かがくの里・田舎暮らし
の科学
第1327回 2016年5月22日
自然をテーマに研究してきた科学者たちが集結し、誰もがやってみたくなる田舎暮らしを実践する長期実験企画シリーズ「かがくの里」。
①意外に簡単!石焼き芋調理!
去年12月。寒さ募る中で、かがくの里で収穫した最後の作物がサツマイモ。収量はおよそ100kg!あまりに多く獲れたため、保存しておくことに。実は、熱帯性の作物であるサツマイモは寒さに弱く9度を下回ると、腐ってしまいます。一方、18度を超えると芽が出てきます。そのため、12℃から15℃の間で保存する必要があるんです。松村先生は、冬の間、この温度を保つためサツマイモを温室に入れ、保存していました。そして3月中旬。暦の上では春ですが、まだまだ寒かったかがくの里。松村先生はそんな日にピッタリの焼き芋をしようと言い出しました。今年からかがくの里専任プレゼンターに就任した慶応大学理工学部出身のお笑い芸人・阿部さんも、ここへやってきて早3か月。今回、松村先生はちょっと時間と手間はかかりますが、最高においしい焼き芋を作ろうとしていました。それは、石焼き芋!
まずは落ちていた小石を洗い鍋に敷き詰めます。ロケットストーブで20分ほど石を熱したら、サツマイモを入れ、フタを閉め、あとは1時間、焼きます。この間も、ロケットストーブは炊きっぱなしです。実は、石の熱で時間をかけてじっくり焼くことで、美味しくなる科学的な理由が。焼き芋の甘さは、デンプンが酵素の働きで麦芽糖に変わるからなのですが。その酵素が最も活発に働く温度帯が65℃〜75℃。例えば、電子レンジでサツマイモを加熱すると、およそ6分程度で食べられますが、酵素がよく働く温度帯を通過する時間も短くなるためじっくり焼く石焼に比べ、甘さが減るのです。そして1時間後石焼き芋が完成!黄色くネットリとした食感が特徴のベニマサリは石焼き芋にぴったりの品種なんです。
松村先生と阿部さん、みんなでホクホクの贅沢、満喫したのだ!
②自然にやさしい堆肥を作ろう!
3月下旬この日、裏山へ入って行ったのは松村先生と阿部さん。畑の土をより良くする堆肥を作るための落ち葉集め!かき集めると、大きな袋2杯分になりました。さっそく堆肥作り開始。拾ってきた落ち葉を箱に入れ、米ぬかを混ぜます。堆肥は土の中の微生物が落ち葉などを分解して出来るのですが、微生物のエサとなる米ぬかを入れることで、微生物の動きがより活発になるのです。そして、そこに水を加えます。これも微生物が生きるために必要。こうしておくと、およそ1年で堆肥となり畑の土にまぜると水はけが良くなるなど畑に適した土になっていくのです。堆肥は微生物が落ち葉などを分解し、できていきますがこの過程で微生物が"熱"を出します。松村先生はこの熱を"あるもの"に利用しようとしていました!それは…「サツマイモの芽を出す苗床をつくる」。
苗床とは、苗をつくるために作物が芽を出しやすい条件を整えた場所のこと。熱帯性の作物であるサツマイモが芽を出しやすい環境は20℃〜27℃の少し温かい土壌。松村先生は、まだ寒いこの時期、堆肥作りで生まれる熱をヒーター代わりにし、サツマイモから芽を出させ、苗を作ろうとしているのです。そのため、落ち葉や米ぬかの入った箱の上に土を敷きました。この箱の上の土で、サツマイモの苗を育てる計画!それから1週間…苗床の温度を確認すると…微生物が動き出し土の温度は30℃程度まで上がりました。種イモは去年収穫し、保存しておいたサツマイモ。これを、苗床に伏せこんでいくのですが…通常、ホームセンターなどで売っている種イモは既に消毒済みなので、必要ありませんが今回使うのは、去年ここで獲れたサツマイモ。元気な苗にするのに、消毒が必要なんだそうです。水と熱湯を半分ずつ入れ大体48度のお湯を作りお湯にサツマイモを漬けます。
芋が煮えず、病原菌が死ぬぎりぎりの温度が48度。これを保ちながら40分。これで病原菌はいなくなったはず。そのサツマイモを苗床に植えれば完成!実は今年、サトイモやもち米の苗作りにも着手しています。去年、かがくの里で育てた作物の苗は松村先生が大学から持ってきたものやホームセンターで買ったものでした。しかし今年は、かがくの里で1から作物が育つのです!4月下旬、サツマイモの苗床からは芽が。もち米の苗も順調に生育中です!
すでに秋の収穫祭が楽しみになってきたのだ!
③自然エネルギーの根本先生がアフリカへ!
3月は別れの季節。かがくの里にも衝撃のニュースが!根本先生が、4月からアフリカに赴任されることになったのです。根本先生は元々、ケニアなどで自然エネルギー導入の取り組みなどの活動をされていました。その活動が認められ、今回はエチオピアにあるアディス・アベバ科学技術大学に2年間赴任ことになったのです。
3月28日。日本を立つ直前の根本先生に会うため松村先生と阿部さんはエチオピア大使館を訪れました。実は根本先生、この日エチオピアの大使に表敬訪問に来ていたのです。大使のチャム・ウガラ・ウリヤトゥ閣下にご挨拶。エチオピアの田舎では、まだ様々なインフラが整備されてはいません。しかし、発展途上国であるエチオピア政府はそこに莫大な予算を割く事ができないのです。そこで、根本先生の出番というわけです。
根本先生、アフリカでも頑張って下さい!!
④素人の阿部くんがピザ窯づくり!
根本先生のアフリカ行きで頓挫しかかっているカマ作り!去年11月。松村先生は、パンに適した品種の小麦を撒きました。今年6月末に収穫予定の小麦を使ってピザを作る予定です。そこで前回、根本先生がパンやピザを焼くためのカマ作りに取り掛かりました。出来上がった試作機で試焼きをしてみると大成功!これを巨大化すれば、もっと大きなピザやパンを焼けるはず。と考えていた矢先急遽、根本先生のアフリカ行きが決まってしまいました。そこで白羽の矢が立ったのは高学歴芸人、阿部さん!
4月中旬。あまり自信がなさそうな阿部さんですが、そこは高学歴芸人!なんと設計図を書いてきていました。根本先生の構造を活かし、設計上は試作機のおよそ3倍の大きさのピザが焼けるとのこと。さっそく、近所のホームセンターへ買い出しに。設計図通り、コンクリートブロックや耐火煉瓦を計算しながら購入しました。まずは、コンクリートブロックを使っての土台作り!果たして阿部さんは根本先生なしでカマを作り上げることは出来るのでしょうか!?
去年11月末に撒いたパンやピザの原料となる小麦は順調に育っているのだ!
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