつまみは枝豆だけで、ウーロンハイを1時間座ってどれだけ飲むのか見せてもらうと…1時間で3人が飲んだ平均は7.3杯でした。さらに酔い具合を確かめるためバランスボールに挑戦してもらうと、あっという間に転がってしまい、散々な結果。そして、日を改めて今度は「立ち飲み」 で検証。すると飲み始めてわずか30秒で2杯目突入!
1時間後、平均は9杯。立ち飲みの方が、たくさんお酒が入るようです。
さらに、再びバランスボールに挑戦してもらうと、座り飲み後の記録は5秒34だった方が、前回より多く飲んだにも関わらず今度は12秒91、もう一人の方はなんと前回の10倍近いタイムを記録。実際に、呼気中のアルコール濃度も、立ち飲みの方が低かったのです。なぜ立ち飲みの方が多く飲んだのに、酔っていなかったのでしょう?専門家によると、座ってリラックスしている時は血流が遅く、アルコールはゆっくり肝臓に集められるので分解も遅くなりますが、
立っている時は血流が速く、アルコールがどんどん肝臓に送られ、次々と分解されてお酒が抜けやすいのだそうです。
人は立ってお酒を飲むと、血流が速くなり、アルコールがどんどん肝臓に送られ次々と分解される。だから立ち飲みはお酒が進むのだ!
②「なぜハシゴをするのか?」
なぜ人は居酒屋をハシゴしてしまうのでしょうか?そこで、
同じ店で6時間飲み続けるのと2時間ずつ3軒をハシゴするのとでは、どんな違いがあるのか実験です。
実験は居酒屋チェーンを会場に、4人の男性が参加。まずは同じ店で6時間コースのスタート!すると、乾杯直後は、料理もお酒も怒涛の勢いでしたが、2時間も過ぎると、パタリと料理は頼まなくなり、新規の注文はお酒ばかりになりました。ついにはダウンする人も現れ、会話も途切れがちになり、極限状態になったところでようやく終了。そして翌日の夜、再び同じメンバーが集まり、今度は6時間で2時間ずつ3軒のお店をハシゴしてもらいます。1軒目は、なんと昨日と同じお店の同じ席。4人はテンション低くスタートしたものの、かなりのハイペースで飲み食いし、2時間後、別の店に移動です。ハシゴ出来るとあって4人のテンションも上がった様子ですが…2軒目もなんと同じお店のチェーン店。当然メニューも同じです。しかし4人は、場所が変わっただけで、お酒も美味しく飲めているようで、1軒目に負けないペースで料理もお酒も注文していきます。さらに2時間後、元気いっぱいで向かった3軒目も、またもや同じチェーン店…。しかし、4人はまるでこれから飲み始めるように料理を注文し、宴会は最後まで盛り上がったまま終了。
注文数を比べると、6時間で同じ店では計76品。2時間ずつ3軒の合計はなんと120品。ハシゴの方が、5割以上も品数が多かったのです。
この原因を探るため、4人の興奮物質、ドーパミンの血中濃度の変化を見てみると、ハシゴした場合は、4人とも店を変えるたびに上がっていました。ハシゴ酒の方が、環境が変わり、気分がリセットされることで盛り上がるようです。
③「外国人はシメに何を食べるのか?」
夜の新橋で、飲み帰りの皆さんに聞いてみると、30人中全員がラーメンなどのシメを食べると答えました。では外国の方は、何かシメで食べるのでしょうか?そこで
欧米の皆さんにお酒を飲んだ後、シメに食べたいものを選んでもらうと、一番多かった答えは、「食べない」で、なんと70%がこの回答。
一体どうしてなんでしょうか?そこで、日本人2人と欧米人2人のお酒を飲む前後の血糖値を比較してみました。皆さんにはビールを5杯飲んでもらい、20分後再び血糖値を測定します。すると日本人に比べ、外国人の方が、血糖値の落ち幅が小さかったのです。
そもそもお酒を飲むと、肝臓でアルコールが分解され、その際エネルギーとして体内の糖が消費されます。
実は日本人はアルコール分解能力が低く、肝臓を長い時間働かせるため、エネルギーとして大量の糖を必要とします。一方、欧米の方は、アルコール分解能力が高い場合が多く、短時間で分解できるので、糖をそれほど使いません。
そのため、日本人はラーメンや甘いモノで、糖を補給したくなるのに対し、欧米人は、血糖値が下がらないので、特にシメを食べる必要がないのです。楽しい忘年会シーズン、くれぐれも飲み過ぎ&食べ過ぎには気をつけてくださいね。
日本人は、肝臓のアルコール分解能力が低く、飲んだ後に血糖値が下がるため、シメのラーメンで糖を補給したくなるのだ!