知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


食品ロボット の科学
第1328回 2016年5月29日


 ファミリーレストランで大人気!チーズ入りハンバーグ!実はロボットが作っていることご存知でしたか?私たちが知らず知らずのうちにお世話になっているのが驚きの進化を続ける食品ロボット!
 そこで日本の食品ロボットのすごい技術を職人たちと徹底調査!今回の目がテンは、ここまで進化した!食品ロボットの技術を科学します。

①何でも包むことができるロボット「火星人」驚きの技術!

 「火星人」とは一体どんな食品ロボットなのか?そこで、そのロボットを開発している会社「レオン自動機」に伺いました!食品ロボットとして大活躍している「火星人CN580」。目、鼻、口と見た目が火星人に見えることからその名前がついたそうです。火星人は、生地で餡を包む、包あんという作業ができるロボット。和菓子職人だった創業者が、職人の餡を包む技をもとに開発したんです。そもそも職人の包あん技術とは?老舗和菓子店「もち屋ONODE」で働く職人歴23年の小野出昌司さんに見せてもらいました。作るのは、大福です。まず、生地を適当な大きさに広げ、中央に餡を入れ、丸く成形。この時、生地の厚さが均等になるように手のひらで調整します。そして、指の腹で生地を上にのばしながら包み、手のひらで丸めて、つなぎ目をなくします。半分に割ってみると、生地の厚さも均等で、餡が中心にあります。こんな繊細な手仕事がロボットにできる?それは、どんな技術なのでしょうか?
 和菓子職人、小野出さんと一緒にこのロボットの実力を拝見。ロボットの上部にあんこ、そして生地を入れます。ロボットのスイッチを入れると・・・、筒状になったものがでてきて、カットされ大福の形になっていきます。しかもなかなかのスピード!出来上がった大福を半分に割ってみると、生地の厚さは均等で、餡も中心にあります。でも、どうやって餡を真ん中に、生地を均等に包んでいるのでしょうか?実は、ロボットの内部では、生地とあんのノズルが二重構造になっていて別々のパイプを通り、出口で一つになります。これで、餡が真ん中に入った筒状の大福になります。
 さらに、大福をカットしている部分にも秘密があるそうで・・・。カットをするシャッターに厚みがあることで、生地を伸ばしながら、上の大福と下の大福を同時に包むことができるのです、これは職人が指の腹で生地を伸ばし、包む技と同じ工程。厚みがないと、生地が伸ばされず、ただ切断されるだけで、包めません。さらに、このシャッターが閉じるとき生地が触れる部分が一点になるため手作業では難しい粘り気のあるものでもくっつくことなく包めます。他にもいちご大福や、自動でひだまでつけ、中華まんも包めます。さらに、手では難しい冷たいアイスを包むもちアイスまで!
 そしてこの火星人によって、こんなヒット商品も生まれたのです!それが…チーズ入りハンバーグ!とろりとしたチーズをハンバーグで包むのも、火星人にはお手の物。

所さんのポイント
ポイント1
「火星人」は和菓子だけではない、どんな食品でも包むことができるスゴ腕のロボットだったのだ!


②若手職人vs寿司ロボット シャリのおいしさ対決

 今から50年以上前に回転寿司が生まれ、1981年に世界初の寿司ロボットが誕生。このロボットにより回転寿司がさらに普及し、手頃な値段で食べられるようになったんです。そしてここ数年で寿司ロボットはさらに進化し、美味しくなっているというんです。寿司のおいしさの決め手は、「シャリ6割、タネ4割」と言われ、シャリの出来がお寿司の味を左右します。職人歴44年、「銀座寿司幸本店」の杉山さんにおいしいシャリの条件を聞いてみると、シャリを握る時のポイントは、まず、指で空気を入れながら、シャリを丸めることだと言います。さらに、タネとシャリを合わせるときにシャリに親指で作る「くぼみ」。中心に空気を入れることでシャリのふんわり感を出すんだそうです。そして空気を閉じ込めるように握れば完成。長い修行が必要とされる難しい職人技です。しかし今、寿司ロボットは、職人に負けないシャリが作れるほど進化しているというんです。果たして、その実力は?杉山さんと職人歴8年、小島浩郁さんと一緒に寿司ロボットの技を見に行くことに。伺ったのは「鈴茂器工」。35年かけて進化させた寿司ロボットとは?これが職人に近いシャリを握ることができるロボット「小型シャリ玉ロボット」。早速、ロボットの実力を拝見!最高で1時間に4300カンのシャリ玉を作ることができると言うんです。1分間に70カン以上、同じ仕上がりで作れます。職人のものと比べても見た目はそれほど違いません。さらに、オプションを付ければ、ロボットがわさびもつけてくれ、後は人が、タネをのせるだけなんです。
 でも本当に、職人のような、ふんわりしたシャリになっているのでしょうか。そこで、職人VSロボット「シャリ対決」!握るのは職人歴8年、去年から寿司を握っている小島さん。同じシャリ、同じタネを使い、マグロを握ってもらいました。お寿司が大好きな一般の方10人にどちらが美味しいか判定してもらいます、見た目で判断できないよう目隠しをして、前半の5人は職人の寿司Aから。後半の5人はロボットのBから食べてもらいました。すると…合計10人に食べ比べてもらったところ、ロボットに軍配を上げる人が続出!結果は…なんと3:7で、寿司ロボットが美味しいと判断する人が多かったのです!職人に勝つほどのふんわり感を作り出す寿司ロボット。その秘密を探ると…内部は、大小様々なローラーが回りながらシャリを練ったり、固めたりせず、空気を含ませながら形を作っていきます。職人が行う、空気を入れながらシャリを丸める作業を、ロボットで実現したのです。そして、1貫ずつカットしていくのですがここにも驚きの工夫が!くし状の刃でシャリをカットすることで、お米がつぶれることなく、シャリをまとめます。そして上から押さえつけ、波型のプレートでシャリにくぼみを作りながら形を整えていたんです。職人が親指でくぼみを作る工程を波型プレートで行い、空気を閉じ込める職人の技をロボットの上下から押さえつける動きで行っているのです。職人のシャリに近づくため、35年かけて改良を重ね、ここまでたどり着きました。CTスキャナーで、職人とロボットのシャリを比べると…ロボットのシャリも確かに、職人と同じように多くの空気を含んでいました。

所さんのポイント
ポイント2
究極の寿司ロボットには、職人技を手本にした様々な工夫が詰まっていたんです。


③職人vs骨切りロボット ハモ料理対決!

 代表的な京料理の一つ、ハモ料理。しかし、ハモには難点が…。それは、小骨が多いこと。ハモの骨格標本を見てみると、細かい骨がたくさんあるんです。そんなハモを食べやすくするうえで、欠かせないのが、「骨切り」という、小骨を切っていく工程。そこで、老舗料理旅館「近又」で働く、職人歴15年、安栗聖介さんの技を見せてもらうことに。
 骨切りを行う前に、まずはハモを開き、大きな中骨をとっておきます。骨切りしないとどんな感じなのか?骨切り前のハモを試食してみると、やはり小骨がたくさん…。では、その骨をどう切るのか?骨切りを終えたハモを見てみると…身と骨を切り、皮だけを残しています。身もつぶれず、およそ2ミリ幅で均等に切られていました。しかし、この繊細な技をやってのけるロボットがいるというんです。そこで、職人の安栗さんと一緒に骨切りロボットがある卸売市場を訪れました。骨切りロボットを開発したのが、久我高昭さん。開発したのは、職人のような繊細な技ができるロボット「はも骨切り名人」。まずは、開いたハモをロボットにセット。そしてスイッチを押すと、ロボットが動き出し、ハモが自動で吸い込まれていきます。反対側では…流れてくるハモを、動かない様にくし状のもので押さえながら、大きな刃で骨切りをしていきます。およそ1分で、骨切りは終了。ロボットが骨切りしたハモ。その見た目は職人と大きな差はなく、皮もしっかりと残っています。さらに、職人と近い動きをしています。
 このロボットのおかげで、スーパーなどで買える手ごろな値段にでき、気軽に食べられるようになったのです。しかし、味の方はどうなのでしょうか?そこで、職人安栗さんのハモとロボットのハモを食べ比べてみることに。判定するのは、安栗さんの師匠でもある総調理長、鵜飼治二さん。そして、京料理研究家の大原千鶴さん。同じ産地のハモを骨切りしてもらい湯引きしたものを試食。どちらがおいしいが判定してもらいます。
 まずはAの職人のハモから。二人とも緊張の表情。続いてBのロボットのハモを試食。一体、どちらが美味しかったのか?結果…お二人ともAの職人をおいしいと判定!職人の勝利!その差を聞いてみると…鵜飼さんは「味的には大きく変わらないと思う。味って何で感じるかというと食感。その点の違いを感じた」と言います。

所さんのポイント
ポイント3
職人と近い動きをするロボットのおかげで、おいしく、手ごろな値段で食べられるようになったんです。




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