カーリング
叫び声解明
第1022回 2010年2月20日
連日熱い戦いが繰り広げられているバンクーバー五輪。今回は、氷上のチェスと呼ばれる注目競技、
「カーリング」
の知られざる秘密に迫ります。
カーリングの疑問① 「試合中に何を叫んでる？」
カーリングの国際大会会場へ向かった佐藤アナ。試合を見ていると、気になったのは、選手達が叫ぶ謎の掛け声。よく聴くと…
どの国の選手達も数字を叫んでいたのです。
数字の意味は、投げてみればわかるというので、佐藤アナはカーリングに初挑戦！
花崗岩製の重さ約２０ｋｇのストーンを滑らせて投げるため、軸足のシューズの裏には滑るスライダー付きで、もう一方のシューズの裏はゴム製で全く滑りません。悪戦苦闘しながら、なんとか投げられるようになった佐藤アナ。ストーンは、１０ｍ６ｃｍ先の赤いラインまでに手を離さねばならず、そのラインから２８ｍ３５ｃｍ離れたハウスと呼ばれる円を狙います。すると…佐藤アナが投げるたびにコーチは違う数字を叫んだのです。
実は、数字はストーンが止まると予測される位置を表し、選手はそれを仲間に知らせるために叫んでいたのです。
赤いラインの手前は０で、ハウスの中心が７、円を超えたエリアは１１と、遠いほど数字は大きくなります。
止まる位置は、ストーンを投げる人の脇にいる選手が、ストップウォッチでストーンが最初の黒い線にかかってから、８ｍ２３ｃｍ先の赤い線にかかるまで、その通過タイムを計測し、予測しています。
この距離を３．７秒で通過すると、円のほぼ中心に止まるというのが目安。これがたった０．０５秒遅くなるだけで、３ｍ２０ｃｍも手前で止まりました。カーリングは１００分の１秒で距離が変わる繊細なスポーツなんです。さらに、数字以外にも聞こえてくる
「イエス」・「ハリー」・「スイープ」という声は、掃け！反対に「アップ」・「ノー」・「ウォー」は、止めろ！という意味で世界共通だそうです。
コーチによると、ブラシで掃くことでストーンの止まる位置が変わると言うので、こんな実験！特製スロープ台の同じ位置からストーンを落下させ、ブラシで掃いた場合と掃かない場合の距離を比較します。すると、選手にブラシで氷上を掃いてもらった場合、何もしない時より２ｍ以上距離が伸びました。専門家によると、ブラシで掃くと氷の温度が上がり、それに連れて抵抗が減ってよく滑るそうです。サーモグラフィで、ブラシで掃いた氷上を見ると、わずかに温度が上昇しました。そこで、
柄の先に、使い捨てカイロをつけた特製ブラシで掃いてみると…ストーンはぐんぐん滑り、普通のブラシで掃いたストーンより、４ｍ５０ｃｍも長く滑ったのです。
氷をブラシで掃くと、氷の温度が上がって抵抗が減り、ストーンが滑るようになるのだ！
カーリングの疑問②「普通のスケートリンクと何が違う？」
カーリング場は日本にわずか１０ヶ所ほどしかありませんが、普通のスケートリンクとどこが違うのでしょう？そこで、カーリングの試合間に行われるリンクの整備を見ていると、なんと、
削ってきれいにしたリンクに、ジョウロのようなもので水を撒き、表面にペブルと呼ばれる小さな凹凸の氷をわざわざ作っていたのです。
このペブルの秘密とは？そこで、先ほどのスロープを使って、ペブルの有り無しのリンクで、滑る距離を比較します。すると…製氷機でペブルを削り取った、真っ平なリンクでは、ストーンはペブルがある時よりも１３ｍ３０ｃｍも手前でストップ。実は、平らなリンクでは氷が吸着しやすく滑りにくいので、カーリングのリンクでは、ペブルを作り、氷がストーンにつく面積を減らして、滑りやすくしているのです。
カーリングの疑問③「どれだけストーンは曲げられる？」
日本選手の得意技といえば、ストーンをカーブさせ、邪魔な相手のストーンをくぐりぬける必殺ショット！
ストーンを右に曲げたい時には時計周りの回転をつけ、逆に左に曲げたい時は反時計周りの回転をつけます。
ならば、たくさん回転させれば、もっと曲がるミラクルショットが投げられるのでは？そこで、アームレスリングの元世界チャンピオンに、ストーンを思いっきり回転させて投げてもらうと…ストーンは真っ直ぐ滑り大オーバー。スピードを落として投げても、少しも曲がりませんでした。
実は、ストーンの回転が速すぎると、摩擦が減り、かえって曲がらないのです。きれいに曲げるには、ハウスまで２〜４回転ほどがちょうど良いそうです。
カーリングの疑問 〜番外編〜 「なぜ選手に可愛い子が多いのか？」
マリリンこと本橋麻里選手をはじめ、なぜカーリングには可愛い選手が多いのでしょうか？その秘密を探るため、高校生日本代表のカーリング選手３人と、選手と同じ高校に通う、運動部に所属していない普通の女子高校生３人の身体能力を比較してみました。ところが…背筋力、前屈、握力ではカーリングチームが勝ったものの、なんと反復横跳びと垂直跳びでは負けてしまいました。
カーリング選手は、普通の女の子と、体力的にはほとんど差がなかったのです。
カーリングは、氷上のチェスと呼ばれるように、やはり頭脳重視の競技。だから、それほど高い身体能力は求められないので、見た目も普通の可愛い子が多いのかもしれませんね。
カーリング選手に可愛い子が多いのは、高い身体能力よりも、頭脳重視の競技だから！…かも知れない。
花崗岩製の重さ約２０ｋｇのストーンを滑らせて投げるため、軸足のシューズの裏には滑るスライダー付きで、もう一方のシューズの裏はゴム製で全く滑りません。悪戦苦闘しながら、なんとか投げられるようになった佐藤アナ。ストーンは、１０ｍ６ｃｍ先の赤いラインまでに手を離さねばならず、そのラインから２８ｍ３５ｃｍ離れたハウスと呼ばれる円を狙います。すると…佐藤アナが投げるたびにコーチは違う数字を叫んだのです。実は、数字はストーンが止まると予測される位置を表し、選手はそれを仲間に知らせるために叫んでいたのです。赤いラインの手前は０で、ハウスの中心が７、円を超えたエリアは１１と、遠いほど数字は大きくなります。
日本選手の得意技といえば、ストーンをカーブさせ、邪魔な相手のストーンをくぐりぬける必殺ショット！ストーンを右に曲げたい時には時計周りの回転をつけ、逆に左に曲げたい時は反時計周りの回転をつけます。ならば、たくさん回転させれば、もっと曲がるミラクルショットが投げられるのでは？そこで、アームレスリングの元世界チャンピオンに、ストーンを思いっきり回転させて投げてもらうと…ストーンは真っ直ぐ滑り大オーバー。スピードを落として投げても、少しも曲がりませんでした。実は、ストーンの回転が速すぎると、摩擦が減り、かえって曲がらないのです。きれいに曲げるには、ハウスまで２〜４回転ほどがちょうど良いそうです。
