バスツアー
の科学
第1173回 2013年4月14日
春の行楽シーズンで盛り上がる「日帰りバスツアー」。旅行会社が企画する日帰りバスツアーは年々利用客が増加しています。そこで、今回はバスツアーの人気の秘密を科学で解明します!
①1日にたくさんの場所を回るバスツアーが人気の理由は?
②初対面の人と一緒で本当に楽しめる?
③バスに乗っていると移動時間が短く感じる?
①1日にたくさんの場所を回るバスツアーが人気の理由は?
種類豊富なバスツアー、一体どんなコースが人気なのか?バスツアーを企画する会社に話を聞くと「内容が盛りだくさんのコースが人気」とのこと。そこで東京の名所をたくさん回る人気ツアーで目がテン大実験!
バスツアーに参加した事のない10人に、「A」「B」の2チームに分かれてもらいます。Aチームに参加してもらうのは半日で都内14カ所をまわる実際にある人気のコース。5時間30分で東京タワー、浅草、皇居を観光。さらに車窓からも楽しみます。一方Bチームは、同じ5時間30分で東京タワーと浅草だけをゆっくりと観光してもらいます。たくさん回るAチームとゆっくり回るBチーム、どちらが思い出に残るのでしょうか?
Aチームはたくさん回るため、時間制限が不可欠。一方Bチームは、高速道路を飛ばし移動も短縮。さらに、好きなお店でゆっくり昼食タイム。一方Aチームはバスの中でお弁当。その最中も車窓から観光します。こうして午後6時、両チームともツアー終了。実験はここからが本番!思い出に残っていれば強く記憶に残っているはず。そこで、両チームともにまわった浅草と東京タワーに関するクイズに答えてもらいました。その結果は・・・15問中、たくさん回ったAチームの方が記憶に残っていたんです!専門家に伺うと「片方のチームは忙しく回ってそれぞれを十分に観察できない。するとずっと緊張状態を保ったまま回るので、その間の出来事は記憶に残りやすい。逆に思う存分回れたチームは緊張状態が落ちその間の出来事を忘れやすい」とのこと。
ちなみに、ツアー終了後に参加者の皆さんにツアーをどのくらい楽しめたか満足度を100店満点で表してもらうと、ツアー終了直後は、ゆっくり回ったBチームの方がやや満足度が高かったが、実験から5日後改めて調査すると、たくさん回ったAチームの方は全員が上がっていました。
専門家によると、もっと回りたかったと言う気持ちが残り、何度も思い返すことで楽しい思い出にすり替わるそうです。
たくさんの場所を回る日帰りバスツアーは、後々楽しくなる!これが人気の秘密なのだ!
②初対面の人と一緒で本当に楽しめる?
知らない人と集団で過ごすバスツアーは気を使ってストレスがたまりそう…。そこで、バスツアーはどのくらいストレスがたまるのか実験です!
バスツアーに参加した事のない友人同士のグループ7人に協力してもらい、抽選で「A」「B」2チームに分かれてもらいました。Aチームの3人には、実際の日帰りバスツアーに参加してもらいます。もちろんツアーに参加している他のお客さんとはこの日が初対面。一方Bチームには、バスツアーと全く同じコースを車に乗って友だち4人だけで、回ってもらいます。果たしてバスツアーは一般的な旅よりもストレスがたまるのでしょうか?
友だちだけでまわる乗用車チームは和気あいあい。一方バスツアーに参加するAチームの3人は、周りのツアー客が気になるのかなかなか会話が弾みません。周りを気にせず4人だけで楽しむBチームに対して、常に集団で過ごすAチーム。そして午後7時ツアー終了。初対面の人と過ごしたバスツアーはどのくらいストレスがたまったのか?機械で唾液からストレスの度合いを計測。その結果・・・Aのバスツアーチームの方は、Bの乗用車チームに比べて、ほとんどストレスがたまっていませんでした!なぜバスツアーチームはストレスがたまらなかったのか専門家に伺うと「バスの場合、運転手さんはプロなので気を使う必要はないですし、初対面の人たちの中でとりあえず回りに迷惑をかけていなければ一人一人バラバラにしていても大丈夫という安心感があって、逆に気楽に自由に行動できたんじゃないか」とのこと。
知らない人と過ごすバスツアーは、最低限の規律を守ればストレスもたまらないのだ!
③バスに乗っていると移動時間が短く感じる?
バスツアーに参加している人に 移動時間をどう感じているのか、聞いてみると、あっという間に感じ、移動時間が気にならないと答える人が多かったんです。一体本当なのか、実験です!
男女8人に「A」「B」のバスチームとタクシーチームに分かれて乗ってもらい、体感時間を比較します。走ってもらうのはこちらのコース。同じ距離を同じ時間走ってもらいます。事前に車内の時計は全部隠し携帯電話などの時間の分かるものも没収します。実験スタート!果たしてバスとタクシーでは体感時間に違いは出るのか?参加者の皆さんには、会話をせず、ひたすら窓の外を見てもらいます。ゴールに到着。ここまでかかった時間は52分。このドライブを一体どのくらいに感じたのか?
タクシーの4人の結果は平均59分と実際の時間よりも長く感じていました。一方、バスに乗ったAチームは、なんと4人全員が実際の時間よりも短く感じ、タクシーに乗ったAチームに比べて平均で20分も差があったんです!一体バスとタクシーでなぜ時間の感じ方に違いがあったのか?専門家によると「それは目線の高さが関係している」とのこと。
そこでバスの目線の高さを測ってみると260センチ。タクシーに比べ2倍以上も目線の位置が高かったのです。タクシーの目線は視界が狭く、目の前を景色がたくさん通り過ぎていきます。しかしバスは視界が広く、景色はあまり移り変わりません。人はゆっくりな速度の映像を見ている時、見える出来事の数も実際より少なくなります。そのため時間が短く感じると考えられています。
バス移動は目線が高くなり景色がゆっくり流れるため、体感時間を短く感じるのだ!
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