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サービスエリア の科学
第1220回 2014年3月30日


 この時期、春の陽気に誘われて車でお出かけ!なんて人も多いはず。
 そんなドライブのときに立ち寄るのが・・・そう!サービスエリア!全国に約380カ所あるサービスエリアやパーキングエリアが今、大きく変わり始めているんです!
 そこで本日の目がテンは、春のドライブがより楽しくなる「サービスエリア」を科学します。

①なぜSA・PAに意外な施設があるのか?

 今、サービスエリアには変わった施設がいっぱい!
 例えば、雄大な日本海が望める絶景の露天風呂があるサービスエリアや、世界の珍しい淡水魚が2万匹も泳ぐ水族館に隣接するサービスエリアなどバリエーションは様々。そんな中、遊園地のような施設があるというので行ってみると・・・そこは伊勢湾岸自動車道にある「刈谷パーキングエリア」。なんとここには、サービスエリアなのに観覧車があるんです!
 しかも、観覧車があるのはここだけでなく、兵庫県や岐阜県のサービスエリアにも!でも、一体なぜサービスエリアにあるのでしょうか?
 大手自動車メーカーと共同で車の乗り心地などを数値化する研究を行う満倉先生に聞くと…「サービスエリアやパーキングエリアにある娯楽施設は、一般道の娯楽施設と比べると脳に与える効果が違う」。
 そこで実験!男女2組がそれぞれ高速道路チームと一般道路チームに分かれ、車に乗り、満倉先生の開発したカチュウシャ型の脳波計を装着。今回この装置で測定するのは興味度。先生の研究チームがおよそ1万人の脳波を調べ、人が何かに興味を示した時、脳波に見られる変化から興味の度合いがわかるといいます。実験は高速道路チームと一般道路チームどちらも同じ時間車に乗ります。高速道路チームは首都高の東京・芝公園をスタートし、高速道路のみを使い、刈谷パーキングエリアへ・・・。一方、一般道路チームは千葉県柏の葉キャンパス駅からスタートし、一般道だけを走り、茨城県のひたちなか海浜公園を目指します。
 どちらにもある観覧車。乗ったときに興味度にどんな違いが現れるのでしょうか? まずは一般道路チーム。走行中の興味度は…男女とも平均的な興味度を示す50のラインを行ったり来たりと大きな変化は見られません。そして目的地到着後、一周12分半の観覧車に乗ってもらい、観覧車での興味度を見ると…走行中よりも上下に激しく振れています。これはより興奮して、興味を感じている証拠。ドライブから観覧車まで一定の興味が続いていることがわかりました。一方、高速道路チームは、走行中の興味度を見てみると2人とも興味を感じない50よりも低い数値が続いています。その原因は、高速道路の景色。壁に囲まれ変化も刺激もなく興味度が下がってしまうんです。そして刈谷パーキングエリア到着後、観覧車に乗り込むと・・・。走行中に比べ、激しく振れて興味を示しています。
 一般道のときよりも上がり幅が大きくピークは80を超えています。
 さらにこんなことも・・・専門家「高速チームの元々低かった興味度が娯楽施設によって非常に大きく上がった。振れ幅が大きいという事はそれだけ娯楽施設がとても楽しいと感じたはず」。

所さんのポイント
ポイント1
一般道路の女性は、走行中と観覧車の差が小さめなのに対し、高速道路の女性は走行中の興味度が低く、観覧車での興味度が高いため、振り幅が大きくなったのだ!

②なぜ濃い味を求めてしまうのか?

 年間2000万人が訪れるという日本最大の「海老名サービスエリア」。
 皆さんのお目当ては…サービスエリアの“グルメ”!特に人気なのが、タコの代わりにエビが入ったマヨネーズたっぷりの「えびえび焼き」や、甘〜い醤油タレをたっぷり絡ませた「こがね餅」など、どれも味のはっきりした物が人気なんです。他にも調べると、唐揚げやうな丼など、やはりはっきりした味がサービスエリアでは人気の様子。では一体なぜ?専門家に聞くと…「高速道路を運転しているとストレスが溜まる。ストレスが溜まると実は舌の感度が鈍感になる」。そこで男女6人に協力してもらい、2日かけ実験!まずは初日。部屋の中で2時間、ストレスを感じないよう、好きな事をして過ごしてもらいます。
 その後、食事タイムでは全員同じ食事を食べてもらいます。この時に用意したのは醤油とマヨネーズ。この2つの調味料をどれくらい使うのかを見る実験です。食後、実際に使用した量を計ります。
 そして2日目は、トランプタワーを2時間作ってもらい、ストレスを与える実験を行います。終了後、1日目と同じ食事を用意し、調味料をどう使うのか見てみます。実験後・・・6人分の使用量を比較すると、醤油はストレスを与えた日が8gもUP。マヨネーズに至っては、なんとストレスを与えた日の方が52gも多く使っていたのです。いったいなぜこんなことが起きたのか?専門家に聞くと…「味は、味蕾(みらい)という器官で感じ、ストレスが溜まると唾液の分泌が変わり舌がリン脂質で覆われ味を感じにくくなる」という。舌の表面にある、味を感知する組織「みらい」。口の中に味物質が入って来ると、唾液に溶けてみらいまで到達し、味を感知します。しかし、ストレスを感じると唾液中に「リン脂質」が増加。
 そこに味物質が入って来てもリン脂質が邪魔をして、みらいまで届きにくくなり、自然と濃い味が欲しくなるのです。

所さんのポイント
ポイント2
サービスエリアで「味がはっきりした物」が人気なのは、“ドライブで溜まったストレス”が原因で味覚が鈍くなるだめだった!

③閉鎖的空間から開放されると高額商品を買ってしまう?

 実はここ数年、高額のブランド品を扱うサービスエリアやパーキングエリアが増えているんです。では、一体なぜこんなに高い商品を買う人が増えているのでしょうか?専門家に聞くと…「高速道路は周りを壁に覆われた閉鎖された空間。そういう場所に長時間いてSAで開放されると、ついつい高い物も買ってしまう」。
 一体どういう事なのか?そこで、遊歩道のある公園で実験!協力して頂くのは20代の男女12名。まず、45分かけ公園を歩いて1周し、その後、近くのお寿司屋さんで昼食を自腹で食べてもらいます。
 メニューは目がテンが作った“値段がそれぞれ違う”「松竹梅」3種類の鉄火丼のみ。まずはAチーム。普通に公園を1周し、45分間、のびのび散歩を楽しんでもらいました。そして散歩終了後、お寿司屋さんへ直行。どの値段の鉄火丼を頼むか見てみると…一番高い「松」を選んだのは1人。自腹ということでそれぞれ懐具合で選んだようです。
 続いてBチームには「お面」をかぶせ、一般の人には難しい経済の講義が延々と続く「カセットテープ」を聴きながら歩いてもらいます。閉鎖的な空間と興味のない講義を聴きながら歩き続けること45分。ゴール地点で開放感を感じたところで、すぐさまお寿司屋さんへ!Aチーム同様、どの値段の鉄火丼を頼むか見てみると…なんと!全員が一番高い「松」を注文しました。ではなぜ、自腹なのに一番高い鉄火丼を頼んだのでしょうか?
 専門家に聞くと…「これは“ごほうび消費。よく女性がつらい仕事を頑張ったご褒美に高い商品を買うでしょ?あれと同じ」。

所さんのポイント
ポイント3
普段は抑えられる欲求が、開放感を味わうと抑えにくくなる・・・。サービスエリアはそんな「ご褒美消費」が起こりやすい場所だったのだ!




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