抹茶
の科学
第1183回 2013年6月23日
抹茶を使ったチョコやクッキーは、もはやスイーツの定番。しかし、なぜ抹茶味がこんなに人気なのか?他のお茶と何が違うのか?そこで今回は、なぜだかハマる「抹茶」のヒミツを科学で解明します!
①抹茶の産地 京都・宇治で調査!抹茶と他のお茶の違いのヒミツ
②抹茶スイーツなぜ人気?味の成分に隠されたヒミツ
③抹茶で料理がおいしくなるか?意外な組み合わせのヒミツ
①抹茶の産地 京都・宇治で調査! 抹茶と他のお茶の違いのヒミツ
高級抹茶で有名な京都・宇治にある老舗茶屋で、抹茶と他のお茶の違いを調査!抹茶の作り方を調べると…摘みたての茶葉を蒸し乾燥。よく乾かした茶葉を冷蔵保存し、出荷の直前に茎などの硬い部分を取り除いてから、柔らかい葉だけを石臼で挽きます。
一方、一般的によく飲まれている煎茶はと言うと…摘みたての茶葉を蒸すところまでは同じ。次に、茶葉の細胞を壊し成分をお湯にしみ出しやすくするために「揉む」という作業を行い、最後に乾燥させて完成。
つまり、抹茶と他のお茶は、茶葉をそのまま飲むか、お湯で抽出して飲むかの違い。抹茶は茶葉のビタミンやミネラルなどの栄養分を丸ごと摂取できます。ならば、他のお茶も抹茶のように石臼で挽いて飲めば栄養分を丸ごと摂取できるのでは?そこで実験!
紅茶を石臼で丸ごと挽き抹茶と同じ細かさにして、表千家師範の先生に抹茶のように点ててもらいました。結果は…「渋くて、おいしくない」。抹茶と同じ作り方をしたのに一体なぜ?その理由を探るため、今度は抹茶の茶葉を育てている宇治の茶畑へ!
抹茶用の茶畑を訪れると、真っ黒い布に覆われていました。でも、お茶の葉を見ると外にある畑のお茶と比べてあまり変わりません。実は、抹茶も含めた緑茶も紅茶もウーロン茶も、みんな同じツバキ科の「チャノキ」という植物の葉。お茶の種類の違いは、栽培の仕方や加工法だけだったのです。
上記の抹茶の栽培で使われていた黒い布「寒冷紗」は、日光のおよそ90%をカットしお茶の渋味であるカテキンを減らすことができるもの。1か月「寒冷紗」かぶせた茶葉と、かぶせない煎茶用の茶葉を比較分析すると、日光を浴びて育った茶葉に含まれるカテキンの量が100g中、13.2gに対して、日光を遮って育てた茶葉はおよそ半分の6.9gでした。抹茶は渋みが少ないからこそ茶葉を丸ごと美味しく飲めたのです。
抹茶はカテキンが少ないから渋くないのだ!
②抹茶スイーツなぜ人気?味の成分に隠されたヒミツ
街で抹茶味のどんなところが好きか聞いてみると「苦味が美味しい」という答えがほとんど。そこで、人気のスイーツに良く使われる抹茶クリームを用意し、ふつうの生クリームと比べて、どんな味の違いが出るのか?味覚センサーで分析しました。結果は…抹茶入りの方は、渋みが3倍以上。そして「うま味」も2倍増えていました。一体なぜ?
専門家によると、抹茶はうま味のテアニンが他のお茶に比べて多く含まれているとのこと。テアニンは、チャノキ特有のうま味成分。お茶の樹は、根っこで旨味成分テアニンが作り茎を通って葉に蓄積し、テアニンは日光に当たるとカテキンに変化するので、光を遮ってしまうとテアニンは増えたままでカテキンが減るというのです。寒冷紗で覆うあの栽培法は、渋みのカテキンを減らすのと同時に、うま味成分、テアニンの量を多く保つためでもあったんです!
では、テアニンがあるのとないのとでは、どのくらいおいしさが変わるのか?用意したのは、抹茶の渋み成分カテキン100%の渋い粉末と砂糖で作った「カテキン生クリーム」。そして、もう1つが、カテキンと抹茶のうまみ成分テアニンで作った「テアニンカテキン生クリーム」。この2つを食べ比べてもらった結果…15人中13人が「カテキン生クリーム」よりも、「テアニンカテキン生クリーム」の方がおいしいと答えたのです。渋みのカテキンだけではなく、うま味の「テアニン」とバランス良く組み合わさることで、抹茶特有のおいしさを生み出していたのです。
抹茶のおいしさのヒミツは、渋味とうま味の程よいバランスなのだ!
③抹茶で料理がおいしくなるか?意外な組み合わせのヒミツ
抹茶を足すとテアニンの旨味が増して料理がおいしくなるのでは?そこで、料理研究家に協力してもらい、抹茶と水を1対1で混ぜた抹茶ペーストを使ったいろいろな抹茶料理を作ってみることに!
【1品目】は、日本の食卓の定番、味噌汁に抹茶ペーストを投入した「抹茶味噌汁」!
【2品目】は、サバに塩を軽く振ってから表面に抹茶ペーストをたっぷり塗ってから焼いた「抹茶の塩サバ」!
【3品目】はバジルソースに見える「抹茶ペペロンチーノスパゲティ」!
【4品目】は、みんなが大好きカレーに投入して作った「グリーンカレー風抹茶カレー」!
抹茶入りと抹茶なし、どちらが美味しいのか食べ比べ対決です!見た目に左右されないように、アイマスクをつけてもらい、最初は何も入っていないほうから食べてもらいました。
まずはペペロンチーノ。結果は…15人中11人が抹茶ペペロンチーノの方がおいしいと答えました。続いてはサバの塩焼き。結果は…15人中10人が抹茶の塩サバ。味噌汁も…9人が抹茶味噌汁の方がおいしいと答えました。専門家によると、「抹茶の主な旨み成分、テアニンが、料理の旨み成分と合わさり、旨みが増した」とのこと。
しかし、カレーだけは…15人中13人が抹茶なしの方がおいしいと答えたのです。専門家によると、抹茶は90度以上の高い温度で煮込むとカフェインも、カテキンも多く抽出され、苦渋味が出てしまとのこと。
抹茶は料理にチョイ足しでうま味倍増!でも煮込みはNGなのだ!
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