あげぽよ!!
流行語
実験
第1110回 2011年12月17日
年末恒例の「新語・流行語大賞」。大賞「なでしこJAPAN」の他に、今年も「ラブ注入」や「あげぽよ」など、新しい
流行語
がたくさん誕生しました。そこで、街の人に流行った言葉を聞くと、知らない言葉が続々…。どうやら新しい言葉は日々生まれているようです。そこで今回は、流行語が生まれるメカニズムを徹底検証します!
①女子高生はどのように新語を生み出すのか?
そもそも、「あげぽよ」などの新語はどうやって生まれているのでしょうか?そこで実験!若者の流行発信の街・渋谷でよく遊ぶという女子高生4人に、日本ではあまり見かけない果物を食べてもらい、10分間、その果物の商品としての売り出し方を考えてもらいます。でも、実験の本当の目的は、「会話の中で新しい名前を生み出すかどうか?」
もちろん彼女たちには、果物の名前は内緒です。
まずは、「イエローピタヤ」という果物を前に会話してもらうと…最初の内は謎の果物を「これ」と呼んでいましたが、7分54秒、「トゲトゲマン」という新しい名前が飛び出し、10分の実験は終了。確認のため、果物をザクロに変えてもう一度実験してみると…ザクロを知らない女子高生たちは、またしても8分過ぎに「プチプチ」と命名!
確認のため、別の女子高生4人で同じ実験をしてみると…なぜか今度は2つとも「これ」と呼び続け、新しい名前は生まれず…。なぜ違いが出たのか、専門家に伺うと…「新しい言葉は、仲が良いグループの方が生まれやすい傾向にあると思われる」との事。
実は、1組目の女子高生たちは同じ中学に通っていた仲良しグループだったのに対し、新語が生まれなかった2組目は全員が初対面だったのです!専門家によると、「仲良しグループの方が、連帯感が強まるため、仲間内の中でのみ通じるような言葉を生み出し、新語になったと考えられる」そうです。
②若者だから新語を生み出せるのか?
さて、これまで多くの流行語を生み出してきた女子高生に代表されるように、新しい言葉は若者だからこそ作れるのでしょうか?そこで、若者の新語作りの能力を確かめるため、こんな実験!
お題となる物の写真を見て、5分間話し合いながら名前をできるだけたくさん考え出してもらいます。ただし、ダジャレ、モジリ、擬音語、略語はNGというルールです。先に比較のため、初対面の40代4人で実験。最初のお題はカーテンをまとめておく帯状のもの。考えた言葉はボードに書いて次々と発表してもらいます。すると…モジリやダジャレでのNGに苦戦しながらも、5個の新語を生み出し、大健闘!続いて、いよいよ20代の4人が挑戦!すると…既存の言葉やモジリでNGを繰り返し、大苦戦!結果、5分で生み出した言葉は1個だけでした。
さらに、違うお題で各2回挑戦してもらったところ、3回戦とも40代チームの圧勝という結果に。理由を専門家に伺うと…「新しい言葉を生み出すのは年齢の違いよりも、日本語の能力に大きく関わっている」そうです。実は実験前、全員に四字熟語をできるだけ多く書いてもらうテストを行った結果、40代の平均はおよそ6点なのに、20代はおよそ10点と、圧倒的な好成績でした。
実は、20代の4人は、言語学を勉強している現役大学生で、日本語の能力が高かったのです。専門家によると、「多くの言葉を知っていると、使い回しができるので新しい言葉を作る必要がなく、さらに、持っている言葉の多さに縛られて新しい言葉は生まれづらくなると考えられる」そうです。
もちろん、一般に年齢が高いほうが言葉を知っている傾向はありますが、若者でも日本語能力が高いと、知っている言葉に縛られやすいのです。
年齢に関わらず、日本語の知識や能力が高い人ほど、知っている言葉に縛られやすく、新しい言葉を生み出しにくいのだ!
③子どもに新しい言葉を流行らせよう!
さて、新しく生まれた言葉は、どうやったら流行語になっていくのでしょうか?そこで、子供たちに新しい言葉を流行らせようと、こんな実験!10人の幼稚園児たちの前で、大好きなヒーローショーを行います。登場する正義のヒーローの名前「ハンチョ」と、必殺技、「ホホホンキック」は流行語になるのでしょうか?すると…子供たちは食い入るようにショーを観て、ハンチョに声援を贈ります!ショーの中では、「ハンチョ」を10回、「ホホホンキック」は2回言い続けました。そして30分後、子供たちに名前と必殺技を聞いてみると…なんと
「ハンチョ」の名前を覚えていたのは2人だけ、必殺技「ホホホンキック」は誰一人覚えていないという結果に…。なぜ印象に残らなかったのか?過去5年間の流行語大賞にノミネートされた中から、略語やモジリではない言葉を分析してみると…7個中5個が「オッパッピー」や「あげぽよ」など、パ行が含まれた言葉だったのです!
専門家によると、「パ行は一般的に破裂音と呼ばれていて、人の耳に残りやすいと考えられる」そうです。そこで実験!
別の幼稚園児10人の前で、ヒーローの名前を「ハンチョ」→「パンチョ」に、必殺技を「ホホホンキック」→「ポポポンキック」に変えて全く同じ内容のショーを行います。
30分後、子供たちに名前と必殺技を聞いてみると、「パンチョ」は5人、「ポポポンキック」は2人も覚えていたのです!
専門家によると…「パ・ピ・プ・ペ・ポの音は、音の強さや高さの変化が最も激しいので、聴き取りやすく記憶にも残りやすいので、流行語にもなりやすいと考えられる」そうです。
破裂音のパ行を含む言葉は、記憶に残りやすいため、流行語になりやすいのだ!