知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


隣の晩ご飯 イギリス編
第1140回 2012年7月21日


 目がテン、恒例夏休み海外スペシャル!今回の舞台は、ロンドン五輪開催で世界中から注目される、イギリスです!イギリスと言えば思い浮かぶイメージを、日本で聞いてみると…「ビートルズ」「紅茶」「ビッグベン」などの他に、「食事が美味しくない」という声が…そこで、第1弾の今週はイギリスの食文化を徹底調査します!

 イギリス料理のイメージが悪いのは日本だけなのか?イギリスに渡ったユージさんが、ロンドンを訪れている外国人観光客に聞いてみると…世界各国の方々もイギリス料理の味には厳しい意見…。そこで、まずは日本で、「イギリス」、「フランス」、「イタリア」、「インド」、「日本」、「中華」の各国料理で一番美味しいと思うものを選んでもらうと…20人中半数以上の11人が日本料理と回答。続いてイギリスで同じ質問をすると、なんと20人中12人がイタリア料理を支持!自国を選んだのは2人だけと、地元でも人気なし…。では、普段の家庭料理はどうなんでしょう?そこで!ユージさんが「突撃!となりの晩ごはん in ロンドン」を決行!しゃもじ片手にロンドンのお宅へ次々と突撃しました!まずは1軒目のお宅。キッチンへお邪魔し、夕飯のメイン、チキンカレーの調理を見せてもらうと…鶏肉を切らずにそのままフライパンへ投入し、軽く炒めたところで、ビン詰めのカレーソースをドバッと全部投入!さらにご飯も、沸騰したお湯へ直接投入!子供用プレーンパスタ最後にザルも使わずアバウトにお湯を捨て、そのままお皿へ…なんとこれで完成!3歳の息子さんもその味には微妙な反応。ユージさんも試食させてもらうと、ご飯の水っぽさに困惑…。
 続いては、2人暮らしの新婚さんのお宅へ突撃!夕飯は中華料理ということですが、出てきたのは、パック入りの出前品…。今、イギリスでは中華やインド料理の出前が大人気だそうです。続いて突撃した3軒目は、8歳と5歳のお子さんがいる4人家族のお宅。夕飯のパスタの調理は、いきなりパスタを塩も入れずにお湯の中へ。茹で上がったら湯切りして、市販のトマトソースとあえるだけで完成。しかも、子供たちのパスタには塩分をとりすぎないようにと、味付けなし!これには子供たちも微妙な反応…。

 続く4軒目は、50代の夫婦2人暮らしのお宅。しかし、出てきたのはスーパーで買った出来合いの冷凍ピザ。イギリスのスーパーには、ピザなど手軽な冷凍食品が豊富だそうです。奥さんによると、「イギリスの伝統料理は時間がかかり面倒なので、親戚が集まる特別な時ぐらいにしか作らない」そうです。どうやら、イギリスは家庭でも、あまり自国の料理を食べていないようです。この理由として、専門家に伺うと…「イギリスにもかつては、肉や野菜を使った豊かな食文化がありましたが、18世紀に始まった産業革命期に人々が都市に集中。その結果、農村から人が減り、農業が衰退。結果、食材のバリエーションもなくなり、イギリス料理は調理法も単純になったと考えられている」そうです。その後、イタリアンなど各国の料理が入ってきて、イギリス人も自国の料理をあまり食べなくなってしまったんだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
イギリスには、かつて豊かな食文化があったが、産業革命期に、農村が衰退し、食材のバリエーションが減り、料理も単純化されていったのだ!

 では、今食べられているイギリス料理とはどんな物なのか、ユージさんが本場のパブを訪ねてみました。すると、出てきたのは、おなじみの、「フィッシュ&チップス」。「ローストビーフ」、そして、パイ生地の上にマッシュポテトとソーセージを乗せた「バンガーズ・アンド・マッシュ」。などのワンプレート料理の数々。ユージさんが食べてみると…なんと、どの料理もほとんど味付けを感じないほど薄味だったのです!スタジオで、所さんにもイギリスの代表料理の一つ、シェパーズパイを試食してもらうと…付け合せの野菜の味付けの無さにビックリ!そこで、日本人とイギリス人の、各20代の男女6人に、同じ味覚検査キットでテストしてみました。甘い・塩辛い・酸っぱい・苦い、4つの味それぞれに5段階の濃度があり、どこで味の識別できるのかを調べたところ…結果、日本人もイギリス人も全員が正常で、味覚はほぼ同じでした。一切味見もせず、次々と調味料をたっぷりとかけるなぜ、イギリス人は薄い味付けを受け入れているのでしょう?その理由を探るため、ユージさんが、パブで食事するお客さんの様子をウォッチング!すると、テーブルの上には塩、コショウ、ビネガー、ケチャップなどの様々な調味料が。これ、イギリスのお店では当たり前のスタイルだそうです。そして、どのお客さんも、一切味見もせず、次々と調味料をたっぷりとかけてから食べ始めるのです!

 男性客に話を伺うと…「子どもの頃からみんながやっている」とのこと。本当か確かめるため、今度は家族連れにも大人気の「フィッシュ&チップス」専門店へ。そこで、お父さんに連れられてやってきたお子さんの様子を見ると…塩やビネガーに加え、カレーソースまでたっぷりとかけたのです!つまり、自分の好みに、味付けをするのが、イギリス流の食べ方なんです。このような習慣になった理由について、専門家はこんな説を唱えています。「イギリスでは豊かな食文化を産業革命期に失う過程で、味を評価する能力とともに、作り手の味付けの標準も失われたため、最低限の味付けをして、あとはお客さんに自分好みの味付けで楽しんでもらうようになったと考えられる」そうです。しかし、最近イギリスでは「モダンブリティッシュ」と呼ばれる、美味しいイギリス料理を生み出そうという取り組みが行われていて、付け合わせにいたるまで、しっかりと美味しい味付けがなされているんです。

所さんのポイント
ポイント2
産業革命以降、味付けの標準を失ったイギリス料理は、薄味のまま出し、あとは個人の好みで調味料をかけて楽しんでもらうようになったのだ!




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