知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


カニ の科学
第1257回 2015年1月4日


 この時期、食べたくなるものといえば・・・日本人が好きな魚介類の堂々第1位「カニ」!けど、とっても美味しいのにむきづらくって食べにくい。
 そこで、目がテンが食べづらいカニが誰でもあっという間にむけてしまう驚きの技を大公開!さらに!家庭でよく食べる冷凍カニを美味しく頂く裏技が判明!たったひと手間で、冷凍カニがプリプリのカニに大変身!今回の目がテン!は冬の味覚!「カニ」の美味しい食べ方を科学の力で解明します!

①カニはなぜおいしい?

 カニのおいしさを探りに、訪れたのは福井県の三国町。この時期はカニ漁の最盛期。しかも、大量に水揚げされているのは高級ブランド、越前がに!新鮮なまま食べられるとあって、連日観光客が押し寄せるほど大人気!でも一体、なぜカニはこんなにもおいしいのでしょうか?カニを食品科学の観点から研究している東京海洋大学の大迫一史准教授に聞いてみると、「カニの身というのは筋肉なんです。筋肉そのものというのはタンパク質からできてますから、味はない」とのこと。
 先生によると、カニ独特の甘みを出すアミノ酸などで構成されるエキスがカニのおいしさのすべてだというんです。しかも、カニ味はすでに分析されていて、これらの成分を混ぜ合わせれば、カニ味を再現できるというんです。さらに先生によると、「カニに含まれているエキス成分を配合して添加すれば、カニ以外のものでもカニ味になる」んだとか!
カニのエキス成分を混ぜれば、なんでもカニ味になる?そこで!目がテン!大実験。用意したのは、2つのすり身。1つは、カニの身を細かく砕いたカニ100%のすり身。そしてもう1つは、かまぼこなどに使用するスケトウダラの身を砕いたカニ0%のすり身。そのスケトウダラのすり身にカニのエキスを再現した成分を練り込みました。この2つのすり身を、協力者に、2種類のカニのすり身として食べ比べてもらいます。
 エキスだけで本当にカニと感じるのか?そして実験を終え、「どちらが本物のカニだと思うか?」聞いてみると・・・12人に聞いた結果なんと、6対6の同数!確かにカニのエキス成分を混ぜただけで本物のカニと区別がつかなくなったのです。

所さんのポイント
ポイント1
カニの美味しさの秘密は"エキス"にあったのだ!

②カニを素早くむく裏ワザ

 ウワサのカニむき名人がいるというので、やってきたのは福井県の白浜荘。名人が来る前に、ユージさんもカニむきに挑戦してみました。しかし・・・序盤から大苦戦!うま味がたっぷりつまったエキスもお皿に垂れてしまい、かにむきの難しさを改めて痛感。と、そこに登場したのが・・・ウワサの、カニの早むき名人「板倉美津子」さん!通称、"むきむきみっちゃん"。早速、その技を見せてもらうと・・・目にも止まらぬ早さでカニをむいて行くみっちゃん!よく見ると、ただ折っているだけでなく食べやすいように、キレイに身を取り出しています。(この間の文章カット)何と!わずか1分で道具も使わずに丸々1匹むいてしまいました!しかも、エキスもほとんど垂れていない、完ぺきなむき方です。エキスがたっぷり残って、おいしさは格別!
 でも、なぜこんなに早くむくことが出来るのか?カニの構造にも詳しい東京海洋大学の大迫一史准教授に見てもらうと・・・「この剥き方はカニの構造に沿った、非常に合理的なむき方だと思います。関節の仕組みをよく理解されてて(関節の)可動域じゃ無い方に力を加えているテコの原理も使われていると思います」との意見が。カニの関節は、脚の付け根は外側に向けて真ん中の関節は、内側に向けて曲がるようにできています。そこで名人が、カニの脚を折る様子を見てみると・・・どちらの関節も可動域(かどういき)とは逆方向に折ることで力を入れなくても簡単に折っているのがわかります。みっちゃん流早むきの極意その①"関節は、可動域(かどういき)と逆方向に折る!"
 さらに、大迫先生は「カニっていうのは、甲羅の厚さが上側は厚い硬い。下側は薄い柔らかい。関節をバラバラにした後に、赤い方を手前にして白い方を外側にしてポキッと折ってます」と解説。脚は、赤く硬い方を手前にして外に向かって折ることで簡単に真っ二つに。そして、身を出すときは白く柔らかい方を強く押すと簡単に身が出て来て食べやすくなります。
 みっちゃん流早むきの極意その②"殻の白く柔らかい方を押して身を取り出す!"そして最後の難関、お腹の身の取り出し方は、繊維の向きを割るように出しています。カニのお腹には、脚の付け根にそって筋が通っています。この筋にそって割るとキレイにさけるんです。あとは、押し出すだけでお腹につまった身を簡単に取り出すことができます!
みっちゃん流早むきの極意その③"お腹は筋にそって割る!"

所さんのポイント
ポイント2
カニは構造を理解して剥くことで素早くキレイにむく事ができるのだ!

③冷凍カニのおいしい食べ方とは?

 私たちが普段家庭で食べるカニといえば冷凍カニ。家庭でも、食べ方は様々ですが、カニの調理法に詳しい専門家に聞いてみると・・・「冷凍したカニを解凍する時に出て来るドリップ。これをいかにうまく調理に使うかがポイントになると思う」という。冷凍されたカニは、細胞が破壊されいるので解凍するとドリップとしてうま味エキスが外に流れ出てしまうんです。では、どんな調理をすればよいのか?今回は特別に冷凍カニを美味しく食べられる調理の仕方を考えていただきました。冷凍カニには、生のまま冷凍されたものと茹でたあとに冷凍されたものの2種類ありそれぞれに適した調理法があるといいます。まず、茹でられている冷凍カニの場合は・・・自然解凍した後、カニをフライパンで焼きます。次に、解凍の際に流れ出たドリップも一緒にフライパンの中へ流し込みます。あとは1分ほど蒸すだけで完成。
 冷凍カニとは思えないほどエキスたっぷりの茹でカニを家庭でおいしく食べる事ができるんです。続いて、生のまま冷凍されたカニの場合は・・・解凍の仕方にもポイントが。生の冷凍カニを解凍するときは、塩水に浸けて解凍した方が良いそう。カニは普段、海に生息しているので塩水で解凍することによって、細胞から水やうま味が出て行ったりということが起こりにくくなると言われています。生の冷凍カニを解凍するときは塩分を1%ほど(水1リットルに対し、塩小さじ2杯分)の塩水に冷凍カニを浸し・・・。ラップをして冷蔵庫で解凍します。自然解凍したものと、塩水で解凍したものを比べてみると・・・そのまま解凍したカニは色がくすんで張りもないのに対し、塩水で解凍したカニは色も鮮やかでみずみずしい。塩水から出してみても違いは明らかです。こうして解凍した、生の冷凍カニの調理法は・・・?解凍に使った塩水をお鍋に移します。そしてそのまま火にかけ沸騰させます。沸騰したら灰汁をキレイに取り除き・・・解凍したカニをそのまま入れるだけ。塩水の適度な塩分が味付けされ・・・こちらも、冷凍ガニとは思えないほどプリプリのカニを堪能することができるんです。出て来てしまったドリップをきちんとうま味として戻してあげることができればどのように調理しても、おいしく食べることができるんです。

所さんのポイント
ポイント3
冷凍ガニを調理するときは、流れ出たエキスをしっかりと身に戻してあげることが重要だったのだ!




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