知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


頑張れは逆効果!? 応援
第1023回 2010年2月27日


 バンクーバーオリンピックで選手達の活躍を後押ししたものと言えば…応援!そこで今回は、応援の持つ秘めた力を科学の力で徹底検証します!

検証① 応援は本当に効果があるの? 野球編
バッターのすぐ横で応援  インタビューで、「応援に励まされた」と答える選手は多いですよね。でも、本当に応援は効果があるのでしょうか?そこで、上智大学応援団と、いつも彼らに応援されている野球部員の協力で、こんな実験です!応援の有る無しで3人の選手がバッティングセンターの上級者モードで20球中、何球バットに当てられるかを比較します。すると…3人の平均は応援なしでは15・7球。しかし、すぐ近くで盛大な応援を受けた場合は、空振り続出で平均11・7球。なんと全員応援無しのほうが好成績だったのです!この結果に応援団長もガックリ。応援に効果はないのでしょうか?

検証② 応援は本当に効果があるの? 長距離走編
 ならばと、続いては長距離走で実験!大学の陸上選手と、2人の普段全く運動しない男性にルームランナーで、10分間スピードを自由に変えて限界まで、長い距離を走ってもらいます。そして、10分後の結果は、陸上選手以外は2キロを超えず、運動嫌いの2人はバテバテ…しかし、ここでまさかのもう1本という非情の宣告!実はここからが実験本番。3人の前には目がテン大応援団が登場!今度は女性応援団の黄色い声援を受けながら再び挑戦!すると…やはり2本目はきつかったのか1人の運動をしない男性がルームランナーを降りてリタイア。ところが、ルームランナーへ向かい、再び走り出したのです。そして結果は、なんと全員の記録が大幅にアップしました。スポーツ心理学の専門家によると、応援は、マラソンや水泳など、体力と精神力の持続が勝負のエネルギー系の種目には効果がありますが、野球やゴルフなど、ここぞの場面で集中力を要するスキル系の種目には逆効果になってしまうことがあるそうです。ただし、スキル系種目でも、バッターボックスに入る前など、重要な場面以外では、選手の気分が盛り上がり、効果があるそうです。

所さんのポイント
ポイント1
応援は、マラソンなどエネルギー系の種目には効果があるが、野球やゴルフなど集中力勝負の種目では逆効果になってしまうのだ!

検証③ 「ガンバレ」の効果とは!?
 街行く人に、応援する時なんと声をかけるのか聞いてみると、なんと30人全員が「ガンバレ!」と応援すると答えました。しかし、最近では励ましではなく、褒める応援というのが注目を集めているそうです。そこでこんな実験!高い所が大の苦手という男性6名に、くじ引きでAチームとBチームに分かれてもらいます。そして1人ずつアイマスクをし、内緒でバンジージャンプ台へ!地上からは再び目がテン応援団が応援!Aチームには30秒に1回「ガンバレ〜!」と励ます応援、Bチームには「かっこいい〜!」と褒める応援で6人の後押しをし、飛ぶまでの平均時間を比較します。まずはAチーム。「ガンバレ〜!」という声援にいらだちを見せながらも、3人ともなんとか飛び、平均は9分39秒でした。続いてBチームが挑戦!すると、「かっこいい〜」の声に気を良くしたのか、なんと3人が飛ぶまでの平均は2分33秒という驚きの結果が出たのです!実は、これスポーツ心理学の最先端の研究結果だそうで、すでに極限状態でがんばっている選手に「ガンバレ!」と励ましても、「もう頑張ってるよ!」という思いからストレスを感じ、逆効果になってしまうそうです。一方、「かっこいい!」や「ナイスプレー!」と褒める応援なら、選手は安心して前向きに競技に挑めるようになり、良い結果につながりやすいのだそうです。

所さんのポイント
ポイント2
「ガンバレ!」と励ます応援よりも「かっこいい!」、「ナイスプレー!」など褒める応援の方が、選手は前向きになり効果的なのだ! 

検証④ 人はなぜ応援するの?
 人はなぜ、テレビの前で声も届かないのに思わず応援してしまうのでしょう?そこで、人はどういう時に他人を応援してしまうのかを確かめるため、こんな実験!生のプロレスを見たことがない男女計9人に、試合を見ながら、どちらの選手を応援しているのか、心境が変わるたびに手元のボタンを押してもらいます。まずは黒覆面のレスラーが赤覆面のレスラーに襲いかかると、全員が劣勢な赤覆面の選手を応援。しかし、その後は試合展開によって負けている方へ票が移動し続けました。結果、人はどちらのファンでもないと、負けている方を応援するということが判明。そして、続いての第2試合では、事前に観客へ両レスラーのプロフィールを読んでもらいます。ウエスタンタイガー選手は輝かしい栄光の経歴、マスクドホルスタイン選手は不幸で悲惨な経歴が書かれています。スープレックスで負けた瞬間と観客もちろんプロフィールはニセの情報。すると、開始早々、ホルスタインに応援が集中!そのまま優勢になっても票は全く動かず、全員が声を出して必死に応援!しかし、残念ながらホルスタインは敗戦。すると、一同ため息に包まれ、中には涙する女性まで…。専門家によると、応援するという心理には、自分がその選手に投影される「同一視」というメカニズムがあるといいます。つまり、選手やチームに感情移入をすることで、自分のことのように応援したくなり、その結果、試合に引き込まれてより楽しむことができるのです。



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